.... Barrier Free... ..
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高機能書体 ./ 私共はライフワークとして、新しい書体、『バリアフリー』の研究に取り組んでいます。
従来の明朝体いますシック体という様式を廃して、可読性を重視した新しい書体です。この可読性の部分を画像処理ソフトを使って、ロービジョン者の可読性を再現し、検証しながら制作致しました。この研究は2000年京都で行われた日本眼科学学会、ロービジョン学会で展示発表され、論文としても発表させて頂きました。デザイナーの研究活動が大きな医学学会で発表された初めての例かもしれません。
40才を過ぎれば近くが見え辛くなります。高齢化社会に突入した今、人口の51%がその年令層に該当します。もちろんそれ以外に、例えば近視の方々もロービジョンの方々と同じ文字に関する問題を抱えています。
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決定打の無い   書体市場 しかしもともとバリアフリーはロービジョン者の為にデザインされたわけではありません。文字の機能に対する最も過酷な品質検としての強度弱視者の可読性の検証だったのです。文字は今までデザイナーの極めて個人的な感性によってデザインされてきました。そういう機能を科学的に追求する土壌が無かったグラフィックの世界に対する挑戦だったのです。文字の世界だけではありません。デザイナーなら誰でも毎日経験している、「あなたの感性は間違っている。でも私にはそれが説明できない。」というジレンマ。画像のボカシを使った客観化という手法でその解決を試みようとしたのです。

もうひとつバリアフリーが持つ可能性があります。それは教育用書体としてです。バリアフリーのコンセプトである「手書き」はそのまま教科書体と同じです。教科書会社の多くは国語の教科書だけ、昔ながらの版下を使っています。DTP化が進む中でも、子どもたちのお手本となるようなコンピューターフォントが無いからということです。
一般向けと同様、教育用書体としても決定打が無いという事は、誰も既成書体に満足しておらず、この市場にまだまだ可能性が秘められている事を意味しています。
そして最も大きな可能性はレジビリティフォントとしてのものです。
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画像処理ソフトウェアを使用した検証 .もともとバリアフリーはボカシという画像処理をかけて、その可読性を検証してきました。ボカシというのはまさにその解像度を落とすという事に他なりません。液晶やEブックなど様々なメディアを通して、劣化されても可読性が保てる文字。それがバリアフリーのメインコンセプトです。具体的に言えば、今までの書体は正しく作った文字を劣化させてきました。今、私達が試みているのはその逆です…レジビリティに特化させた文字の制作の具体的方法論を検証中です。

そしてもう一つ、今、そのボカシに対して大学の研究室と臨床的な調査を進めています。今までは単に画像をぼかして見える文字ということでしたが、これと距離、視力、照度などの数値的な連動を探るのです。これによってある平面を、ある距離の場所で、正常視力、もしくは0.7や近視、弱視などで見た見え方をパソコンの画面上で再現できるプラグインが作れるのです。もし、これがサインに対するガイドラインに使用してもらえたら、見え辛いサインは無くなります。

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バリアフリーサイン . そして今、バリアフリーのサイン用仕様も制作中です。近く実験的に大学病院でサインとして使用される予定です。
最近、サイン用として多用される書体はモダンタイプの四角くデフォルメされたものです。確かにデザイン的には洗練されていますが、文字本来の形から逸脱した要素も含んでいます。そこで全体のフォルムはプロポーショナルに、即ち文字本来の自然な形を保ったまま、横線の太さ、隙間を調整。更にそれぞれの文字の骨格を強調することにより、可読性を維持しました。また、500ポイントや1000ポイントなど巨大な大きさで使用する場合、通常のヘヴィでも細く感じてしまうことがあります。このような巨大な文字はまた違った別のロジックで制作しなければなりません。バリアフリーサインはこのような特殊な大きさ専用のタイプも網羅しました。
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言語のバリアを除く共通コンセプト バリアフリーは明朝、ゴシックの従来のスタイルを廃して手書きというキーワードで創られた書体です。このスタイルは、すべての国の文字に適用できるはずです。グローバルファミリーフォント。
言うまでも無いことですが、パッケージやタッグだけでなく雑誌やネットでもグローバルな構成はますます必要になってくるでしょう。

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バリアフリーから 世界へ バリアフリーは日本発だからこそできるプロジェクトです。日本語の文字は世界で最も複雑と言えます。漢字の多様性に加えて、ひらがな、カタカナという独特のバリエーションを持っています。日本人のデザイナーなら中国語の繁体文字はデザインできるでしょうが、漢字専門の中国のデザイナーにとってひらがなはむずかしいでしょう。ラテン文字のデザイナーにとっては更に遠い存在のはずです。
今まで日本のデザイナーは日本語というバリアに包まれてきました。バリアフリーはそのバリアを武器に世界に発信するプロジェクトです。

バリアフリーからグローバルなユニバーサルへ
今世紀をかけて私達がやりたい仕事です。