タイトル :  演奏会>1月のワシントンの演奏会から    ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年02月01日  12:26:50 こんにちは、ブラキチです。1月は旅行と出張でほとんど西伊豆には 居ませんでしたが、ワシントンD.C.に二度ほど出張し以下の演奏会に 行くことができたので報告します。 1.イスラエルフィル(98.01.12)   ホール:ケネディセンター コンサートホール   指揮 :ズビン メータ   独奏 :ギル シャーハン(Vn)   プログラム:Anvi     Communion         Bruch     Vn協奏曲No.1         Stravinsky  春の祭典 最初のAnviという人はイスラエルの作曲家でドイツに生まれてイスラエルと 米国で音楽を学んだ人だそうである。今回聴いた曲は、砂漠の風景という 交響曲の第2楽章として作曲されたもので、あまり変化の無い短い曲だった。 次のブルッフはドイツの若いバイオリニスト シャーハンの独奏で確実な テクニックと美しい音色できれいに仕上がっており、会場からはブラボーが 飛んだが、私にはもう少し歌って、ぐいぐいオケを引っ張るような演奏(又は、 オケがもっと頑張ってもよいのだが比較的おとなしかった。)がほしかった。 最後に演奏された期待のおおきな春祭だが、残念ながらあまり良い出来では なかった。原因は2つあると思う。1つはイスラエルフィルが米国のオケに 比べあまりリズムやダイナミックスな変化に強くないという点。メータの 指揮が昔に比べてややおとなしくなり、躍動感のある表現が薄らいでいる点だ。 昔のロスフィルとのレコーディングが強烈なインパクトを持っていたので 期待が大きかっただけに残念であった。 2.フィラデルフィア オーケストラ(98.01.26)   ホール:ケネディセンター コンサートホール   指揮 :ヴォルフガング サヴァリッシュ   独奏 :ハロルド ロビンソン(Cb)       ジェフリー カーナー(Fl)       エリザベス デピータース(Hp)   プログラム:Anderson   CbとHpのための協奏曲         Mozart    FlとHpのための協奏曲         Haydn    交響曲101番 時計 最初のアンダーソンでは作曲者自らステージで曲を解説した。最初は コントラバスの音域について。フィラデルフィアのコントラバスも全員 アダプターをつけて低音域を強化している。David Andersonはニューヨ ーク州バッファローに生まれ現在ニューオリンズ在住の若手作曲家(35歳) でこの曲は昨年6月ヒューストンで開催されたバス奏者の国際会議で初演 された。曲はハープのオブリガードを伴ったコントラバスコンチェルトと いう感じで、3つの楽章からなる。第1楽章はプロコフィエフのメロディ風 で(作曲者はショスタコを意識したようであるが)第2楽章はゆっくりと した緩徐楽章でバーバーのような雰囲気だ。第3楽章は1楽章のメロディを ショスタコ風にアレンジしたような曲でリズミカルで楽しめた。この曲で もっとも重要なことは弦のアンサンブルがとても美しく響くということだ。 フィラデルフィアのCbトップ奏者のロビンソンも確実な技術と美しい音色で 好演した。 次のモーツァルトもフィラデルフィアの若手トップ奏者のカーナー(細身で 長身)、とデピータース(とても若くて美人)の共演で、やや早めのテンポで 軽快な演奏であった。カーナーはやや控えめな演奏であったがデピータースの ハープは大変リズムの切れがよくフォルテの響きを工夫すれば今後トップク ラスのソリストになれそうである。 最後のハイドン、これはいろいろ考えさせられた。全体的には中庸のテンポで どっしりとした存在感のある演奏ではあり、会場の拍手もこれに答えるもので はあった。しかし何か足りない、訴えてくれるものが無い。時計のメカニック だけが強調されているようでこれを使う人間の息づかいもほしかった。 ということで今回の収穫はアンダーソン。今世紀を代表するCbの名曲に なるという予感を感じる。 Brahkichi -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>メトロポリタンオペラ ホフマン物語(98.2.4) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年02月08日  03:18:29 西伊豆のブラキチです。相変わらず皆さんの活動報告を読む時間が取れて ませんが、海外での演奏会報告も増えているのではないかと思います。 今回は、ちょっとした手違いで、ホフマン物語を見ることができました。 この手違いというのは、元々リンカーンセンターでプレヴィン指揮の NYPでエルガーのチェロコンチェルトを聴こうとしてたのですが、私の 勘違いで、水曜日はお休み。という事で急遽見たことがないホフマン物語を 見る事にしました。ここで大切な事は、切符は8時の開演前に買って おかないと入場できないという事です。ただし、出張者の場合飛行機が遅れて (米国では2ー3時間の遅れなどざらにあるので、遅れてみられなくても何の 保証もない)見られないなどリスクは大きいので、移動当日の切符購入には 相当の覚悟が必要です。当日も飛行機が遅れて、会場には8:30過ぎの到着。 もぎりの人には切符がないと入れないしもう切符は売ってないといわれ、 普通であれが入れないところをいろいろ理由を付けて何とか中に入れてもらい 第1幕は遅れた人が待つ大画面TVスクリーンの実況中継室(ここは練習室と 思われの数十名ぐらい入る階段状のミニホールで、グランドピアノも設置 されていた。)の手前の踊り場で小さなTV画面を見ながら軽い食事を取り、 舞台を見る事ができた。