シネマ大全 か行・カ

 隠し剣・鬼の爪 2004年 日本

時は幕末。江戸から遥か遠い東北の小藩である海坂藩の平侍・片桐宗蔵にも、新しい時代が近づく足音が聞こえ始めていた。宗蔵は母の生前、奉公に来ていた百姓の娘・きえと3年ぶりに町で偶然再会し、大きな油問屋に嫁いで幸せに暮らしているとばかり思っていた彼女の痩せて寂しげな姿に胸を痛める。それから数ヵ月後、宗蔵は伊勢屋に乗り込み、強引にきえを連れ帰る。平侍である宗蔵の貧しい暮らしが、快復したきえの笑顔で楽しく明るい毎日に戻った時、藩を揺るがす大事件が起きる…。

前作「たそがれ清兵衛」と同じ藤沢周平の原作で、ストーリーも少し似ている。しかし、前作ほど起承転結の構成がスッキリしない脚本で、なかなか映画の中に入って行けなかった。ラストでは、幸せな気持ちになれたが、あの2ショットは、何となく“ここは、江戸川べりで、もうすぐ後ろから寅さんが登場するはずだ”と思えなくもない。

満員の客席には、先月、一緒だった松本幸四郎さんや、山田洋次監督と微妙にヘア・スタイルが似ている指揮者の小澤征爾氏もいて、びっくりした。 (・_・;)

(2004.8.5)