長岡純子ピアノ・リサイタル

日時:11月29日(木) 7時開演

場所:浜離宮朝日ホール

主催:朝日新聞社

プログラム:

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」ハ短調Op.13、

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調Op.90、                   

シューマン/子供の情景Op.15、                               

シューマン/クライスレリアーナOp.16

今日ももちろんすばらしい演奏だった。アンコール二曲を弾き終えて、長岡さんが舞台の外に隠れると、かなり(数十名以上の知人またはファン)方が楽屋を訪れ、長岡さんと歓談した。長蛇の列の先頭の方にはトリトンの三木さんがおり、中ごろにはチェリストの山崎伸子さんがいて長岡さんと長い抱擁を交わす。私の後ろにも古くからのファンがいて高校生の時代に大学生の長岡さんが演奏してくれたと話している。

昔の話はもしかすると今日来られたAPAの理事もしている田園のバッハさんのお母さんが長岡さんの先輩だったかもしれないので何か情報をお持ちかもしれない。

さて今日はたまたま銀座で仕事があったので、築地のすし好でゆっくりと食事をし少し早めに会場に到着した。会場ではCBSから出ているベートーヴェンの他にオランダ製のシューマンのピアノ曲集も販売しており今回はシューマンを購入した。

演奏は7時を少し回ったころで最初の曲が悲愴が始まった。かなり響くホールなのにもやっとした感触は全くない。重厚に響く和音にのって思いっきり表情のついたフレーズが歌うように流れる。2楽章では3連譜のテヌートとスタカートの対比、3楽章の軽快なリズムなど初めから十分に聴き応えのある演奏だ。27番は普段聴く機会がほとんど無いが、長岡さんの演奏は隙の無い完璧な演奏。CDでの演奏をはるかに上回る重厚で充実した響きが堪能できる名演でした。

プログラム後半はシューマン。前半の好調さを維持しつつテンションの高さで聴衆を魅了するというより、自然で肩の力が抜けたやさしさで包み込むという感じだ。クライスレリアーナでは左手が右手と交差するとき上を行ったり下を通ったりとと忙しい中で指を立てたり寝かせながら柔らかな音色を保ちつつ決してぼやけない芯のあるクリアーなサウンドを楽しめた。

アンコールはシューマンの森の情景から予言の鳥とアラベスクで、初めて聴く予言の鳥ではきらりと光る高音も楽しめた。