シネマ大全 か行・ク

 グッバイ、レーニン! 2003年 ドイツ

1989年10月、東ドイツ。アレックスの母、クリスティアーネは、夫が西側へ亡命して以来、祖国・東ドイツに忠誠心を抱いている。建国40周年を祝う夜、クリスティアーネは、アレックスがデモに参加している姿を見て心臓発作を起こし、昏睡に陥ってしまう。意識が戻らないまま、ベルリンの壁は崩壊、東西ドイツは統一される。8ヵ月後、奇跡的に目を覚ました母に再びショックを与えないため、アレックスはクリスティアーネの周囲を統一前の状態に戻し、世の中が何も変わらないふりをしようとするが…。

先日、母の日に、名古屋の母に電話した。

その時、私が知った名古屋の岡村家の近況とそれにまつわるゴタゴタを書くと、赤の他人には大変面白い物語になるが、差しさわりがあり過ぎて書けない。ここに登場する息子は、少なくとも私よりも正直で、親孝行だ。1989年にベルリンの壁が崩壊し、何と翌年にはもう東西ドイツは統一を果たしていた。

当時、私は“さすが、ドイツ人。何て合理的なんだ!”と感心していたが、実際には両国民とも大変な苦労をしたに違いない。
そう、政治的な快挙の裏には、大抵、血の滲む様な市井の人たちの苦労が隠されている。

悲しいが、少しユーモラスで、暖かい。不思議な映画だった。

(2004.5.15)