岡 村 |
リカちゃん、僕のイントネーションって、おかしい? 言葉によっては、変?
たまに気になる? 耳障り? |
柴 崎 |
引っぱたきたくなりますね。 |
岡 村 |
前にね、高橋尚子選手がオリンピックで金メダルを獲った時、彼女は岐阜の人ですからね、「うしろ↑に、シモンさんがいる」って言った時、うれしかったなぁ。 |
柴 崎 |
うれしかったぁ? うれしいんだ、そういうのは…。 |
岡 村 |
それ以上に今日はうれしい。篠田正浩さんです、こんにちは。 |
篠 田 |
どうも篠田です。どうぞよろしくお願いします。 |
岡 村 |
監督がテレビで喋っているのを聞いててね、「前の反対」は、なんて仰います? |
篠 田 |
「うしろ↑」。 |
岡 村 |
「うしろ↑」でしょ? ほら、ごらんなさい。 |
柴 崎 |
「後ろ↓」ですね。 |
岡 村 |
それは標準語でしょ? |
篠 田 |
いや、あのね岐阜弁はアクセント、正しいんですよ。 |
岡 村 |
ええっ、どういう事ですか? |
篠 田 |
東京は、方言なんですよ。 |
岡 村 |
東京に近いんですか? |
篠 田 |
いや、東京は標準語じゃないんです。 |
岡 村 |
パチパチパチ…。(2人、思わず握手する) |
篠 田 |
本当に。 |
岡 村 |
「うしろ↑」が正しいでしょ。 |
篠 田 |
「うしろ↑」。「後ろ↓」なんていうのは…。 |
岡 村 |
ダメですよね、あんなの。田舎もんの喋る言葉ですね、あんなの。 |
柴 崎 |
そこまで言うんだ。 |
篠 田 |
今の東京の人は、アクセントが消えちゃっている。 |
岡 村 |
そうですね。
段々平板平板になっちゃっている。「ドラマ」って言ったり、「彼氏」って言ったりしますよ。 |
篠 田 |
「ドラマ」ですよ。 |
岡 村 |
「ドラマ」ですよ。 |
篠 田 |
それを「ドラマ」でしょ、あれはおかしいですよ。 |
柴 崎 |
それは地域性じゃなくて年代性じゃないんですか? |
岡 村 |
だいたい岐阜はね君、日本のほぼ真ん中ですもんね。
東京なんてたかが、ここ数百年の話ですよね。 |
柴 崎 |
でも、気にしちゃうんでしょ? |
岡 村 |
はい…。 |
篠 田 |
でも、江戸を作った徳川家は三河の出身ですからね。 |
岡 村 |
そうです、そうです! |
柴 崎 |
ああ、なるほどね。 |
岡 村 |
大体、戦国時代の三英傑っていうのは東海三県から出ている訳です。
織田信長、岐阜だしね。監督、岐阜にいらっしゃったのは幾つまでですか? |
篠 田 |
えーと、0才から18才まで。 |
岡 村 |
でしょ? だから染み付いちゃってる訳です。 はっきり言いましょう。
今日は、岐阜弁でお送りします。 |
柴 崎 |
やな感じだ…。 |
岡 村 |
映画「スパイ・ゾルゲ」特集、第2弾。ゲストはもちろん、篠田正浩監督です。
スパイって昔から良く映画に出て来ましたね。
一番有名なスパイは、「007・ジェームズ・ボンド」だと思うんですが、こういう言葉があります。
「本当に優秀なスパイというのは、自分がスパイだと気付いていないスパイだ」。 |
篠 田 |
恐い話ですね。今、日本は丸裸にされているんじゃないですか、各国のスパイから。
やっぱり国境がなくて、周りが海でしょ。だからスパイの入り方に、全然ケアしない。 |
岡 村 |
そうですね。あまりにも無防備ですよね。
いまから70年前も、まあそうだったということになるんですが、このゾルゲという人はですね、情報を上手くスティルスして、でも今思うと世界の為になっていたんですよね。 |
