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2003年11月19日から翌5月18日まで半年間。中国、東南アジア旅行記


チェンコン(タイランド) Date: 04/03/24 (Wed)
朝食も摂らずタイ国境の町フェイサイ行きソンテウに乗った。1M強の荷台に大人が横並び2列で計8人。お互いの肩を互い違いに入れて詰めていた。後ろトラック荷台のフチに座布団が置かれた席が空いている。常に捕まっていないと弾き出される緊張感の中、対向車が巻上げる土煙を屈み息を止め耐える。途中タイヤがパンクした。結局、砂埃で霞む進行方向後方を8時間弱眺め続けた。対岸はタイランド、チェンコン。多分、今回の旅最後に見る事になるメコンが夕日でキラキラと光っていた。

チェンセン Date: 04/03/25
中国人経営のGHは「辺境招待所」英語名「ボーダーゲストハウス」。中国での国境は「辺境」とされるらしい、分りやすい華人思想、日本人からすると皮肉にしか見えない。昼、ゴールデントライアングル基点の町チェンセン着。お洒落な雑貨屋やらカフェやら、、中でもスポーツジムの存在に先進国を感る。とうとうタイに入ってしまった。

ゴールデン トライアングル Date: 04/03/26
ゴールデン トライアングルはラオス、タイ、ミャンマー国境が接する3角地域で、かつて世界のケシの7割を生産していた巨大麻薬カルテルがこの地を支配していた。今はすでに錆びれた観光地、オピュウム(アヘン)博物館がある。行きは10B($1=39.5B)だが帰りの交通手段がない事に現地で気づき、トラックの荷台に飛び乗る。河沿いの屋台で貝、魚、ビール。赤い皿のような上弦の月。

メーサイ Date: 04/03/27
ミャンマー国境と接する町メーサイ着。怪しげな宝石や骨董、ミャンマー工芸品。独特な空気と賑わい。金網の戸を引き入る細道の先の宿。シャワー付きダブルルームを半値の100Bに値切ったにもかかわらず、夕暮れ、宿の主人が鶏肉とご飯をくれた。この主人は老人の独り暮らしの侘しさか?何かにつけてドアをノックする。宿の番犬が凶暴、殺意を感じる。

熱視線 Date: 04/03/28 (Sun)
朝方、宿の主人がスイカをくれた。メーサイはタイの中では非常に物価が安い。さらに底値を狙う。彫刻された銀の細工、仏像ネックレスを購入。飴玉のように大きな銀の数珠の首輪は4500Bから1900Bへ。買わないが。重量を測りグラム計算させる事で値切りやすく良く落ちる。1日ミャンマーに入国しようとイミグレーションに向かうが日曜は休み。夕暮れ、宿の主人が何かの卵とじとご飯をくれた。辛い。国境の橋では小さな子が物乞いに励んでいた。受け取った20Bを手に袂で佇む母親のもとに駆けるその嬉しそうな顔。テーブルから落ちた残飯をカスめる為に屋台周辺には常に大型犬が徘徊していてた。犬と見つめ合う夕食。犬には表情がある。舌を出し荒げる呼吸がアピールのように見える。酔っては滲んで見える屋台のタングステンタイトに強い異国感を感じた。

チェンライ Date: 04/03/29
タイの乗り合いタクシー(トラック荷台)を「ソンテウ」というが実は今日まで「テンソウ」と言っていた。スポック船長さながら、、何とかナついた狂犬とその気の良い主人と別れ、バスで2時間チェンライに着いた。安っぽく光る外観のバス。緑と赤、黄とその補色同士が隣接する最悪のセンス。天井は総ステンレス張りで乗客のツムジを意味なく写す。まるでラブホテル。久しい自動ドアとピザ。席について注文する。お買い得セットで59B。手のひらサイズのピザにがっかり。

現像日 Date: 04/03/30
中年日本人経営の食堂は、定年を終えた年金生活者の溜まり場で、税金で若いタイ女性を手篭めにする事と、ゴルフのスコア以外考えていない。連中には何かが酷く欠落しているように思えるが、それについて考えるのも面倒臭い。撮り終えたフィルム全てを現像した。プリントはかさ張るのでインデックスだけ。宿で2cm角の絵をくり返し眺めた。夜市の屋台で夕食。蚊が多い。

エレファントキャンプ Date: 04/03/31 (Wed)
借りたバイクで河川敷の砂利道や山中を迷いエレファントキャンプの対岸に偶然着いた。そこから対岸に向い叫び、象に乗って川を渡えた。象の背中は踏みしめると柔らかく微妙な肉感。全身に硬く針金のような毛が生えている。肩幅は意外に狭く、歩く度肩甲骨が左右交互に盛り上がりかなりユれる。アカ族の村を象の背中から眺めた。対岸まで送るとの誘いを断り、帰りは服を脱ぎバイクの停めてある対岸まで歩いて川を渡った。18時、バイク走行中突然、局地的な多分竜巻に遭った。目が開かない。宿屋上でコンビニ食をビールで胃に流す。

