竜天に登ると見えて沖暗し   伊藤松宇

初冬 初冬の心に保つ色や何 原こう子
冬ざれ 大石や二つに割れて冬ざるる 村上鬼城
小春 海の音一日遠き小春かな 暁台
短日 短日の空よりはづす小鳥籠 文挟夫佐恵
冬の夜 冬の夜や海ねむらねば眠られず 鈴木真砂女
冷たし 冷たくて鼻さき見ゆるけものみち 山上樹実雄
冴ゆる      湖冴ゆる夜の蒼天へ風奔り            鷲谷七菜子    
冬の雲 冬の雲生後三日の仔牛立つ 飯田龍太
冬の星 寒星や神の算盤ただひそか 中村草田男
凩が奪ふ孤りの夜の影 石原八束
時雨 もてあそぶ火のうつくしき時雨かな 日野草城
冬夕焼 寒夕焼じゃんけんぽんの石と紙 鷹羽狩行
山眠る 山眠るまばゆき鳥を放ちては 山田みづえ
冬の海 冬の海勇者はコロンブスひとり 林誠司
七五三 ネクタイは鳩の空色七五三 後藤夜半
セーター セーターを着るとき垂れ目はっきりと 小島健
冬帽子 冬帽を脱ぐや蒼茫たる夜空 加藤楸邨
寄鍋 寄鍋やむかしむかしの人思ふ 山口青邨
風邪 風邪の子に屋根の雪見え雀見え 細見綾子
月に出て去年の狸の子か孫か 角川照子





  

トップページへもどる