篠 田 |
結局、ヒットラーを倒しましたからね。
もしも、ゾルゲがいなかったら、ソ連が潰れて日本がシベリアへ攻め込んでいたでしょうね。ヨーロッパとアジアがくっ付いて、アメリカともっと大戦争になる…。 |
岡 村 |
無茶苦茶になっていたかもしれませんね。 |
篠 田 |
どうなっていたかね。 |
岡 村 |
こういう話がありますね。
日本が真珠湾の宣戦布告をする時に、大使館の人がその…。 |
篠 田 |
パーティーをやっていた。 |
岡 村 |
パーティーをやっていて、伝えるのが遅れたって。 |
篠 田 |
あの頃の外務官僚、国際感覚がなくて自分達の仲間内の事をケアしていて、日本から重要な電報が来ているのに、たな晒しになっていた。
あれで、「屈辱的に、真珠湾を急激に騙し討ちにした!」と、アメリカに大義名分が出来てしまった。だから、広島・長崎に原爆落したって当たり前だと…。
「9・11」も突然だったから。「9・11」の特攻は19人いた。
その内の14人はみんなサウジアラビア人。あとの5人はエジプト人なんだ。イラク人なんて一人もいないんだよ。 |
岡 村 |
関係ないですよね、イラクなんて。 |
篠 田 |
でも、なぜイラクへ攻め込んだかと言うと、それは「アラブが攻めて来た!」と思った訳だよ。バクダッドを押さえると、アラブ全体、中近東全部を押さえられると。 |
岡 村 |
石油ですね。 |
篠 田 |
だからね、「9・11」が、第三次世界大戦の始まりなんじゃないかと。 |
岡 村 |
あー、ちょっと…。 今の発言はどうかと思いますね。イヤですね、それは。 |
篠 田 |
もう始まっている。 |
岡 村 |
もう始まっているんですかね、現代の戦争が…。とってもイヤですね。 |
篠 田 |
結局、日本が真珠湾を攻撃したために、アメリカは完全に世界大戦に参戦した訳だから。
因果関係で言うと、ヒットラーがパリに入場したから、真珠湾攻撃になったんです。
ヒットラーがパリに入場してエッフェル塔見ているときに、日本の次の運命も決まっていたなんて、当時の日本人は、誰も分からないよね。
それをゾルゲと尾崎は心配した。日本が一体どうなるのか…。 |
岡 村 |
そんな事を心配していたのは、もしかしたら、世界に二人だけじゃないですか?
誰も考えていませんよ、そんな事。 |
篠 田 |
今だって、どうやって良いのか政策決定が出来ないでしょ。
北朝鮮を「対話と圧力」のどっちでいくのか、わからないから二つ出しているわけ。
この時、ゾルゲが見た日本は、中国から徴兵すれば、アメリカは満州は日本に渡す、というような解釈も成り立ったような外交。
関東軍は残してやる、というようなネゴシエイションは成り立ったかもしれない。
それで、ずっと日米合弁で中国へいろんなプロジェクトやプラントを売り付けていたかもしれないね。 |
岡 村 |
ああいう形で戦争が終わって、日本はすごく高いペナルティを払ったけれども、でも、もしも、ああいう形ではなく、太平洋戦争もなく、あの国体が続いていたら、日本は一体どうなっていたんだろう、と時々思うんです。 あり得たのかな?それは。 |
篠 田 |
でも、日本はあの戦争に敗れて今、アメリカに永久占領されているね。
沖縄戦からもう何年ですか? 60年、半世紀以上。
たとえば今、ワシントン郊外に日本のフラッグが立っている基地がある、なんて言ったらどうしますか?もうアメリカは許さないでしょ?
