西伊豆とは95年から99年海外勤務をしていたカリフォルニア州サンノゼ市を中心とした 米国の西海岸のことです。 タイトル :  演奏会>朝比奈/CSO(5/16)         ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1996年05月18日  05:31:10 お久しぶりです。ブラキチです。 今日はシカゴに出張で来ていて、たまたま朝比奈のブルックナーの5番を聴くことが出来ました。 わざわざ休暇を取って日本から聞きに来た人が結構いたのにたまたま来て聞けるなんて何と ラッキーなんでしょう。ただし、せっかくシカゴに来たのに予定していたコンファレンスは キャンセルになっており、すぐに帰らずにたまたま同じホテルで開かれていた同じ分野の コンファレンスに紛れ込んで帰りのフライトを翌日朝に変更した後です。何事もあきらめずに 粘っていれば運は開ける???? 先週(5/8)はブロムシュテット/SFSのブルックナーのミサを聴き今年最高の演奏が 聞けたところなので(非常に生き生きとした重厚で闊達な演奏)、今日はまたすごい演奏が 期待出来るのではないかと予想はしていたが、実際に本当にすごかった。 朝比奈もCSOも生で聴くのは今日がはじめて。ホールは今月後半から解そう工事が本格化 して別のところに移るようで正面は既に足場の櫓がくんである。コンサートホールは寺院風 の高い天井を持ったドーム型で、1階のやや後方左よりで2階の張りの下に入っていたが 響きとバランスは悪くはなかったが、響きはデッドだ。 さて、演奏が始まる前に7時から30分間オケのプレジデントであるヘンリー フォーゲル氏の 曲目解説を聴いた。主要なテーマをテープで流しながらの熱演であったが、朝比奈については 昔のタイプの指揮者でゆっくりとしたテンポで緊張感を保つのが特徴と言っていた。 さて、8時になりいよいよ開演と思ったら、先程のフォーゲル氏が出てきて2日前に亡くなった ファゴット奏者のグレインガー氏を追悼するということで,コンマスの指揮でバッハのアリアが 演奏された。この演奏ではまだCSOのすごさはわからなかった。 8時10分を少し回ったところでいよいよ朝比奈の登場だ。ゆっくりとした足取りだが、高齢 にもかかわらず歩行は安定しており、指揮台でいすは使わない。 オケの編成は弦が8、7、6、5、4プルトでホルンはクレベンジャーの隣に1アシが付いて いた。 演奏は細かいところは省略して(日本からのテレビ中継が入っていたのでいずれ放映されるは ずなのでこれをみてください。ちなみにカメラは少なくとの3台、マイクは14本、専門の写 真機1台とかなり豪華でした)全体的な感想はテンポは意外に遅くなく、表情は比較的あっさり。 これで何がすごいのか。やはりオケの性能がすごいんだ。見た目には弦なんかそろっている感 じはしないのに、こんなにアインザッツがあうオケはないんじゃないかな。とにかく面白い様に バシッとあう。ハーモニーもすごい。ピアニシモからフォルテシモまで非常に広いレンジを持つ のに美しい響きが決して崩れない。管のソロにも穴がない。一人一人張りのある美しい響きで インテンポの中でうまく歌う技術を持っていた。このオケをドライブしてオケの性能をフルに 発揮させた朝比奈もすごいということか。 聴衆の反応も熱狂的であった。ただし、私は二楽章で涙が止まらなかったのに、隣のおじさんは あくびが止まらなかったようだ。                              ブラキチ(シカゴ) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>先週のエマーソンと新星日響  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1996年09月30日  17:20:11 1週間強の出張でしたが、東京では2回ほど演奏会に行くことができました。 1.エマーソンSQ(9/22)  台風による大荒れの天候で、ずぶぬれになって到着したのだけれど  すばらしい演奏だったし、久しぶりにclaの仲間にも会えて大変  有意義な演奏会でした。