見るといってもほとんど米粒状で誰が何をやっている のかさっぱり不明だが、最後に近い場面では、コロラトゥーラ(Olympia役は Natalie Dessay)の歌声ががんがん響き渡り会場が盛り上がっている様子が 伺われた。 さて1幕が終了して休み時間に切符を購入するはずだったが、指定された場所に マネージャ氏が現れず、結局日本から来られた出張者から運良く切符を譲り 受ける事になってしまった。 そこで早速ホールに入ってみると、結構広い。オーケストラ(1回の席)から 見ると上に6つフロアがある。字幕は目の前の席に小さなスクリーンがあり そこに写るが、舞台を見ていると視野の中に一緒に入れる事はできない。 第2幕は3人のloverの内Antonia(NH州マンチェスタ出身Patricia Racette) のが活躍する場面であったが、Racetteが控えめで全体に静かで面白くなかった。 第3幕はただいま売り出す中のアトランタ出身のメゾソプラノJeniffer Larmore のGiuliettaは線が太くどっしりとしたよく通る声で健闘していた。  また、ホフマン役はRichard Leechという人でそつなくこなしていたが、今一つ アピールするものがなかった。 指揮のシモーヌ ヤングは手堅い指揮だが、構成が小じんまりしていて、 克つあまり歌わない。ただ短期間で仕上げる能力はありそうなのでビジネス ライクのアメリカではかわれているのかもしれない。 舞台の作り方はサンフランシスコとほぼ同等で非常に奇麗だ。ただ、響きは 柔らかなでクリヤーな響きを伝えるサンフランシスコに比べると、メトは やや固く少し不明瞭な部分を感じた。 Brahkichi(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>西伊豆の2、3月の演奏会        ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年03月04日  18:37:59 ブラキチです。2/5はボストンでハイティンク指揮のBSOを聴く予定が 飛行機が5時間も遅れて聴けず、2/18に地元に近いクパチーノでサン フランシスコ響を聴いただけ。3月は3/15に所属しているオケの演奏 会があり、本当は練習に出なくては行けないところをいろいろな事情で 今夜(3/3)はサボってヨーヨーマのリサイタル、後2回の内3/25 のブロムシュテットのブルックナーは一時帰国のためキャンセル、3/29 は東京SQ+ゴールワェイを買ってるが帰着日のためやや苦しいところ。 という事で、3/22の週は東京のどこかでCLAの皆様と顔を合わせる事 があるかもしれません。MATとか演奏会があるようでしたら声をかけて ください。 とりあえず、西伊豆(米国カリフォルニア、サンフランシスコ、サンノゼ 周辺)でいままで聴いた2回の演奏会を紹介します。 1.サンフランシスコ響フリントホールシリーズ(2/18)   指揮,Vn  ウラディミール スピヴァコフ   プログラム        バッハ     2Vn協(1st Vn マーク ヴォルカート)      シェーンベルク 浄夜      バッハ     オーボエ&Vn協            (ウィリアム ベネット(Ob)、スピヴァコフ(Vn))      バルトーク   ディベルティメント サンフランシスコ響を弦楽合奏で聴くのは初めてだがすばらしかった。少なく とも先月聴いたフィラデルフィアの弦楽パートより木目細かくしなやかで ずっとすばらしい。特に私の大好きな浄夜をこのオケ(4,4,3,2.5,2)で 聴けたのはラッキーだった。スピヴァコフはVnの音が大変美しくよく歌う ので、バッハで1stを好演したコンマスのヴォルカートも影が薄くなって 気の毒だったが、指揮もVnに劣らず優れており、浄夜でもアンサンブルが 乱れることなくダイナミックなクライマックスを演出していた。 後半のバッハではベネットがアメリカのオケならではの完成度の高いテク ニックでバッハを好演し、バルトークではシャープなリズムと粘りも出て バルトークらしさを十分堪能できた。 2.ヨーヨーマ リサイタル(3/3)  サンフランシスコのブラウンホールで昨年9月にあったバッハの無伴奏 組曲の残り(1、2、6)を今回はやっと聴くことができた。 従来のヨーヨーマはテクニックは抜群だが音楽の内容も音色も今一つ問いう 印象だったが、今回15年ぶりぐらいで聴いてみて、印象がかなり好転した。 その大きな要因はフレージングだ。従来の演奏はどうも力が入りすぎて余裕 のない堅苦しいものであった。今日聴いた演奏は高い集中力でテンションを 維持しているにもかかわらず力が抜けのびのびとした演奏であった。また良 くコントロールの効いた陰影のある表情は群を抜いており、ビルスマと並んで バッハ演奏の最高峰を極めつつあるとの印象を得た。テンポは1番がやや遅め 2番がかなり早め、6番が意外に遅めのテンポで、楽器は昨年購入(やはりス トラッド)したものを後半の6番で使用したとのことだ。曲が大部違うので 違いははっきり分からないが、新しく購入したものは最低音域の響きがずしんと 強力になったような印象を持った。また、旧来どういうボーイングをしていたか はっきり記憶はないが、今回はかなり短く持っており(箱の部分にはまったく指が かかっていない)、弓の握りと長さを犠牲にしてコントロール(表現)を重視した という事であろうか。さらにヨーヨーマの弱点というのも考えてみたが、 今回はあまりにもできがよかったので止めとく事にしよう。 ついでに、私は2階中央の最後列で聴いていたがそのとなりに友人が座り友人が その隣の人と話していたが、その人は最近のCDも持ち昨年の前半のリサイタル の聞きアンコールに何を弾いたかも教えてくれる通だった。 帰りに友人がその人が何者は教えてくれた。何と盗みで6年間刑務所に入ってい たとのことだった。さすが、何でもありのアメリカだ。