直線上に配置

2008ホノルルマラソン
明日につなげて
あらいクリニック 院長 新井 桂子


 今回はうまくいきませんでした。
1116日に走った湘南国際マラソン後、右膝痛が取れず、3-5日すると軽くなるので焦って数km走るとまた痛くやめてしまう、そして階段の上り下りもできない状態にもどってしまう、という事をここ1ヶ月間繰り返してしまいました。さらに11月末に風邪をひき出発までに直りませんでした。

 1211日、ホノルル空港に降り立つと、昨年よりひどい台風並みの嵐でした。地球温暖化の影響でハワイの天候もこの時期雨季に変わったのでしょうか?前日の朝は曇り空のアラモアナの海岸を走りました。左右の足の長さが違うのではないか、という嫌な感じで足を引きずってしまいます。右膝に気をとられていると後ろから紺のT-シャツの女性ランナーに抜かれました。がっちりした後ろ姿で軽快に私を引き離して行きました。

 レース当日は、昨年と同様雨でした。JTBから配られた薄いポンチョをはおって出発しました。昨年は合羽を脱ぎ捨てるのが早すぎてびしょ濡れになったので、今年は日が昇るまで脱がない事にしました。走り出し早々に雨脚が強くなり、ダウンタウンやワイキキのクリスマスイルミネーションもかすみ楽しむどころではありませんでした。カピオラニ公園をこえたあたりで後ろから「みんながんばれ、みんながんばれ」という女性の声が近づき、目深にキャップをかぶり、胸の前に折りたたんだ腕を小刻み振りながら、昨日の女性がランナー集団の脇を駆け抜けていきました。なんとそれはQちゃんでした。

 まだ暗いダイアモンドヘッドの登りで早くも反対の左足のすねがつりそうになり、足底のアーチが崩れ土踏まずが、ぐしょぐしょにぬれた靴のなかですれ始めました。反対の足を痛めたら歩いて帰れなくなるという心配が頭の中に持ち上がりはじめました。そしてハイウエーにはいった15kmあたりで、いきなり今までに経験したことのないスタミナ切れ感、ブレーキがかかりました。気持ちは前に進むけれど太ももがあがらないのです。足が前に出ないのです。まだ1/3、いつもなら調子があがってこれからスピードに乗るところなのに、すでに30kmを過ぎたあたりのきつい感じなのです。気分が一気に下がり、レースをやめたくなりました。いったい、いつゴールにたどりつけるのだろうか、完走できるのだろうかと。昨年はせっかく手に入れた完走Tシャツ盗難されてしまったので、今年はなんとしても完走Tシャツを手に入れたい。それなのに先が長すぎます。取りあえず半分までは頑張って走ろう、25kmから30kmまではなんとか走りたいと歯を食いしばりましたが、なんとしても足が進みません。スピードもでません。心拍数もあがりません。初めての体験でした。ハーフ通過が2時間50分でいつもより30分遅れです。ゴール時間は6時間か、と思ったとたんさらに気持ちが下がり、とうとう歩いていまいました。折り返してきたTeam Diabetes Japanの仲間に「頑張って」と声をかけられるので、ハワイカイをまわって折り返すまでは気を取り直して走りました。日はどんどん高くなり雨もやんで暑くなり、発汗も多くいよいよばてました。30kmの給水所で残りを歩くことに決め、すいていたトイレにより、水を沢山飲んで氷水で太もも、ふくらはぎ、膝周りをまんべんなく冷やしました。一度歩いてしまったらなかなか走れません。気を取り直して走り出しても300mくらいすると足が止まっていまいます。1km続けて走ろうと思っても、どうにも頭と体がばらばらになりました。そこから先の事はよく覚えていません。残り数km、ダイヤモンドヘッドを登りかけたところで迎えにきたTDJの仲間にあいました。ゴール手前では先にゴールしたTDJの仲間の声援に励まされハイタッチをしてやっとゴール、6時間23分の長旅でした。

 6回目のフルマラソンで初めて歩きました。完走はしましたが不完全燃焼です。走る前のピーク合わせ、調整がいかに難しくて大切か、そして気持ちが落ちてしまったら走りきれないことが身にしみてわかりました。幸いにも足を痛めることは避けられたので、少し休んで2009年の元旦からやり直しです。走り込みに耐える筋力強化、そして十分練習したという安心感をもって来年こそ5時間切りに再挑戦します。マラソンをはじめてから今まで順調にきていたので、うまくいかないこともよい経験になりました。人生と同じ、山あり、谷ありです。でも、やっぱりちょっとつまらなかったなあ。