今年のシーズンオフ(所属しているオーケ  ストラは7、8月は休み)はオケの仲間に誘われて毎週カルテット  をやっていたし、この日聴いた4番はこのカルテットの最初の練習  のときにやった曲なので非常に楽しみにしてました。  エマーソンはモーツァルトの没後200年で来日して時のモーツァ  ルトの滑らかな演奏が大変すばらしかったので、どんな演奏をする  かと期待してましたが、ほぼ期待どうりの内容のある演奏でした。  特によかったのはビオラで深みのあるまろやかな音色でよく歌って  いました。1stバイオリンは前半担当したリーダのドラッガーが  やはりすばらしく、後半も続けて1stをひけばもっと締まった演  奏になったと思われた。チェロはフレンチスタイルでやや違和感が  あったが軽いタッチのシャープな演奏でもう少し粘りがほしかった。  全体にはやや速めのテンポでよく歌っていたが、後半演奏した15  番はテンポが速すぎ、聴かせどころをさらっと通り過ぎてしまって  やや不満が残った。 2.沼尻/新星日響(9/25)  ブラームス二大名曲の夕べというタイトルで3番とピアノ協奏曲の  2番を聴いた。この日の最大の印象は新星日響が大変うまかったと  いうことである。メンバーにほとんど若手しかいないので個々の奏  者の技術的水準は高いかもしれないが、アンサンブルは乱れないし  ブラームスのサウンドが期待以上によく出ていた。すばらしい!!  これは沼尻の手堅い指揮とトレーニングにもよるだろうが、現在の  日本では奏者が若いほどうまいという状況がしばらく続きそうだ。  さて演奏だが、いくら沼尻(若手の中でオケのコントロール力は1  番と私は思っているが)だってクナッパーツブッシュのような演  奏ができるわけはなく、テンポはやや速めでありながら粘り、リ  ズムの切れ、歌心がよくコントロールされてブラームスらしさを  出していた。管はホルンと笛がすばらしい音色だった。  次の2番のコンチェルトは、園田高弘がソロを担当した。園田の  演奏は1番を大フルと数年前やったのをFMで聴き、すばらしい  演奏だったのを思い出す。最近の若手のようにきらきら光る輝か  しい音色や切れのよいテクニックを持っているわけではないが、  彼にはブラームスらしさを醸し出す最上級のフレージングがある。  この日もオケと対話しながらすばらしい演奏を聴かせてくれた。  特に第4楽章がよいできだった。第3楽章のチェロのソロも出色だ。                     ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>リリアの室内楽シリーズ第4夜  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年07月17日  01:40:29 昨日は本当にラッキーだった。出張中に東京のオフィスで借りていた机は 実は偉い人の席で、定時間後に交換され座る席がなくなってしまった。 しょうがないので6時過ぎに会社を出て念のため本屋で音友を探し、昨夜 の演奏会を確認するとロッシーニとかシューベルトのます等なじみのある 曲をリリアでやるという案内が目に止まった。リリアってどこだ?電話で 確認すると京浜東北で川口で降りたら駅前にあるというので、開演まで後 35分程度しかなかったがとりあえず電車に乗る。30分の後れは覚悟し たが、意外に早く着き10分程度の後れで会場に無事到着。プログラムと 演奏者は以下の通り。   シューベルト:楽興の時 第3番          即興曲  第2番 D.899   ロッシーニ :チェロとコントラバスの為の二重奏曲   モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラの為の          二重奏曲 第1番 K.423   シューベルト:ピアノ五重奏曲 D.667 「ます」   鷲宮美幸(pf)、郷道裕子(Vn)、長谷川弥生(Vla)、村井将(Vc)、   小林史江(Cb) 会場は天井が高いスタジオ風の作りで、約100名程度収容できるよう階段状 に席を設定していた。響きはややデッドだが悪くない。高音から低音まで クリアにバランス良く聞こえる。 最初のピアノ曲は聞けなかった。2曲目の即興曲はドビラ越しにしか聞けな かったので、はっきりとした感想は書けないが、クリアによく響く音でき れいに仕上がっていたがコントロールの乱れがほんの少し感じられた。 