ちなみに今回のアンコールは 聴衆にご要望を聞いて決まった第4番からサラバンド。 -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>N響定期(Cプロ3/28)    ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年03月29日  09:42:43 おはようございます。今週は休暇を取って東京にいます。 昨日は久しぶりにMATの練習に参加しようと思ってましたが、皆さん忙しそうで 中止になったようなので、急遽N響に行くことにしましたが、大正解でした。 指揮:シャルル デュトワ プロ:ロッシーニ 歌劇「セビリアの理髪師」序曲    マルタン  プティト・サンフォニー・コンセルタント          吉野直子(Hp)、上田晴子(Pf)、本荘玲子(Hc)    ブラームス P協Nr1          ブルーノ レオナルド ゲルバー(Pf) 日本はいいですね。こんなに良い演奏が、衛星放送で生中継されるのですから。アメリカ じゃメジャオーケストラでさえ、TV放送はほとんどありません。年に数回NYPがある 程度です。 さて、演奏ですがロッシーニはデュトワのすばらしい指揮に対しオケの反応が今一つです が、全体としては弦のアンサンブル、木管の音色とも悪くはない出来と感じました。 次のマルタン、弦を左右の2グループに分け、Vn,Vla,Vcのソロもあり視覚的に も楽しめますが、3人のソリストのバランスに少し問題があり(何故かハープシコードが うるさくハープがあまり聞こえない)2楽章はあまり特徴がなく眠ってしまいましたが 、 1楽章の単純なメロディーや3楽章のにぎやかさはフランス(作曲者はスイス人)ものら しいエッセンスを感じる事ができた。 さてゲルバーのブラームス。ウーーン、ゲルバーといえばブラームス、ブラームスといえ ばゲルバー。この人がいれば他のピアニストはいらないといえるほどすばらしいのですが なぜすばらしいのでしょう。力任せに強打してないのにNHKホールの後部座席まで良く 響く音、良くコントロールされた切れの良い硬質な響き、共感の持てる大きくゆっくりと 流れる構成を持ち語りかけるフレージング。弦も8、7、6、5、4という大きな編成で がんばっていた。 今回のN響は弦の音色は世界のトップクラスと感じたが、管の音色は良いは技術的な向上 (リズムが甘い)、弦のアンサンブルの一層の向上、ティンパニ奏者の変更(音が小さい しリズムも悪い)、ホルンセクションの入れ替え(音色リズムともに駄目:米国の2流オ ケでもずっと良い音がする)等今後目標を持って改革していかないと、世界のトップレ ルに入れないローカルオケに終わってします。クレームばっかりですいません。                                 ブラキチ(東京) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響 (98.4.18) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年04月19日  18:08:44 こんにちわ/こんばんわ、ブラキチです。 最近のサンフランシスコ響(SFS)はすごい。恐らくアンサンブルで対抗できるのは シカゴ響ぐらいしか無いかも知れない。しかし、演奏会は競技会じゃないので いくらオケが良くたって、良い指揮者が来てくれないと、それにアメリカじゃ なかなかいい指揮者がいないし.... ところが、今日初めて聴いたサンフランシスコ響の副指揮者であるAlasdair Nealeという人 すごい!!! 恐らく、今まで聴いたSFSの中でもベストに入るすばらしい出来。今まで演奏会で かつてブラボーと叫んだことはなかったが、本日初めて叫んでしまった。 それではなぜ良いか、盛りだくさんの4つの曲目から順に振り返ってみると、 最初はハイドンの第73番のシンフォニー。非常に整った木目細かな弦楽合奏を 骨格のしっかりした低弦が支え、大変めりはりのある演奏。こういう演奏を聴くと SFSでハイドン全集を出すような企画だあると思わずのってしまいたくなる。 2曲目のシューマンのピアノコンチェルト(ソロはエレーヌ グリモー)は グリモーの細身からだからは信じられないようなボリューム感ある演奏に ぴったりとつけ、伴奏者としての質の高さも確認でき、 3曲目はデンバーに生まれボストン在住の女性作曲家Marti Epsteinとい人の小品 ”Celestial Navigation”。こういうタイトルの小説があるらしいが、隣で 聴いていた娘は天空への案内というより、墓場に死体が沢山見えるようで恐ろしい 感じだといっていた。現代曲への手応えも万全だ。 最後は大曲エルガーのエニグマ変奏曲。娘は2曲目の後の休憩時間にもう帰りたいと 言っていたので、この渋い曲を聴いてあくびを出して寝てしまうかと思ったら 何とこれが1番よかったという。それほど変化をつけてめりはりのある表情いっぱい の演奏で、確か私の所属しているオケで昨年これをやったとき聞いてるはずなのに これについては何も記憶が無いようだ。 このニールという指揮者の特徴は動きに無駄が無く全て音楽の表現に結ぶついて いることだ。表現しようとする音楽がめりはりがあって分かりやすい上に、 視覚的にそれを確認できる。つまり演奏者も聴衆も一体となって彼の世界に 引き込まれてしまう。又、表現に唐突な所がなく思わず納得共感できてしまう ところが特徴だ。指揮ぶりはある時は広上淳一のようにダイナミックに、ある時は MTTのようにスマートに変幻自在だが奇をてらった所がなく、伝統的解釈に 基づく音楽でいっぱいだ。現在30代半ばだが10年以内のメジャーオケのシェフを 期待する。                       ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響(98.5.7)   ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年05月08日  17:22:49 先週はビルスマがバロックオーケストラと共に来て近くで演奏会があったのに 仕事が忙しくて行けず悔しい思いをしたが、今週のハレルは元々買っておいた 切符が自分の演奏会と重なって、やむなく会社を半日休んで、初日のマチネー に行くとにした。 指揮: MAXWELL DAVIES  HAYDON          交響曲第22番  SHOSTAKOVICH       チェロ協奏曲第1番(Vc Lynn Harrell)  MAXWELL DAVIES      A Reel of Seven Fishermen      (SFSによる委嘱作品で世界初演) 最初のハイドンは今回もすばらしい演奏でした。指揮者によってもちろん 多少代わってきますが基本的にSFSに合っているという印象は今回も変 わりません。持ち味の透明感のある音色と今回は自然なしなやかさがあり ました(バスはあまり強調されず全体的に軽い響きでした)。 次はお待ちかねのハレルのショスタコ。チェロを左手で軽々と持って、着 席すると、楽器が2回りぐらい小さく見えます。CLA音楽院で連載中の シャープさんのインタビューにまもなく登場する”Bear Hug:熊の抱擁” という言葉に思わず納得していまいます。日本人だとこれが抱擁にならず しがみつくような感じになったりしますが... さて演奏ですが、この大型でがっしりとした体格と体力だけでショスタコ の要求するサウンドに十分答えることができそうですが、スコアも十分吸 収しまるで自分で指揮をしているような感じで非常にテンションも高くす ばらしいものでした。強靭なボーイングに良く回る指、音がかすれたり、 ハーモニクスを含めてはづれる事がなく完璧な演奏で、観客からもブラボ ーが飛び交う完成度の高い成熟した演奏でした。 ただ、音色は広域の倍音が少なく感じられる(これは本日使用した楽器の 問題だと思いますが)ものでもう少し延びのある音が期待できればよいと 思いました。 最後のデービスの作品は比較的オーソドックスな作品であまり新鮮な響き は感じれられなかったが聴衆にはおおむね好評でした。なお、Reelとい うのはスコットランドのダンスの形だそうです。どちらかというと半分 ぐらいは瞑想曲という感じでした。 ハレルさんには休憩時間にあって少し話を聴きました。今日使った楽器は モンターニャ(1720)の方でカデンツァを弾くにはこちらの方が良いという ことでしたが、日本ではデュプレのストラディバリウス(1673)を使った そうです。席に戻ってからもらったサインを良く見てみると、なんとサイ ンの下に漢字で日本と書いてありました。これにはびっくり!!!                        ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>フィラデルフィア オーケストラ(98.5.12)ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年05月18日  17:05:42 もう5日も経ってしまいましたが、先週火曜日にクァルテットの仲間を 誘って1月にワシントンで聴いてあまり出来の良くなかったフィラデル フィアオーケストラを今度はサンフランシスコで聴きました。   ホール:デーヴィス シンフォニー ホール(SFSの本拠地)   指揮 :ヴォルフガング サヴァリッシュ      プログラム:HINDEMITH  ウェーバの主題による交響的変容         WEBER    交響曲第1番         TCHAIKOVSKY 交響曲第5番 今回のフィラデルフィアはものすごくよかった。 サバリッシュはおそらくこの3曲を何度も演奏して知り尽くしているの であろう、暗譜で完璧にオーケストラをコントロールしていた。 弦は1stVnから87654プルトの大き目の編成で、チャイコフスキーには 1番ホルンにアシスタントをつけ、往年のフィラデルフィアサウンド(華や かでマイルドな響きを保ちながら大編成による重厚で厚みのあるサウンド が聴ける)を彷彿とさせるすばらしいサウンドが楽しめた。 最初のヒンデミットは4つの曲の性格(ジャズ風、バルトーク的民族音楽、 コラール風やマーチ)が、カラフルに表現されていたしウェーバはファ ゴット等の名人芸が楽しめたし、チャイコフスキーは米国のオケで名手 ぞろいのホルン奏者の中でも最もホルンらしい柔らかで暖かい響きがすば らしいコントロールを持って聴く事ができた。 確かにSFSもトップクラスのアンサンブルを維持しているが、このよう な響きを聴いてしまうと、ヨーロッパから遠い分響きの輝きや艶がやや色 あせているような気がする。また、サバリッシュの経歴の中に1953年に最 年少でBPOの指揮者になったとあり、1964年からはN響を毎年振っており 唯一の桂冠指揮者と書いてあります。学生のころは大変お世話になった サバリッシュにはもっと頑張ってほしいし、N響も世界が注目するオケに なってほしいと思うのだが... Brahkichi(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- 記事ID :  8715 タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響(98.5.16)  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年05月18日  17:06:48 昨日は2年前ブラームスの六重奏をいっしょに共演させていただいたヴァ イオリニスの案内で聴きに行った音楽会(98.5.1)で知り合ったビオラ奏者 のお母さんのチェロ(ビオラ奏者のご主人が作った楽器でこのプロ奏者の ビオラが良い音をしてたので買う気になったが、名も無い職人が作ったに してはものすごく高い。