やっぱり、日本はもう今、日米安保条約でノーとは言えないんじゃないかな。
だから今度も、イラク出兵やらなきゃならないでしょ。
いかに、この戦争に敗れたという事が、大きな代償だったか。
僕等の時は、「国家と国民の関係」というのは、3つの義務があったんですよ。
納税の義務、選挙の義務、そして兵役の義務。
これが国民というもの、国家というものの証明なんですよね。
戦後は納税と選挙はあるけど、今の若い人はこの2つを全然やっていない。
だから、国家がないんだよね。 国民として、我々は存在しなくなっちゃった。 |
岡 村 |
うーん…。
でも、毎日毎日、日本っていう国を意識しなきゃいけない生活も、ちょっと違うんじゃないかと思うんですよ。毎日、「俺は日本だ、日本人だ」っていうのも、怖いなって思います。 |
篠 田 |
でも、世界中、そうなんだよね。
私の人生には、ずうーっと戦争の時代が続いたんですね。満州事変で生まれて、満州事変がゾルゲ事件のスタートになったし、それでシナ事変と呼ばれる時に小学校に上がってね。中学へ行った時にはもう真珠湾攻撃の後で、第二次世界大戦の真っ只中で。
中学三年の時、14歳の時に岐阜で終戦を迎えましてね。
朝鮮戦争で大学生、60年安保で監督、監督やってからベトナム戦争、それから湾岸戦争、中東戦争、スエズ、コソボ、アフガン、9・11、そして今度のイラク戦争…。 |
岡 村 |
そのイラク戦争の時に「スパイ・ゾルゲ」。
いやぁ、もう監督の人生は、戦争の歴史ですね。 |
篠 田 |
何かを作ると、「目の前で起きている戦争と俺の映画とは、一体どんな距離があるのか?」と、いつも考えちゃうんですね。 |
岡 村 |
「自分がスパイだと知らないのが、一番優秀なスパイ」だとするとね、国民に「政治」というものを感じさせないのが、一番高度な政治だと思うんですよ。
まあ考えようによっては今の能天気な日本人は、政治をほとんど意識していませんね。特に若い人はね。 |
篠 田 |
それはね、日本は戦争に負けて、あのアメリカと日米安保条約持って、軍事的な問題は一切アメリカにやってもらおうと…。
お金を出して、アメリカ軍を雇っているようなもんですね。
でも、お金を稼いでる間は良いけど、この不景気が続いて払う金がなくなったら、自前の軍隊でやらなきゃ、アメリカもいつまでも日本を守ってくれる保障はないですからね。 |
岡 村 |
どっちにしても、もうちょっと学ばなきゃいけないですね。
篠田監督は。こんな事を仰ってますね。「歴史ってのは過去のものじゃなくて、今判った事が歴史なんだ」。
特に、このゾルゲは最近になって、いろんな資料が出てきたりしていますよね。
ゾルゲのラブレターとかが、ソ連ですごくちゃんと保管されていたり…。 |
篠 田 |
それが見つかって、脚本書き直したんです。脚本を練るために変えた部分もありますけど、新資料で劇的に変わった時期もありましたね。全部で17稿、書きましたよ。 |
岡 村 |
17稿も…。
これから世界がどういう方向に行くのか、一国主義が続くのかどうか分からないですけど、僕らが日常で何が出来るかというと、インターネットの時代ですから、物を知るという事がまず重要だと思うんですよね。
この「スパイ・ゾルゲ」をご覧になると、情報というものがどれだけ世界を動かすか、何千万人を救い、何千万人を殺すか、ということを知ると思うんですよ。 |
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17稿も作った『スパイ・ゾルゲ』脚本の裏表紙 |
篠 田 |
現代はゾルゲのスパイ活動に比べて、普通の人がゾルゲ以上に、今や世界中の情報を手に入れていて、世界の情報産業は拡大して我々は情報社会の革命の真っ只中にいると思うんですよね。みんな、ゾルゲになっています。
だから、やっぱり情報が危機防止あるいは危機管理に、ものすごく役立っているわけですね、今。 |
岡 村 |
僕ね、大学でマルクス経済をやったんですよ。マルクスが言った言葉で一つだけ、今でも素晴しいのがあります。「全てを疑え」、これは正しいでしょ? |
篠 田 |
正しい。 |
岡 村 |
ある情報を得た時に、まず、「これは嘘かもしれないぞ。誰かが何かの為に、これをやらせたのかもしれない」と疑ってみる事…。