次はロッシーニ。この曲で女性がコンバスをかかえて出てきた時は大変びっ くりしたが、実はこの日のハイライトはこの人小林さん。比較的小柄な人な のに大変軽いボーイングでピアニシモからフォルテシモまで無理なく自然に サウンドを響かせる。村井さんも美しい音でやや装飾音過剰なこの曲に良く 食いつき絶妙なアンサンブルを聞かせてくれた。 モーツァルトのデュオは郷道さんと長谷川さん。全体的に早めのテンポで シャープな仕上がり。この曲では郷道さんはややそっけない感じだったので もう少し軽い弓使いで遊び心を期待したいし、長谷川さんにはもう少し粘り のある深い音を期待したかった。 最後は「ます」。こんなにすばらしいますを聴けるなんて誰が予想できただ ろう。いままで聴いたますとはまったく違う新種の誕生だ。今まで良く話題 に上るのはバレンボイム、デュプレ等が演奏したライブ録音でパワーあふれ る熱演だが、今回は楽器を超越してまるで超一流の歌手が歌を歌ってきれい なハーモニーを聞かせてくれているようであった。これをリードしているのが 小林さん。まるでハンスホッターが歌っているようだ。 実はこの後、今回の企画を担当され当日司会も担当された音楽評論家の長谷川 武久さんを楽屋に尋ね、そのまま打ち上げ会場にも参加させていただき、演奏 家の皆さんと意見交換できたのは大変ラッキーでした。ついでに全員のサイン をもらいましたが、郷道さんのサインはヴァイオリン奏者のイラスト付きで とってもかわいい(実物はもっとかわいいですョ)。 今回の演奏者は日本を代表する若手演奏家でうち3人は神戸市室内合奏団の 主席奏者として活躍されています。最寄りにお住まいの方は是非聴いていただ き感想を書き込んでいただければ幸いです。                       ブラキチ(東京出張中) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>読売日響東京ガス特別演奏会(7/18) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年07月19日  00:12:44 今日は予定していた読響に行くことにしており、事務局に電話してホールが 都庁跡にあるという情報を得て、現地に15分前に到着した。しかし驚いたことに 当日売りが無い。キャンセル待ち18番の紙切れをもらって3分前にやっとホール に入れた。特別演奏会のせいか本当に人気があるのかは良く分からなかったが お客が沢山入ることは良いことです。  モーツァルト  魔笛序曲  モーツァルト  ピアノ協奏曲第27番  ブラームス   交響曲第1番  伊藤 恵(pf) 大友直人(cond) 読売日本交響楽団 最初の魔笛。ややゆっくりとしたテンポで特に強い印象は持たなかったが ホールが響きにくいか、オケの調子がまだ出ていないかのどっちかで、サウンド がかなり遠目に響いている。まるで昔のカラヤン/フィルハーモニアのモノラル 録音のような響きだった。その中でオーボエの音だけが目立ちベルリンフィル から借りてきたような響きですばらしかった。 次のモーツァルトP協はがらりと変わってデジタル録音のベルリンフィルの趣。 なぜ急にこんなに印象が変わるのだろう。私の調子が出てなかったか、可愛い 実力派伊藤恵の出演のせいか... 第1楽章はでだしからバスが良く響き、これが管のすばらしいハーモニーに つながる。オケも全体に強弱のアクセント、テンポの変化など大変表情豊かに 大友の指揮に反応していた。勿論ピアノも同じような息使いで呼応する。こん なに表情豊かなピアノを聴くのは初めてだ。 第2楽章も基本は同じだが、第1楽章が良すぎた分第2楽章ではテンションが 少し緩んだ感じだ。それでもBPOのデジタルサウンドの趣は弱音の部分で 1stバイオリンを半数にしてフルートとのユニゾンを奏でる風変わりなの響きも 正確に伝えてくれる。 第3楽章も少し遅目のテンポで響きと表情を重視したアプローチだ。伊藤も 最後までペースを変えずに弾き切り全体としてはかなりハイレベルの仕上がり だ。しかし、伊藤だったらもっと出来る。