しかし、サンフランシフコのモンタニャと言われ るとおり、ものすごく大きな音が出て結構張りのある美しい音を持ってる。 少なくともイタリアの1000万円程度の古楽器よりははるかに良い音がする。 2、3調整してもらって来週から使い事にした。)を購入した帰り道に、久 しぶりにMTTが振るSFSを聴いた。   ホール:デーヴィス シンフォニー ホール(SFSの本拠地)   指揮 :マイケル ティルソン トーマス(MTT)      プログラム:KIRCHINER    MUSIC FOR OTCHESTRA (SFSでの初演)         SIBERIUS   Vn協奏曲 (Vn サラ チャン)         MTT       Agnegram           BRAHMS-SchoenbergPf四重奏(オーケストラ版) 今回も盛り沢山の4曲構成で、この4曲がそれぞれ個性豊かで面白く、また 気合の入ったMTTの指揮ぶりを左前から楽しむことができた(このホー ルでは初めてのオーケストラを囲むテラス席でSFSの各奏者の表情を間 近に見ることができたし意外に響きは悪くなくSFSの正確無比な合奏力 に改めて感心した)。 最初の曲のキルシュナーはNY生まれの79歳の作曲家でUCバークレーや ハーバードなどで教鞭を取り今回演奏された曲はNYPのために作曲され たもので、ストラヴィヴィンスキーやペンデレツキーの影響が感じられる 変化のある曲でピアノのソロもあり面白かった。2曲目のサラ チャンは数 年前のN響でのチャイコフスキーを思い出すが、基本的な演奏スタイルは 17歳になった(というかまだ17歳?)今でも変わらずテンションの高い情 熱的な演奏、これに余裕のあるスマイルも加わって会場の熱狂的な拍手を 受けていたた。二十歳まではこれでもよいかもしれないが、もう少し繊細 な表情と音を演出できれば超一流の演奏家になれるだろう。 次のMTTの小品はSFSにゆかりのあるピアニストアグネス アルバート の90歳の誕生日(5/15)を記念して作曲したものでMTTらしいリズミカル で演奏効果の高い習作、MTTの有り余る才能の一端が伺えた。 最後のシェーンベルクによるブラームスのピアノ四重奏第1番のオーケスト ラ版だが、この演奏を聴いてシェーンベルクは本当にブラームスが好きだ ったんだなと思った。ほんとに良くできている、ある時はダイナミックな フルオーケストラかと思うと、バイオリンやチェロのソロやアンサンブルが 出てくる。P5も含めて後の3曲もオーケストラ化してほしかった。MTTも 暗譜でオケを良くコントロールして演奏効果を高めた熱演だった。 後の3曲はMTTあたりの頼むとよいかもしれない...?? Brahkichi(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>ザ メト オーケストラ(98.5.18)  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年05月24日  09:59:16 ブラキチです。5/18は期待していたレバイン指揮のメトオーケストラを サンフランシスコで聴く事ができた。チャイコのVn協のソリストがヴ ェンゲーロフからレピンに変わりがっかりしていた人も多かったが実は これが大正解であった。この人こそハイフェッツの再来とも呼べるもの すごく正確でシャープなテクニックを持つ逸材だった。   指揮         ジェームズ レバイン   プログラム        ロッシーニ    セミラミーデ序曲        チャイコフスキー Vn協(ヴァディム レピン)      Tan Dun     Death and Fire      ラベル      ダフニスとクロイエから第2組曲 このオーケストラ最初から9、8、7、6、5プルトの弦楽セクションを持つ 大編成(アメリカではコントラバスが10人もいるなんて普通では考えられ ない)で演奏していたが、音は意外に控えめで演奏も比較的あっさりとし ていた。 2曲目のチャイコのVn協はヴェンゲーロフが病気のためと掲示されてい たが、オケ関係者によると実際は世話になった親戚(お爺さん?)が脳血 栓のような病気になったらしく看病のため秋まで休むという事らしい。 さて肝心の演奏だが少なくとも3階(2nd Tier)で聴いている分には100%の 出来でこんな完成度の高い演奏はかつて聴いた事がなく、ハイフェッツだ ってステージでこんなに弾けるかどうか...と思って拍手が終わるやい なや1階に飛んでいってハイフェッツ関係者を探そうとしたが残念ながら お弟子さんは見つからなかったが、最前列のかぶりつきにハイフェッツが 飯より好きなハイフェッツ狂がいたので聴いてみた。 ブラキチ: 今日の演奏100%の出来だと思うんだけど、ハイフェッツと比       べてどうだい? 友人  : ハイフェッツだって100%完璧には弾けないんだ。まあ98%かな       レピンは確かにすごいけど、ハイフェッツほどじゃない。       デモちょっと落ちる程度だ。 ということで真近で聴くと多少粗が分かるらしいが、少し離れたところでは 音程、リズムの正確さ、重音の鳴り具合、音色、パッション、速いパッセー ジでの音の粒立ち、ゆっくりと歌った時のボーイングの粘り、歯切れの良い リズムに吸い付きの良いボーイングとどれをとっても超一流文句の付けよう がない出来でした。これがどれほどすごいかというと、パールマンやクレー メルクラスの超一流を10人集めた平均より1桁上という感じてどんな速いパッ セイージでも音程がまるでピアノを弾いているようにスポンと決まるし、ハーモ ニクスも普通の音を弾いているようにかすれもせず簡単に音が出ている。 