シネマ大全 あ行・イ

 いま、会いにゆきます 2004年 日本

妻に先立たれながらも6歳の息子・佑司と2人で何とか幸せに暮らしている巧(中村獅童)。
そんな巧たちの前に、1年前に逝ったはずの妻・澪(竹内結子)が梅雨のはじめのある日、森の中に現れる。
彼女は一切の記憶を失っていた。
しかし、巧と佑司はそんな澪をやさしく迎え入れ、3人のちょっと不思議な共同生活が再び始まる…。

雨の日に観るのに、いい映画だった。
“いかに見せるか”ではなく“いかに見せないか”をポイントに置いた演出。
「黄泉がえり」以来、こういう映画は実に4本目になる“天国女優”竹内結子。大河ドラマのひょうきん・捨助役とは全く別人の中村獅童。古い家と廃墟。そして、あの大きな湖…。
全てが、切なく息づいている。

“人と人とは、どうして、もう少しうまくやって行けないのか?”というのが黒澤明監督の映画作りのテーマの一つだったらしいが、一つの物事をどっちの方向から見て、どう行動するのか、それによって、人生というのは、かなり変わってしまう。
あの決断をしたその時、彼女は幸せだったに違いない。

ああ、もうこれ以上は書けない。 結局、最後は泣かされてしまった。
雨の日で良かった…。

2004.10.20)