今回はレガートで通した為持ち味の 硬質で切れの良いきらきら光る音が影を潜めていたし、もっとスピードをつけ ないと盛り上がらない。次回はスタカートでもっと軽快にお願いしたい。 最後はブラ1。米国にはブラームスを振れる指揮者はほとんどいないので、久 しぶりに本格的なブラームスサウンドを堪能することが出来た。本当に読響 もうまくなったものだ。アンサンブルがしっかりして重厚なサウンドをベースに テンポの変化にも柔軟に追従する。特に木管はドイツのオケからもってきたみ たいに線の太いくすんだ明るさを持つ。勿論弦も素晴らしいアンサンブルとソリ を聴かせてくれた。 アンコールもあったがもう一回同じプロでやるようなので、紹介は省きます。                         ブラキチ(東京出張中) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>米国東西オケのブラームス  ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年09月25日  18:18:56 大変ご無沙汰してます。たまにしか書かないのにほとんどライトオンリーモードの ブラキチです。 さて、米国でも9月に入りオーケストラも新しいシーズンに入ったので、西伊豆 (シリコンバレー)でも自宅の近くにあるデアンザカレッジのホールでMTT/ サンフランシスコシンフォニーのオープニングコンサートにも行きました。曲は ベートーベンのVn協奏曲とローマの祭りでVnのソロも(カナダの若いジョアクイン ニンクルメル)ガリネりを使用して軽さと重厚さをうまく表現した熱演でした。 もちろんローマの祭りはMTTの得意とするレパートリーでしょう、ダイナミックで スマートな演奏でした。ここでは実際には生で聞けなかった第2週に演奏された没後 100周年を記念した演奏されたブラームスの1番について書きます。 (昨日9/23(火)FMで放送) その前にマズーア/NYPのオープニングコンサート(9/17(水)がテレビで放映 されたのでその感想を書きましょう。この日の(オープニングナイトガラ)のプログ ラムは以下の通り。      プロコフィエフ  古典交響曲      モーツァルト   Exsultate Jubilate      R.シュトラウス 3つのオーケストラソング               レニー フレミング(Sp)      ブラームス    交響曲第1番 ついでにオケの主要ソロ奏者は      Glenn Dicteron(コンマス)、Cynthia Phelps(Vla)、Carter Brey(Vc)、      Eugene Levinson(Cb)、Jeanne Baxtresser(Fl)、Josepf Robinson(Ob) 、      Stanley Drucker(cl)、Judith LeClair(Fg)、Philip Myers(Hr)、      Philip Smith(tp)、Joseph Alesso(Tb)、Roland Kohlott(Tim) ここであえてソロ奏者の名前を挙げたのは、NYPは世界のトップレベルのソロ奏者を 擁していたということです。どうして今までそれがわからなかったのか?それはあまり にも長い間指揮者に恵まれていなかったからでしょう。マズアが音楽監督になって7年 目。やっと本領を発揮しはじめたというところでしょうか。 今までNYPを聞く気になれなかった最大のポイントは、アンサンブルがガサツだった ことであるが、今回この欠点は影を潜め、まるでドイツのオーケストラのように重厚で 美しいアンサンブルを聞かせてくれた。映像を見ているだけで個性あふれる奏者が自信 に満ちて演奏しているし、女性の実力トップ奏者がVla、Fl、Fgと3人もいる。木管の 各奏者の印象はFlについては音色はややモノクロ気味だが太くよく通る音で、木管グル ープをまとめている感じだ。Obはやや地味な人柄で線も細い、もう少し粘りのある演奏 を期待したい。Clはもっとも完成されたフレージングを持っており、透き通って伸びの ある音色も素敵だ。FgはMsのオッターに似た感じのよい人でリズムがよい。特に特筆し たいのはソロVnとホルンでBPOと互角以上のすばらしい音色を持った演奏だった。 