ベルリンの壁を壊したのはテレビだったけど、今はインターネットかもしれませんね。
さて、監督がゾルゲをお撮りになるというのは、前から知っていたんですが、ずーっと、「一体、誰がゾルゲを演じるんだろう?」と思っていました。 |
篠 田 |
まず、ニューヨークへ行ったんですよ。
ブロードウェイで幾つか芝居を観たんです。いろいろ有名な俳優さんにも会いました。
それでも、いなくてね。次に、ロンドンへ行ってロンドンの舞台でも探したけどいなくて…。
ベルリンが一番本命だったんですね、ゾルゲはドイツ人だから。
ところがね、ドイツの芸能界って、なくなっちゃってるのね。
オペラと演劇はきちんとありますけど。芸能界が途絶して、皆、テレビ細々とやっているぐらいなんです。
それで、諦めて日本に帰っ来てインターネットで、「ハリウッド名鑑・男優編・40歳以上」というのバァーっと見た。そしたら、ウエスタンブーツをバアーッと投げだしてね、長い足を横たえて、それでテンガロン・ハットをかぶって、ニコッと笑っいている写真があった。
それがイアン・グレンだった。
その日から、ニコール・キッドマンとロンドンの舞台で、全裸で芝居して、それがゴシップになって奥さんと別れるの別れないのというのも、ああこの辺りもゾルゲっぽいなぁと思って…。
彼の所へすぐに手紙を書いて、脚本読んでくれて、そうしたら二つ返事で出たいと…。 |
岡 村 |
この、イアン・グレンを獲得出来たのが大きかったですね。 |
篠 田 |
大きかった。 |
岡 村 |
そして本木雅弘さんは、うなじで決めたと…。 |
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うなじで出演が決まったモッくんと |
柴 崎 |
すごいよね。 |
岡 村 |
やっぱり俳優の魅力、そしてCG。
これが、この映画のもう一つの主役といってもいいですね。 |
篠 田 |
本当の主役かもしれない。
ゾルゲと尾崎、彼ら二人の目に映った日本こそ、あの「昭和の日本」じゃないかと。
他の日本人は、みんな自分の我田引水になる訳だから、スパイが一番客観的だろうと。2・26事件をゾルゲの目で写すと、そうすると、ゾルゲの視野に入って来る2・26事件の光景を切り取る訳ですね。
するとね、ドイツ大使館のすぐ近くが出来たばっかりのピカピカの国会議事堂。
そのすぐ隣が、陸軍省と陸軍参謀本部なんですよ。
ドイツと同盟結んでいるから、参謀本部の連中はしょっちゅう裏木戸を通ってね。
チーズやドイツパンを食べに来てる訳ですよ。モーゼルワインもね。
だからそこからもね、情報が漏れていたんじゃないかと思うんですよね。 |
岡 村 |
まあ、そうでしょうね。 |
篠 田 |
それだけにね、そのゾルゲの位置から、2・26事件がどういう風に見えるか、というのが、ものすごく興味があったんですね。
ドイツ大使館は今、国会図書館になっているんですよ。 |
岡 村 |
さて、この「スパイ・ゾルゲ」という映画に、私が出ているってずっと前から言っているんですが、実は篠田正浩さんも出ていらっしゃいます。 |
柴 崎 |
ええっ!? |
岡 村 |
お父さんの役で…。 あ、気づかなかったですか? |
柴 崎 |
相当、いい演技してたんだ。 |
岡 村 |
そうですよ。篠田さんって、もちろん前から顔知っているでしょ。 |
篠 田 |
小雪の…。 |
柴 崎 |
そっか。 |
岡 村 |
花嫁の父ですよ。 |
柴 崎 |
やられた…。 |
篠 田 |
良かった。うれしい。
でもね今日、岡村さんのディスク・ジョッキーの顔を見て、何でこれが緒方竹虎になっちゃったのか。それもびっくりですよ、改めて。 石原良純くんと激突、良かったですよ。 |
柴 崎 |
岡村さん、汗が汗が…。 |
篠 田 |
僕も汗っかきだから。自分の出る所はね。俳優は辛い。 |
柴 崎 |
アハハハ…。 |
岡 村 |
体に悪いでしょ? |
篠 田 |
悪い。わかった。
いや僕は50年、この業界で水を飲んできたんだけど、いおつまで経ってもね、役者もやれないね。
監督としても、まだ出来損ないだね。 |
岡 村 |
何でそんな事、仰るんですか?
