岡村洋一への10の質問 〜その9


【映画各国篇】

Q1.日本や日本人が出てきた洋画のマイベスト1と一番笑えた映画を1本ずつ挙げるなら?

何と行っても、ベスト1は、「ブラックレイン」。あの、登場シーンのカッコ良さ。
東洋的な不気味さと不思議なユーモアの同居する“サトウ=松田優作”は、本当に光り輝いていた。ユウサクは、他の誰にも出来ない事を成し遂げたと思う。
笑えたというか、失笑したのは、「ライジング・サン」。全く、ヒドかったなぁ…。

Q2.香港、台湾を含む中国で製作または中国を舞台とした映画のマイベスト1は?

「燃えよドラゴン!」。
本当に、もう理屈ぬきに、凄い! 
あ、「ラブソング」も、何度観ても泣けるなぁ…。

Q3.韓国で製作または韓国を舞台とした映画のマイベスト1は?

「殺人の追憶」。
映画全体が持っている殺伐としたムード、ラジオ番組が捜査のキーとなるユニークさ、2人の刑事のコンビネーション…。アメリカ映画と日本の映画のエッセンスをしっかり吸収していて、秀逸。未解決の連続殺人事件をどう終わらせるのかと思ったら…。

Q4.トナムで製作またはベトナムを舞台とした映画のマイベスト1は?

「地獄の黙示録〜特別完全版」。
これ以上の選択はない。
もう二度と、こういう映画は作れないと思う。

Q5.その他のアジアの国で製作またはその他のアジアの国が舞台の映画のマイベスト1は?

サタジット・レイ監督の「大地の歌」3部作。
貧しく、ある意味で原始的だったインドが、近代へ向って行く激動の時代を一人の少年・オプーの成長を通して描く、至福の6時間。今でも時々、心の中で上映している。

Q6.アフリカの国で製作またはアフリカが舞台の映画のマイベスト1は?

ベルナルド・ベルトリッチ監督の「シェルタリング・スカイ」。
夫を亡くしたデブラ・ウィンガーの魂の彷徨を、“心象風景”という言葉では済まされない未知の土地、あり得ない景色、そして未曾有の事件がノック・アウトする。
天才・ヴィットリオ・ストラーロのカメラが、私を捉えて離さなかった。

Q7.東欧で製作または他国の製作で東欧が舞台の映画のマイベスト1は?

フォルカー・シュレンドルフ監督の「ブリキの太鼓」。
“ハイル、ヒトラー!”と、挙げた軍人の手。雨が降り出し、手の甲をかえし、手の平で降って来た水滴を確認する…。 観念が実存に変化する、見事な瞬間だった。

Q8. フランスで製作またはフランスが舞台の映画のマイベスト1は?

フランソワ・トリュフォー監督の「アメリカの夜」。
“映画を作っている映画”では、ナンバー1だと思う。
恋しても破れても、死んでも生きても、映画の撮影は続けねばならない。
そう、人生もまた、 “SHOW MUST GO ON ”でっせ!!

Q9.イタリアまたはロシアが舞台の映画のマイベスト1は?

前者は、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」。
後者は、デビッド・リーン監督の「ドクトル・ジバゴ」。
どちらも、かつての巨匠たちだけが作れた“本物のスケール感”があった。

Q10.アイルランドを含むイギリスで製作または舞台とした映画のマイベスト1は?

「フランキー・スター・ライト」。
寓話のようでいて、結構痛い。悲しい振りして、何だか温かい。
同じ理由で、「アンジェラの灰」も良い。アイルランドの、あの曇った空は美しい。

Question制作 : Dorothy McMarphy