次はMTT(マイケル ティルソン トーマス)/SFSだ。プログラムは以下の通り      モーツァルト   交響曲第34番            RUGGLES  Sun-Treader      ブラームス    交響曲第1番 この中で特によかったのはモーツァルト、非常に透明感あるクリアーなサウンドで大変 表情豊かな演奏であり、恐らく誰が聞いても絶賛するに違いない。日本での公演プログ ラムにモーツァルトがあれば是非聞いてほしい。 さてブラームスだが、演奏の技術的完成度。これはすばらしいものがあった。特に終楽 章はかなりのハイテンポでコーダまで突き進むのだが、まったくアンサンブルが乱れな いし透明なクリアさも薄れない。日本のオケがここまで来るには後10年はかかりそう だ。問題はブラームスらしさだ。第2、第3楽章はテンションも高く、多少粘りも感じ られブラームスらしさを感じることはできたが、第1、4楽章はテンポが速すぎ、リズム が軽すぎ重厚さがない。これがアメリカンブラームスか。アメリカのオケに生っ粋の米 国人指揮者からドイツ訛りのブラームスを期待するのは簡単ではない。 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ティンパニーを始めとする打楽器がよい響きを伝えてくれた。 さて3曲目のベト7だが、あまり好きな曲ではないしきっとバスが不十分で 軽快なテンポで突き進むのだろうと高を括っていたら簡単に裏切られてしま った。スラトキンをも上回る気迫あふれるエネルギッシュな指揮でバスが唸り 内声が合いの手を打つ。特に第1と第4楽章がすばらしい。今までこのホールで こんなに低音が響いたことがあっただろうか。どんなに響かせてもクリヤー感が 薄れない新生SFSの誕生だ。木管も歌いかたに少し余裕が出てきたし、弦のア ンサンブルに重厚さが備わってきた。軽妙さと透明感あふれる響きでは群を抜く 資質を持っているだけに、これに今回でてきた重厚さが継続して加われば、ブラ ームスや、ブルックナー等も期待ができそうだ。 日本は朝比奈で盛り上がっているようですが、技術的には超一流のアメリカの オケもドイツものでもなかなかがんばっているということを確認していただけ れば幸いです。                        ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ響のシベ2   ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年10月02日  16:20:12 9月第3週に演奏されたシベリウスの交響曲第2番が昨日FM で放送されたので感想を書きます。(#8355、8368も参照してください) 3rd Week  OLLY WILSON       Shango Memory  RACHMANINOFF       ピアノ協奏曲第4番(Pf Jean-Yves Thiaudet)  SIBERIUS         交響曲第2番 第4週のベートーベンもすごかったが、第3週のシベ2もこれに負けないくらい 良い出来であった。 テンポは少し速め、木管はかなりビブラートをかけて良く歌い、弦と金管がテン ポを揺らし、ダイナミックに答える。テンポは速いところは恐ろしく速く、歌う べきところは思いっきりテンポを落としてネバル。しかしアンサンブルの乱れは 全くないし、クリアーなサウンドは維持しているので、各パートの音が実にはっ きりと聞こえてくる。恐らく全盛期のトスカニーニ/NBCやセル/クリーブラ ンドもこんなにクリアな響きは出せなかったんじゃないのかな。サンフランシス コ響(SFS)はこの1ヶ月のMTT(マイケル ティルソン トーマス)の集 中トレーニングで少し骨太になり、すご味が出てきた。しかし、持ち前の透き通る ような透明感あふれるサウンドが維持できているので、印象としては室内オーケ ストラの木目細かな表情と響きを持った、フルオーケストラ(つまりあらゆる音 色とダイナミズムの表現が可能)という感じだ。 これはもしかすると21世紀のオーケルトラの姿を先取りしているのかもしれな い。                        