シネマ大全 さ行・セ

 セルラー 2004年 アメリカ

生物教師のジェシカは、自宅に押し入った見知らぬ男たちに誘拐される。リーダー格のイーサンは、ジェシカをある家の屋根裏へ監禁し、部屋の電話をハンマーで壊して出て行った。ジェシカは、粉々になった電話のワイヤーを接触させて信号を送ると、ライアンという青年の携帯に繋がった。最初は取り合わなかったライアンも、ジェシカの緊迫した声に押され、幾度となく切れそうになる電波を持たせながら、ジェシカを救おうと奔走する…。


これは、傑作だ!今の所、本年度ベスト・ワンと言ってもいいと思う。
何故か?
映画「ハサミ男」と同じく、サスペンスなので、多くを語らない方が良いと思うが、まず導入部で、乱入&メイドを殺害&誘拐…が起こり、いきなり、有無を言わせず“持って行かれて”しまう。

導入部が優れている事は、サスペンス映画全体にとって最も大切な事だが、多くの作品が大抵その後、少々息切れしてしまうのが普通だ。
そして見終わった後、“うーん、始めは結構ドキドキしたんだけどなぁ…”等という感想になってしまう。

この「セルラー」では、それがない。
何故か?
「セルラー」とは、携帯電話の事。この誰もが持っている“文明の利器”の長所と短所をストーリー上の有効な小道具として、映画全体で、あます所なく使っている。
“軽いアンチャン”だったライアン( クリス・エバンス )が、事件を通じて成長して行く物語でもある。ライアンと彼をフッた恋人との関係をストーリー上でフォローしていない所も気に入った。すまんが、この際、恋愛なんぞは後回しなんだってば!

ジェシカ(キム・ベイシンガー)が、生物の教師であるという設定も、見事に生きている。何処から何処までも、破綻がなく、定年間近の警官(ウィリアム・H・メイシー)の存在も味わい深い。
いやぁ、本当に参った…。
見るべし!

2005.3.12)