3曲目は湖南省生まれの中国人作曲家(40歳)の作品でオネゲル風の作風に東 洋のイメージをミックスした感じでなかなか面白かったがやや冗長なので 少し聴衆の収集力を持たせる工夫がほしかった。 最後のラベルはフルートのソロがとても良かったしフランス的な軽やかで センスのある演奏が聴けた。この後2曲アンコールがあり最後のマイスタージ ンガーを聴いてやはりやはりこれをもっとやってほしいだと思った人が多か ったに違いない。文句無しのすばらしい演奏だった。                       ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>ニューヨークフィル(98.5.22)  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年05月24日  10:00:25 ブラキチです。5/22はニューヨークのリンカーンセンターで初めてニュ ーヨークフィルを聴く事ができました。だいたいニューヨークへの出張 はトラブルになることが多いので、今回は万全を期して、西伊豆に戻る 直前の金曜の夜のチケットを予約しておいた。ところが行きの飛行機から トラブル続きで、まずSFOで手荷物をチェックインさせられNYでな かなか荷物を受け取れずレンタカーバスがなくなって夜中の1:30に 到着したのに結局レンタカーバスを呼んでレンタカーに乗りホテルにつ いたのが3:30また機内サービスのディナーが品切れで食事をもらえない 等最初からトラブル続き。翌日は、朝から打ち合わせで、レンタカーで 出かけたが夕方帰ろうとしたら、前輪がパンクしており5時半に出るとこ ろが変わりの車を2時間待って7時半に。この日の予約だったらアウト。 翌日金曜はマンハッタンで終日打ち合わせた後、8時開演まで少し時間が あったので、メトロポリタン美術館に入って(入場料8ドルで金曜は8時45分 までやっている)楽器博物館で30分間楽器の見学(オカリナからパイプオ ルガンまでありなかなか楽しめる。そこから歩いて30分で目指すリンカーン センターに着いてインターネットで予約したコピーを見せてチケットを 受け取ろうとすると、予約チケットのカウンターの係員がこのチケットは 売り切れであなたのはありません。2日前にその旨e−mailを送って ますという。 なに!!!!それはないと言ったものの無い物は出せないというので仕方なく その辺の人に聞いてみるが数十ドルする高いチケットしか売ってくれる人が いない。見ると少し離れたところでスーパバイザがチケット交換をしている ので、予約してたのにチケットをもらえないと文句を言ったら、手書きの無 料のチケットを発行してくれた。やれやれ、今回も何とか粘り勝ちか...   指揮          クルト マズーア   プログラム        ショスタコ−ヴィチ 交響曲第7番「レニングラード」         この演奏もすごかった。出だしから迫力あるユニゾン、弦も管もfffではす ごいボリューム感(このため結構前にいる弦楽器奏者でも演奏中にもかわらず だが中断して耳栓をする)にたいしppでは大変美しい音を聞かせてくれる。 すばらしい!!!! やはりこの音だ。SFSでは決して聴く事ができない渾身の力を入れて絞り出す 凄みがあるが決して荒れることがない厚みのあるサウンド。これだったら全盛 期のBPO(70年代まで)にも負ける事はない。久しぶりの本格的なドイツ、 ロシア系のサウンドを聴く事ができた。もちろん聴衆も熱狂的な拍手でたたえ 大喜びでした。アメリカを中心に技術的に優れたオケは多くなってきているが、 このように心の底から出てくる声を表現してくれるオケはなかなか無い。                       ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響定期(10/03) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年10月05日  13:03:05 大変お久しぶりです。ブラキチです。サンフランシスコ響の98ー99年のシー ズンは9/102から始まり、オープニングコンサートは9/10にフリントホール でありこの時は所用があって途中から聴いたので今回がSFOの聴きはじめ となります。 10月3日(土) 8:00開演 デービスシンフォニーホール 指揮    マイケル ティルソン トーマス(MTT) ピアノソロ マルタ アルゲリッチ プログラム  Gordon Peter Getty   男声コーラスとオーケストラの為のアナベルりー  Prokofiev       Pf協奏曲 Nr.3  Tchaikovsky      交響曲第2番 最初の曲は1933年LA生まれでサンフランシスコ在住の作曲家がエドガー・ アラン・ポーの詩に基づいて作曲したもので10分程度の静かな曲であるが男 声コーラス(3部)の高音部が大変きれいで充実した響きが聞けた。 さあ、次はお待ちかねのアルゲリッチ。実演は1970年代の初期に東京で聴い て以来で今回どんな風に変わっているか大変楽しみだったが、まず体形が変 わった。だいぶ重量が増加したようで、のしのしと歩行は大家の風格。最近 調子を落としているようだが、ポリーニが究極のピアニストとすれば、アル ゲリッチはピアノを超越したミュージシャンだ。こんな所で文句はつけたく ないがもう少し普通に歩けるように健康にきをつけてもらいたい。演奏はと いうこれが大変すばらしかった。1楽章は緊張のためかリズムの切れは良い もののピアノオケ共に響きが固く音が伸びてこない。しかし2楽章はゆっく りとしたテンポで弱音でも音が良く伸び会場に響き渡る。圧巻は3楽章で自由 奔放に弾いているピアノとオケがぴったりと融合し、今まで聴いたことがな いような蕩けるようなマイルドなサウンドの渦に押し流されてしまった。