ブラキチ(西伊豆) -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコオペラ(フィガロの結婚) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年10月24日  17:58:57 こんにちはブラキチです。先週は日本に行ったのに全く時間がなくて 演奏会に行けなかったのは残念でしたが、帰ってきてやっとオペラを 見に行くことができました。今シーズンは9月にトスカを見に行く予定が お客さんの対応で、チケットを友人にあげてしまったので(2枚も) 今回は今シーズン初めてのオペラです。 日時/場所:10月22日(木)19:30から新装の戦争記念オペラハウス 指揮   :Donald Runnicles キャスト :Giovanni Furlanetto(フィガロ)、Sylvia McNair(スザンナ)       Sorin Colivan(バルトロ)、Judith Christin(マルチェリーナ)       Angerica Kirchschlager(ケルビーノ)、Bo Skovhus      (アルマビーバ伯爵)、Joseph Frank(バジリオ)、       Solvaig Kringelborn(アルマビーバ伯爵夫人)他 フィガロはダブルキャストでこの日はフュルラネットであったが、やや細身で 声量が不足していた。この人以外は全てすばらしく特にアルマビーバ伯爵夫人 のクリンゲルボーンが非常に柔らかく非常に洗練された歌声を響かせるのに対し、 ケルビーノ役の若いキルヒシュラーガはアリアの前で深呼吸してのびのびと 歌っていた。しかし、スザンナのマクネアは役者が1枚上で彼女が歌うとまるで 違う世界の人が歌っているかのように軽ーく透き通るような声が響いてきて、 ブレスとか音程やリズムをキープするという苦難が全ぜん感じられない。これは 大変な驚きでした。 今回は4幕で4時間かかりましたが、中学生にはちょっと長すぎたか、隣で娘が まだ終わらないの?とぼやいてました。 -------------------------------------------------------------------------------- タイトル :  演奏会>サンフランシスコ交響楽団定期(10.23) ブラキチ 投稿者 :  NGC23488 投稿日 :  1997年10月24日  18:00:02 こんばんはブラキチです。 今日はアジアツアーから帰ってきたSFSを聴いてきました。 ツアー前の好調さをはたして維持できているでしょうか? 日時場所:10/23/97 20:00〜フリントホール(クパチーノ市デアンザカレッジ) 指揮  :リボル ペシェク 曲目  :スボヴォダ    Overture of the Season      サンサーンス   ピアノ協奏曲 第2番               Louis Lortie(pf)        ドヴォルジャーク 交響曲 第7番 スボヴォダはパリに生まれたが現在はオレゴン州のポートランドに住んでいる らしい。曲は聞きやすく華やかさを持っていた。 サンサーンスのP響はすばらしかった。あまり聞かない名前のピアニストだが カナダ出身で日本にも行ったことがあるそうである。あまり華やかな音は持って ないが、ブゾーニコンクールで優勝しただけあって、確実なテクニックといかにも ピアノらしいすばらしい音色とクリアーな響きと深い音楽性をを持っており、 トリルもきれいに響いていたし、出来上がったフレーズによどみや濁りがない。 ドボルザークはペシェクのオハコで暗譜でのびのびと振っていたし、オケも重厚 な音でよく追従していた。曲は8番や9番に比べるとややめりはりに欠けるが、 視覚的にはチェロやビオラが1プルトだけで弾いたり、ホルンのソロなどが楽しめた。 オケは乱れることなく、芯の通った音で広いダイナミックレンジを保っていた。 これでもう少し柔らかさをもって歌えば最高だが、もう少し時間がかかりそうだ。                         ブラキチ(西伊豆) --------------------------------------------------------------------------------