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2006年9月9日(土)の昼1時からあらいクリニック・フォーラムルームで糖尿病の勉強会を開催しました。今回のテーマは糖尿病性網膜症と腎症についてでした。皆様関心が高く22名の参加者がありました。普段「合併症」という言葉は聞き慣れているもののどれだけ正確に知っているか、また自分はどうかということになるとだいぶあやふやな方が多いと思われます。今回は合併症でも網膜症と腎症についてその成り立ちや行く末について1時間にわたり細かく勉強をしました。腎症と網膜症について下記にまとめましたので参考にして下さい。 インスリンが1921年に発見されて以来、血糖を下げる手段ができました。糖尿病でもインスリンを補充することにより生き延びることが出来るようになったわけです。この時から糖尿病の治療の目的は合併症で命や生活の質を落とさない、そのために合併症を出さない、進めないことが最大の目標になりました。 |
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1.糖尿病性網膜症 現在、成人失明の17.8%が糖尿病性網膜症によるものです。糖尿病性網膜症の発症は糖尿病を発病してからの期間が長いほど多くなります。1型糖尿病では発病後10年で60〜80%、20年で80〜100%、2型糖尿病では20年で50〜70%で網膜症を発症します。このように、糖尿病の期間が長いほど多くなります。また血糖が悪いほど多くHbA1cが8%以上では25%、つまり4人に一人が網膜症になります。はじめは網膜の毛細血管にこぶ(血管瘤)ができてそこから点状の出血をし、周りの組織が浮腫になります。この段階は単純性網膜症といいますが自覚症状はほとんどありません。次いで毛細血管の拡張や閉塞が起こります。この段階を前増殖性網膜症といいますがまだ自覚症状は出ません。しかし、この段階で光凝固法というレーザーを用いた治療により網膜がはがれないように焼き固めてしまわないと次の段階に進んでしまいます。次の段階は網膜が乏血になるため、新しい弱い毛細血管ができてそこが新しい出血の原因となります。さらに出血が硝子体内にまで及び、最終的には網膜剥離がおきます。この段階を増殖性網膜症といい、高度の視力低下がおこり時に失明に至ります。この時点では硝子体手術が必要になります。単純性網膜症から前増殖性網膜症までは自覚症状がないので定期的な眼底検査が必要です。症状がなくても眼底検査を受けましょう。治療は内科的にはまず血糖コントロールです。また網膜の血流を改善したり血管が詰まらないようにする薬物も治療に使われます。眼科的には前増殖性網膜症の段階で光凝固法というレーザー治療が、また増殖性網膜症では硝子体手術が必要です。このような網膜症による失明を防ぐには、HbA1c 6.5%以下の血糖コントロールと定期的な眼底検査がきわめて大切です。網膜症が出てしまった方も治療法がかなり進歩しているので、諦めずに血糖コントロールを行いながら失明を防ぐために眼科的な治療にとり組むことが必要です。 |
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2.糖尿病性腎症 網膜症が網膜の毛細血管の異常であったように、腎症は腎臓の毛細血管の異常です。腎臓は体内でいらなくなった老廃物を尿として体の外へ排泄するための大事な臓器です。ですからこの腎臓が機能しなくなると人工透析といって、血液を体の外の機械にかけて老廃物や水を取り除かなくては生きて行かれなくなります。糖尿病性腎症が原因でこの人工透析を新たにうける状態の患者さんは2000年には11,685人にのぼりました。いままで人工透析が必要な患者さんの元の原因の第1位は慢性糸球体腎炎という腎臓の病気でしたが、1998年頃からは糖尿病性腎症が第1の原因となり透析患者の約1/3が糖尿病性腎症となってしまいました。さらに問題なのは糖尿病性腎症で透析を開始してから5年後には約半数の患者さんが命を落とし、さらに10年後には75%、すなわち3/4の患者さんが命を落としているという事実です。 |
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院長 記 |
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