聴 衆も驚いただろうが、何でもできるアルゲリッチだって、SFSのサウンド コントロールがこんなに高いレベルであるとは思っても見なかっただろう。 さて、最後のチャイコの2番だがこれも大変すばらしいものだった。チャイコ はMTTのオハコなのでそれなりの水準が期待できるが、今回はついにSF Oのサウンドを変えたということで非常に評価できる。どこが変わったかと いうと、従来SFOのサウンドは軽くてクリアーというのが特徴で、昨シー ズンはMTTの強力なトレーニングで世界最高レベルのオケに仕上がった。 しかし、まだ不満がある。それはサウンドがクリアーに響くというだけで 無色透明で色が無いということだ。しかし、これがだいぶ改善され色が着き はじめた。具体的には特に弦楽器の各パートに深みと艶のある響きが出てき た。木管はところどころ音色レベルで融合したすばらしいハーモニーを聞か せてくれた。特にバスーンの響きはよかった。 この所々が常にになった時には、MTT/SFSが真に世界を代表するオー ケストラとして黄金時代を築くことになると思う。                        ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>アルゲリッチとマイスキー(98.10.15)  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年10月17日  15:16:22 昨日は回線がすぐ切れてなかなかつながらなかったため、本日(10/16) UPします。 アルゲリッチは先日のSFSとのプロコのコンチェルトと違って、のび のびと楽しんでました。マイスキー共相性が良いのか、ステージに出て くる時の足取りもずいぶん軽い感じがしました。 アルゲリッチは常にすばらしいし、好調時のマイスキーの実力が良く分 かった大変有益な演奏会でした。 不調時のマイスキーのスタイルに似ているブラキチにとって、今回の演 奏会は今後の目標設定につながる良い経験でもありました。                      ブラキチ(西伊豆) //////////////////////////////////////////////////////////////// ブラキチです。今日はニューヨークで運良くマイスキーとアルゲリッチ の演奏会を聴く事ができました。運がいいというのは今朝朝一番でカー ネギーホールに電話したらまだチケットがあり予約できた事と夜何も予 定が入らなかった事です。例によってNYはいつもトラブるがあり、昨 日も予約していたホテルが満室で、1時に紹介してもらったホテルに入り ねたのは3時と言うありさま。しかし、予約していて正解でした。チケッ ト受け取りの列に並んでいると、ずっと長い当日売りの列の前の方でこ こで終わりと言う声が聞こえ、大勢のファンがチケットを買えないまま 去っていくという状況でしたから。 さて、タイトルでアルゲリッチを最初に書いたのは、私のお目当てが、 アルゲリッチだからで演奏会本来のタイトルはもちろん逆です。マイス キーを生で聴くと言うのも重要(今回初)ですが、いつでもどこでも何 がなんでも聴きたいと思うのはアルゲリッチしかいません。 日時:10月15日(木)8:00 場所:カーネギーホール(ニューヨーク)   チェロ   ミッシャー マイスキー   ピアノ   マルタ アルゲリッチ   プログラム        ベートーベン   チェロソナタ Op5-2      ドビュッシー   チェロソナタ      シューマン    アダージョとアレグロ      フランク     チェロソナタ さて好調不調の差が激しいマイスキーですが、さて今晩はどんな演奏が 期待できるのでしょうか? 回答は前半絶好調、後半は少し乱れたものの なかなかすばらしいできでした。 最初のベートーベンはマイスキーの持ち味を十分にだし、独特の柔らかく て深みのあるくすむことの無い明るい音色で指も良く回って完璧な演奏。 さらにドビュッシーでは曲の持ち味とマッチして色彩感、軽妙なニュアン スなど思う存分に発揮した今世紀最高ともおもえるような見事な演奏。 後半はやや息切れたか、前半の神懸かり的な域には達しないものの、最 後までテンションの高い演奏で、特にフランクでの情熱あふれる演奏に 観客は大きな拍手で答えていた。しかし、フランクになると役者はアル ゲリッチが一枚上、自由奔放なリズム、変幻自在な音色、ダイナミック な構成感、特に私にとってのお気に入りはこれでもかと畳み掛けてくる リズムでしょうか。 アンコールは4曲あり、最初はショパン、次がブラームス、ここで最上 階から、良く見える1回に移動中にプロコフィエフ、最後は1回のかぶ りつきでマイスキーの弾き方を観察しました。曲は良く覚えてません。 それでは、最後にマイスキーの音色の秘密を解説いたしましょう。   ***マイスキーの秘技をあばく*** Q1:どうしてホールに響き渡る大きな音が出るの ? A1:当然の事ながら楽器が良い。音の大きなことで定評のあるモンタ    ーニャを使ってます。    次はボーイングで、かなり駒に近いところで弾く事が多い。こう    いう弾き方だと普通は音が割れたりかすれたりするが、これが無    いのはなぜ?    本人に確認してませんが両手の握力が跳び抜けて強い(最低でも    70−80kgはあると思う。)     Q2:あの神の声とも思える音色はどうして出るの ? A2:これはビブラートのかけかたと強力な握力です。    少し専門的になりますがビブラートには大きく分けて3種類あり、    必要におおじてこれを使い分けますが、一番多く使うのは指と手    首を固定してかけるアーム型ですが、うまく使えば最も効果が出    るビブラートです。