N響2001-2002シーズンオープニングコンサート (Aチクルス 第1439回)
9月6日(木)19時開演 NHKホール
指揮:準・メルクル
ソロ:戸田弥生(Vn)、原田禎夫(Vc)
プログラム:
ブラームス ハンガリー舞曲Nr1,3,10,6,5
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
交響曲第二番
N響では特にオープニングコンサートとは言ってないようだが、心境著しいチェロの原田禎夫がN響初登場と聞いてシーズン開始を飾るAチクルスの初日のコンサートを急遽聴きに行くことにした。原田さんはN響のチェロ奏者だった原田喜一さんの息子で、喜一氏は学生時代にホルンを吹きながらチェロを始めた時の師匠で、ホルンの先生(当時N響で活躍していた山田圭三氏)まで紹介いただいた大変お世話になった先生の一人である。
禎夫さんには、(私が喜一氏についていたころにはすでに東京カルテットのメンバーとして活躍中で)お会いしたことはなかったが、二年半前ニューヨ−クで東京SQが新進カルテットと共に八重奏曲のコンサートをしたとき終了後にお会いしたことがあり、励ましのメッセージをいただいた。
さて、今夜のオールブラームスコンサートでは久しぶりでN響の良質のサウンドを楽しむことができた。最初のハンガリー舞曲では始めて見るメルクルの歯切れのいい明確な指揮に柔軟に反応するコンマスの山口の助けもあり、あまり重くなることなく軽快なブラームスを聴くことができた。
次のドッペルは室内楽的な美しい響きを楽しむことができた。終始室内楽的な響きを求める原田に対し大きなスケールで取り組む戸田のアプローチも興味深かった。特に戸田が上半身をのり出したときは要注意。ものすごい音が出てくる。
メルクルという人も大変才能があるように感じた。まるでMTT(マイケル・ティルソン・トーマス)がふっているかのようだ。バトンさばきはすばらしい。しかし、ブラ2振るにはまだ経験不足だ。一見表情がついて自然な流れのようにも聞こえるが、テクニックがあるだけに構成の不十分な面がストレートに出て、物足りなさを感じる。持ち味の自然な流れに有機的な息づかいが出てくればトップクラスの指揮者の仲間入りだ。