シネマ大全 さ行・サ

 サイドウェイ 2004年 アメリカ/ハンガリー

小説家になる夢を捨てきれない中学校教師のマイルズ。いつまでも離婚の痛手を引きずり、神経質な所のある彼はワインの事になると一家言持つこだわり派。ある時、売れない役者をしている親友のジャックが一週間後に結婚する事になり、マイルズは結婚前最後の独身旅行を男2人で楽しもうと、安ワインの味しか知らないジャックをカリフォルニアのワイナリー巡りの旅へと連れ出す。バチェラー・パーティーよろしく、ハメをはずすことしか考えてないジャックに対し、必死にワインの素晴らしさを語って聞かせるマイルズだったが…。


現在、ワイン通の間で、世界で最も優れているワインというのは、カリフォルニア・ワインなのだそうだ。その理由は、土地にもノウハウにも歴史がなく、その代わりに効率とチャレンジ精神を求めるアメリカ人は、あらゆる事を試す事が出来るから。
そういうアメリカ人の気質の良い部分が、映画全体にあふれている。

40歳を前にして、人生が今一つ上手く行かない男達の微妙な“乙女心”を淡々と描いている。実は、私もつい先日まで“乙女”だったので、ジンジン来る映画だった。

“女とヤッちゃう男”と“ヤリたいけど、表向きは黙っている男”というのは、クリントン前大統領と、ブッシュ現大統領のメタファの様でもある。戦争と恋愛はいつも似ているが、戦争して発散するより、恋愛して幸せになる方が良いに決まっている。クリントンの時代は、大統領も米国民も世界もある意味、幸せであったなぁ。ずっと夢を見て、安心してた。後4年、どうなるのかは解らないが、戦争ゲームはともかく、ブッシュには、安倍新総理と協力してせめて、かの国の体制を潰して欲しい。

久しぶりに、自分が本当はひどく短気な人間である事を思い出した。
もう、そろそろ我慢も限界だ。でも、その前にワインを飲もう。あの’61年ものの何とかを。
そう、思い出した! 
その昔、私にも経験があるぞ。'89年、パリで買って来た超高級ワインを6本、岐阜で一気にヤケ酒をした。一気に倒れたが、今は、懐かしい。
でも、いいじゃん。時にはそうしたい時もあるじゃん。
あ、話が逸れ過ぎで悪いが、この作品は、買いだよ。スターがいなくても成立する、愛すべき佳作だ。
今夜は、まだまだ飲み足りない…。


2005.2.17)