この効果というのは指先を最大180度回転    させるという事で、マイスキーの場合150度ぐらいはコンスタ    ントに回転しているのではないでしょうか。    つまりこのアーム型一本槍で指先の回転振幅が大きいと、すばら    しい音色を作る事ができます。    さらに、マイスキーのすごいところは、指が寝ないという事です。    全部書いてしまうと魅力が薄れてしまうかもしれないので、ここ    で止めときます。        興味あるチェリストの方、ぜひこの秘密に挑戦してすばらしい音    色を自分のものにして見てください。                      ブラキチ(ニューヨーク) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ交響楽団特別演奏会(12.12) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1998年12月14日  15:20:01 こんばんはブラキチです。 昨日はサンフランシスコでマチネーのオペラ(トゥーランドット)を見た後 夜まで粘って今シーズン3回目のSFSを聴きました。お目当てはもちろん ロストロです。 指揮   :マイケル ティルソン トーマス(MTT) チェロ独奏:ムスティスラフ ロストロポーヴィチ 曲目   :ブラームス    交響曲 第4番       ドヴォルジャーク チェロ協奏曲       今回は最近ハーモニーが充実しているSFSがどんなブラ4を演奏するかも 非常に興味があったが、結果としてはこれが信じられないぐらいよかった。 これは普段ブラームスを聴かない妻が1楽章が終わったとたん驚いたように うまいねとささやいたことからも、ブラームスに興味が無くともこのすごさ が聴衆を包んでしまうぐらいのものだ。 それではなぜそんなにすごいのか? 1つは全く乱れることがない完璧なアンサンブル。 しかし、これだけではお客の心を掴めない。今回のSFSは最高級のサウン ドが内声から湧き出るように流れ出てくる。このホールはコンクリート製だ と思うのだが、まるでウィーンフィルが木造のホールで演奏しているように 非常にクリアーでいながら、ホールの中心から音が湧き出てくるという感じ だった。このサウンドは2楽章までキープできた。しかし残念ながら今回は ここまで3、4楽章は普通のオケに戻ってしまった。来年に期待しよう。 もしかすると来年はウィーンに行かなくてもウィーンフルがムジークフェラ インで演奏するサウンドと同等のすばらしい演奏がサンフランシスコでも聴 けるかもしれない。 ロストロを生で聴くのは初めてだったが、できればチェリストは40代まで の演奏を聞きたい。70を過ぎてもまだテクニックは健在で乱れることはな かったが、体力的にはきつそうだった。音量も十分とは言えない。しかし、 SFSの驚くべき熱演と聴衆の熱狂のせいか大変ご機嫌で、アンコールを2 曲も弾いてくれた(バッハ無伴奏から5番のサラバンドと3番のブーレ)。 ロストロの特徴は背丈はあまり無いのだが長い腕と長い指(いまだに艶があ ってふくよか)を生かしたテクニックの切れと唸るようなビブラート。ただ 、このビブラートは指の長さを生かして腕のローリングはあまり使わない。                         ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響定期(99.5.28)  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1999年06月02日  03:38:43 ブラキチです。大変ご無沙汰してます。 今回の出し物はMTTのブルックナー9番。このチケットは29日の公演を 買っていたのがメモリアルデーの連休を利用して家族旅行が入ってしまい あきらめかけていたのですが、FMのコマーシャルでさびの部分を聞いて 思い直し、既に売れ切りの初日のチケットを関係者に頼み込んで 何とか手に入れることができました。結果は大正解。 サンフランシスコ響の歴史に残る名演奏を聞くことができました。 まず編成は1stVnから7.5,7,6,5,3.5プルトでブルックナーとしては極普通 の編成かもしれませんが随分弦が多いなーという感じ、ホルンは1アシ付き。 MTTはスコアは置いてはあるもののめくりもせず、完璧に暗譜。 第1楽章はまずチェロのユニゾンの力強さ、続いてクラリネットの歌、ホルン の自然で豊かな響きを味わい、この上にダイナミックな迫力とテンポの ゆれが加わって完全に本格的なブルックナーの世界に。 第2楽章もピチカートではチェロが良かった。もちろん凄みのある中間部分は 特筆の出来。 第3楽章はVnの深い響き、ホルンとワーグナーチューバの柔らかな響き、 全体に緊迫感と粘りが出て、すばらしかった。 今回はテデウムが第4楽章と見立てて連続して演奏された。この出来も大変 良く充実した迫力ある演奏で定評のあるサンフランシスコシンフォニック コーラスの迫力とオケの迫力が均衡し非常に聞きごたえのある演奏だった。 歌手も大変充実していて特にテナーは急病で本番2時間前に代役のVinson  Cole氏が到着したそうで、アメリカの歌手のそうの厚さを知ることも出来た。 May 27 1999 at 8:00 Davies Symphony Hall MTT(Michael Tilson Thomas指揮) SFS(San Francisco Symphony) Bruckner Nr.9      Te Deum Julia Faulkner(Sp),Michelle DeYoung(Mez), Vinson Cole(Ten),Eric Owens(Bass) Vance George - San Francisco Symphony Chorus                       ブラキチ(西伊豆)