 Date: 04/04/01
朝起きるなり政府経営の射撃場へ向い銃を撃った。36mmの回転式(リボルバー)に6発装填。1発9B($100=3950B)。背後の係員は常に警戒して彼の腰の銃をチラつかせていた。黒い光沢がズシリと重い。音に驚くが反動は予想内で少し手元が動く程度。打ったと同時に的奥の土嚢に土煙が上がった。弾道など見えない。避けられない。この時、振り返り係員に銃を向けたら当然射殺されるであろう緊張感。祭りでのコルク弾の射撃は昔から得意だった。両手で構える事で命中度が上がり、15M先40の的に全弾命中。昼下がり郊外滝壺の岩上でひと眠り。ラフ族の村では子供が捕まえた雀の足に紐を括り地面に転がし遊んでいた。それを突然黒い猫がカスめた。子供が詰め寄ると猫は逃げたが雀は動かなくなっていた。泣き出す子供。

メーサロン Date: 04/04/02
メーサイに北上するバスを途中下車、ソンテウをチャーターし1時間。国道沿いにいくつかの商店や学校が並ぶだけの山間の村メーサロン着。宿は3軒。段々の茶畑。メーサロンには40年ほど前に中国共産党に破れ逃れた国民党(以後台湾を統治した)の残党が作った村が近く、学校では未だに中国語での授業が行われていた。村近隣に住む山岳民アカ族にも中国語が通じる。宿名はアカゲストハウス。アカ族の家族経営。良い宿。入口左1番安い部屋には「フカダキョウコ」のポスターが12枚貼られている。息子の趣味らしい。どうも落ち着かない。日本に近い文化に接し生活するこの家族を見て3/23の日記を訂正したくなった。もしアカ族がスーツを着て満員電車で通勤しようとも独自のルーツを持つ民族である事に変わりはない。向こうからおかしなおじさんがハーモニカを吹きながら近付いてくる。

ブランコ Date: 04/04/03
朝、寝ボケてキーを部屋内に残しドアの南京錠を閉めた。 近隣のアカ族の村では女性のほぼ全てが艶やかな衣装に包まれていた。祭りだろうか?スカートとスネアテ。銀兜。黒に染めた綿に暖色の刺繍。その要所に銀細工やコインで装飾されている。男は中央広場で木製のコマを回し、その周辺で女がそのさまをネタに茶飲み話に興じている。子供はシーソーや竹馬、ブランコで遊び回っていた。ブランコは背の高い4本の木の交点を自転車タイヤをでマトメ、そこから縄を垂らしただけ。好き勝手に一通りの遊具を借りて独り遊びの2時間。移動アイスクリーム屋が来た。ガキは母親の許に走り小銭をねだる。腕にぶら下がったり、地団駄ふんだり。母親が渋々財布を開きコインを手渡すサマは日本と同じ。あまり味のしない半溶けアイスをロールパンに挟んで食べた。夕暮れ、竹の節を貫いた筒を地面に叩き付け昨日会ったおじさんがリズムを刻む。女達が輪を作る。シンバルとジャンベ。勧められ輪に入るとなぜか若い女が多数抜けた。その後突然、村民が正装している理由が突然解った。ミニバスをチャーターした観光客の団体が村に入って来た。テレビカメラまで担ぎ出し取材を兼ねているようだ。気付くと村民に紛れ横並びストロボを浴びる自分がいた。

リス、ラフ Date: 04/04/04 (Sun)
立ち寄ったリス族の村では果物と茶を薦められ打ち解けた事が理由で要らない腕輪を買った。稚拙な刺繍が入った観光客用の装飾品で自分達は身につけない。彼らは光沢のある淡い原色の緑、青、赤の生地。ルーヅなシルエットの民族衣装を着ている。さらに奥、ラフ族の村では少し英語の出来る青年から話を聞く事が出来た。村の8割りがクリスチャンで残りが精霊崇拝。土日は仕事をしない。彼の家族は11人。40年前までケシを栽培していた。本で読んだが彼らラフ族は唐に滅ぼされた高句麗の末裔だとか。過去、大国を治めた民が今、お互いの体を枕に重なり寝ていた。

パイ Date: 04/04/05
今朝まで滞在したアカゲストハウスでは毎朝、買物帰りのアカ族主婦が私が滞在した部屋の前のロビーに集まる。煩くて早く起こされる。彼女らの子供は日本のアニメ(テンテンくん)に夢中になっている。テレビの普及率はまだ低い。プロバンガスで湧かすシャワー。扱いが難しく時折危険な匂いがするが、その度、親切な主人が駆け付けてくれた。タートン、チェンセン、ファンとソンテウで刻み、チェンアライからバス。18時パイに着いた。ツーリスト街、なぜかラオスのヴァンビエンを思い出す。久々にネット。長文を送信するとPCがフリーズ。

夏眠 Date: 04/04/06
店員が消えて会計が出来ないので朝食後のレストランで少し寝る。バンガロー2階の部屋に上がる階段手前に黒い猫が1日中寝ている。半開きの口から覗く牙、肉球は天井に向いて投げ出されている。前を通ると半眼を少し開け、けダルそうにすぐ閉じる。見ていると眠くなる。部屋に戻りシャワーを浴びて楽な民族パンツに着替え本格的に寝る。夕暮れ、川沿いのレストランで少し寝る。今日もカレー、タイカレーにハズレなし。夜、特にする事もなく早く寝た。

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