黒澤監督がインタビューで、こんな事を言っているんです。
「映画を作った後は、何年かは自分の中で、その映画を作り直している」。
篠田監督は、そういう事はありますか? |
篠 田 |
ありますよ。
観ると、もう一辺撮り直ししたくなる所とか、編集し直したいとかね、あるんですよ。
だから、その誘惑から逃れるためにね、もう全然別の事をしたり、別の本読んだりね…。 |
岡 村 |
退路を断たないとね。 |
篠 田 |
退路を今、一所懸命断っている最中。今日も退路を断とうと思ったら、さっき岡村さんに「ショーマスト・ゴー・オンです!」って言われて…。でもね、音楽を聴くとね、もう…とめどなくイメージが湧くんですよ。いろんなね。
レッド・ツェッペェリンはね、あの「梟の城」を撮る前に耳に入っていて…。 |
岡 村 |
映画の中で、使っていましたね。 |
篠 田 |
「よし、これで行こう!」と、映画のイメージがそれで生まれて…。
ゾルゲもこの間、整理していたら、「ゾルゲのシナリオをどう書くか」というノートの2ページ目に、もう「イマジン」って、書いてあった。
「イマジン」のその詞が、この映画のファイナル・ショットにとても合うなあ、と。
それで、次のページを開いてみたら、筆ペンで魯迅の言葉をもう書いていた。 |
岡 村 |
あの、映画の最初に出てくる…。 |
篠 田 |
「この世の中に、希望があるとも無いとも言えない」。 |
岡 村 |
生きているんだなぁ。 |
篠 田 |
もうそれがね、まさか映画になるとも思わないのに、そうやってイメージを書く訳ですよ。
この作業は、今後、断念するのか、しないのか。
映画にする・しないは別にして、自分がまだノートをとるという、その気分を自分の中で断念しないとダメなのかどうか、今、問い詰めているんですよ。 |
岡 村 |
わかった!
石原慎太郎さんが、「この人は、絶対にやめない」と言い切っています。
篠田監督をもう1回、業界に引っ張り出そうという人は、大勢いると思うんですけど、私はやる事が決まった。
これから毎週、監督にCDを送りつけます。 |
柴 崎 |
私も今、そう思いました。それが一番いいですね。 |
岡 村 |
監督、音楽をジャンジャン聴いてたって、満足してないでしょ、本当は。
最後に、これを言おうと思っていたんです。
満足する訳ないんですよ、最後だって言ったって…。 |
篠 田 |
まあそりゃ、チャップリンは言いました。NEXT ONE。 |
岡 村 |
ほら、NEXT ONEでしょ。もう1本ぐらい、いいじゃないですか! |
篠 田 |
そりゃね…。 |
岡 村 |
何だか僕、「もう1件、呑みに行こう!」って言っているみたいですね。 |
柴 崎 |
本当、本当、思いっ切り。 |
篠 田 |
もう1本、お酒呑もうって? |
岡 村 |
もう1本、そんな感じでいいじゃないですか。 |
篠 田 |
それなら、酒呑みますよ。 |
岡 村 |
ああ、そうね。 |
篠 田 |
酒はいいよ。 |
柴 崎 |
うん、楽しみですね。まあ岡村さんは、たぶんCDを送ると思うんで…。 |
篠 田 |
でもね、ずっと音楽を聴きながら創り続けてきたんですよね…。
だから、今日のような番組に出るのは、とってもうれしいです。
どうも呼んでくださって、本当にうれしいです。 |
岡 村 |
いや、とんでもないです。何をおっしゃって…。ありがとうございます。
そうですね。音楽と映画って、やっぱり似ていますよね。時間の芸術だし。 |
篠 田 |
「その時間の中で、何が見せられるか」って、これが映画監督の一番、才能が求められる所ですね。
この時間の感覚、その時間の中で、0.何秒っていうアクションを見る事もあるし、10分間、ジィーッと見ていなきゃいけない場合もあったりする。
もう、本当に音楽とよく似ているんですよ。 |
岡 村 |
皆さんの大切な時間、大事な人生、それぞれに貴重な時間。
ゾルゲはこういう風に自分の人生を生きたんですけど、皆さんの人生の中から、3時間3分を是非とも貸してさい。そして、「スパイ・ゾルゲ」を観て頂いて…。 |
篠 田 |
私のゾルゲを観て頂くと、日本の現代が分かります。
昭和を分かることで、今が分かります。 |
岡 村 |
「スパイ・ゾルゲ」は、正に「今の映画」ですね。
昨日と今日のゲストは、公開中の映画「スパイ・ゾルゲ」の監督、篠田正浩さんでした。
是非、次の映画、またNEXT ONEでいらっしゃってください。ありがとうございました。 |
篠 田 |
どうもありがとうございました。 |
|
(了) |