シネマ大全 さ行・サ

 ザ・インタープリター 2005年 アメリカ

国連通訳シルヴィア(ニコール・キッドマン)の生活は、故郷アフリカのマトボ共和国の大統領(アール・キャメロン)の暗殺計画を通報したことにより、一変した。何者かに狙われるようになり、同時にシークレット・サービスからは疑惑の対象となってしまった。シルヴィアを“保護”することになったケラー捜査官(ショーン・ペン)は、彼女の過去を探るうちに彼女自身が陰謀に関わっているのではないか?という疑いを深めていく…。


“時間をかけて世界を平和&自由=幸せにして行く”のか“もっと早い方法”を選ぶのか?国連の存在の是非についての映画でもある。
良く出来ているが、同じシドニー・ポラック監督の30年前の映画「コンドル」での、“得体の知れない怖さ”や、ロバート・レッドフォードとフェイ・ダナウェイの“ひと時の大人の逢瀬”の様なムードがないのが残念。

架空のアフリカの独裁国家の大統領を演じるアール・キャメロンが、素晴らしい存在感だ。ニコール・キッドマンは美しいが、時々ミョーなネコ顔に見える事がある。あんた本当は、やっぱりネコなんでしょ? 白状しなよ。

ふと、思う。かの隣国の独裁政権の終わりは、どんな形になるのだろうか?と。
誰かが膨らんだ分、誰かが飢えるのがこの世なのか?

70年前の映画「チャップリンの独裁者」のラストの演説では、“世界には、人類を養うだけの充分な富がある”と言っていたぜ。
あれは、ウソだったのか?

世界はますます複雑で混沌としているが、DJは喋る事しか出来ない。
独裁も殺戮も困るが、私は、やはり“時間をかけて世界を平和にして行く”はずの国連の力を信じたい、今は。

2005.5.7)