昨年はだいぶサボってウィーン国立歌劇場等の感想を書けずじまいでしたが、実は昨年の一押しコンサートはベルリンフィルでした。私が聴いたのは11月29日の東京文化会館でしたが、久しぶりに東京文化会館大ホールの音の良さを実感することが出来ました。アバドの指揮でベートーヴェンのVn協と田園を聴きました。

目玉は二つ:ソリストとして参加した弱冠20の女性バイオリン奏者 ヒラリー・ハーンと世界一のサウンドが蘇ったホルンセクションだ。

ヒラリーはドイツ系米国人でドイツ音楽を得意としているがドイツ系としてはムター依頼最大のホープと感じた。なぜかといえば気をてらったところが無い必要にして十分なテクニックに支えられた前向きで純粋な音楽を奏することだ。半月前のNHKの番組でもBPOの来日公演からショスタコービチのVn協Nr1を聴いた方もいると思うが、非常に安定していながらテンションが高く熱気に満ちた演奏だったと思う。私が聴いたベートーベンの協奏曲では熱気の代わりに透明感の有る精神性の高さを感じた。

当日感じたメモを見ると以下のようにかかれている:

 @H.シェリングのような透明度の高いゆったりとした高音の響き

 AD.オイストラフのような太く良く響く中低音

 Bテクニックは世界トップ級であるが、それを前面に押し出さず音楽のあるべく姿を求めている

いずれにしても超一級のバイオリニストとして活躍することを期待したい。

次はホルンセクションであるが、こちらも今回来日した8人のホルン奏者による演奏会のテレビで見てこれはすごいと思われた方も多いのではないでしょうか。まさしく世界一、史上最強のホルンセクションでしょう。まずトップのシュテファン・ドール。彼こそデニス・ブレイン以来待ちに待った最高峰のホルン奏者だ。どんなに速いパセージでもどんなに高い音でも決して外れない。まるでフルートのように吹いてしまう ズゴイ!!! 私が聴いた演奏会ではドールが吹いたが、もう一人ミュンヘンコンクールで優勝した若手のホープ ラデク・バボラクも見逃さない。一昨年ミュンヘンフィルの主席時代に日本でもリサイタルを行いその実力は証明済みだが、何しろホルンらしい音色を求めたら彼にかなう者はいないだろう。この二枚看板をそろえたホルンセクションは今後少なくとも20年は続くBPOの黄金時代の大きな推進力となるに違いない。