シネマ大全 さ行・セ

 世界の中心で、愛をさけぶ 2004年 日本 

高校時代、初恋の相手だったアキを病気で失った朔太郎。それから十数年が経ち、大人になった彼には律子という婚約者が出来た。ところが、結婚を目前にしたある日、律子が“心配しないで”と書き置きを残し、失踪。朔太郎は、彼女の行き先が2人の故郷である四国だと知り、すぐさま後を追う。だが、故郷をたどる内に、しまい込んでいたアキの記憶が次々と甦った朔太郎は、思い出の迷宮に迷い込んでしまう…。


良かった、自分が出て来るのがはじめの方の葬式のシーンで、ラストのズン!と来る辺りではなくって。
高校生の頃、12年前に亡くなった女の子の友達と、カセット・テープの声を吹き込んで交換していた私としては、かなりへヴィーな内容だった。
彼女とは恋人同士ではなく、友人だったのだが、あのカセットはまだ何処かにあるのだろうか?

空港で、主人公の亜紀(長澤まさみ)が、オーストラリアへ行けずに倒れ、朔太郎(森山未来)の腕の中で、“私、まだ大丈夫だから。まだ生きてるから…”というシーンでは涙が止まらなかった。

行定勲監督作品では、「ひまわり」からずっと続いている、青春時代へのノスタルジーが沁みる佳作。
韓国ドラマ「冬のソナタ」にも通じる部分があり、こういう素朴さ、ひたむきさを、もう一度取り戻したい、と思っているのは、今や日本国民の総意であるような気がする。

2004.4.23)