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ホノルルマラソン完走記 2005年
あらいクリニック 院長 新井 桂子

 真冬の寒気団にすっぽり覆われた日本から7時間、そこは青い空、青い海そして白い浜辺が広がる常夏の楽園でした。日本を出発する前は、まるで運動会前日の小学生のように初めてのマラソンにどきどき、そわそわしていましたが、ハワイの暖かい気候に降り立ち、広がる海を見たら心配はすっかり吹き飛んでしまいました。

 

 開業して半年ほどたった3年前に、患者さんに食事療法や運動療法をすすめるにあたって、自分でも実践してみなくてはと思い近くのジムに通い始めました。はじめはベルトの上を15分歩くのさえおっかなびっくりでした。トレーナーの指導を受けながら筋トレも始め、1年後の一昨年に初めて10km走を走りました。その時はまだ、マラソンなんて自分とは別の世界のことと思っていました。今年の夏過ぎに、運動を定期的に指導してもらっているトレーナーにホノルルマラソンをめざしたらどうか、調子がよいのでやればできるとおだてられ、その気になって参加を決めてしまいました。9月から週3回のジムでの運動の他に日曜日や休みの日に家の近所の公園を走りました。少しずつ、時間と距離をのばし、11月にははじめて多摩川マラソンのハーフに出走しました。

 

通常の私の1ヶ月の走量は80km程度ですが、10月は140km11月は30km走も含め 200km走りました。それでも、30km以上は未知の世界であり、右膝に不安も抱えていたので完走できるかかなり不安でした。ハワイにきて、いったんは走れそうな気分になったのですが、前日の下見はバスで2時間かかり、いったいこんな長い距離を走りきれるのだろうかと再度不安になりました。

 1211日、まだ真っ暗な夜中の1時半に起き、おにぎりとバナナを食べ体操をして準備を整え、寒さよけのビニール合羽をきてスタート地点のアラモアナ公園に行きました。運良く同じツアーの仲間が4人ほど一緒になったのでまとまってスタートを待ちました。周りには身動きできないほど大勢のランナーが気合いをいれながらスタートを待っていました。

 

午前5時、花火の合図でスタートしましたが、自分がスタートラインを超えるまでには20分ほどかかりました。真っ暗な中、転ばないように足下に気をつけながら歩くほどのゆっくりした早さで街の中へ走り出していきました。夜明け前にもかかわらず街の人たちが大勢、沿道で応援してくれていました。1マイルを13分で走ろうと計画を立てていましたが、最初の1マイルは17分でした。ゆっくりでも、完走がまず第一と気を取り直し、ペースも少し上げました。30分ほど走ると、人だかりがしているところがありました。あ?、給水所!という仲間の声に、あわてて立ち寄り水を取りました。あやうく、給水所に気づかず通り過ぎるところでした。これで、給水所もわかりました。

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時間半ほど走り、ワイキキ海岸に出る頃にはあたりが明るくなってきました。1マイル13分のペースもほぼ安定し、海を右手に見て早朝のさわやかな光の中を気持ちよく走りました。ダイヤモンドヘッドの登りも息もあがらすさほど気になりませんでした。急な下りは膝を痛めないようにスピードを落としてかなり慎重に走りました。ダイヤモンドヘッドをくだると高速道路に入りました。高速道路は景色もさほど変わらず単調で足も痛くなり始め苦しくなってきました。まだバラバラにならず一緒に走っていた3人の仲間と励まし合いながら、歩きたくなるのを我慢しました。

折り返してくるコーチが私を見つけ、頑張って!と叫んで行きました。いったいどこが折り返しなのだろう、と34時間目はひたすら我慢の時間でした。折り返しの池をぐるりと周り18マイルの給水所が30km少し手前でした。これからが、初めて走る未知の世界だと自分で気合いを入れ直し、膝が大丈夫なのを確認して、6時間のゴールに向けてスピードを少し上げてみました。沿道にはたくさんのボランテイアの方々が水を配ったり、コース整理をしたり、応援をしたりしてくれました。ボランテイアの方々の応援に励まされ、暑くなってきたので首や大腿に水をかけ、ひたすら残りマイル数が減っていくのを機にゴールタイムを6時間と決めていました。あと2kmの表示が出てからは足が痛くて止まりたくなってきましたが、6時間以内はちょっと無理な状況になったので、せめて第二の目標の歩かず完走を目指そうと自分に言い聞かせ、『ここでとまったら二度と走り出せない、5時間以上走ってきたのだからあと少しの辛抱だ』とこらえました。

ダイヤモンドヘッドを上って下るとゴールのカピオラニ公園が見え歓声が聞こえてきました。フィニッシュラインが見えてからの800mの長かったこと、6時間1254秒でゴールラインを踏みました。初マラソンを歩かず完走できて感激しました。やればできる、という満足感と自信で足の痛さも吹き飛びました。18マイルまで一緒に走った仲間も次々帰ってきました。来年もまたこの地を走りたい、もっと速く!

 


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