(順不同:成績順ではありません!)

みづいろの海の朝来る吉書揚   岡本眸


一月の俳句

  寒空や男が探すプレゼント               とんとん
黒豆のうまく煮えたる御節かな             余人
    山歩き臘梅の香を探しつつ               あした満月
冬ぬくし久方ぶりの浜の町               武久
 雪吊りを弾いてみたる指の先             よはな
 そこかしこ国旗はためく初景色            小三元
 ひと休み話の弾む焚火の輪              登志子
  三箇日過ぎて忽ち茶漬飯               蛇頭家
墜道を抜けて房総初日の出              充意
  映りゐて杭の水鳥揺れてをり             由美子
  木枯や絵文字混じりの伝言板             美沙子
初春の風にはためく大漁旗               美樹
昨日会ひしばかりの友へ賀状書く           葉子
大晦日何か仕残したる心地               達朗

十二月の俳句

  落葉掃く残れる木の葉見上げつつ        登志子
冬空にピン刺すごとくクレーン立つ        余人
  銀杏の袋携へ友来る                とんとん
夜半より降り出し止まぬ冬の雨          武久
 飛び石の苔光りゐて冬の雨            よはな
 古里は山また山や紅葉晴             小三元
  底冷も喜々たる犬に引かれけり          蛇頭家
退職の友との酒や鮟鱇鍋              充意
    仲見世は江戸の賑はひ羽子板市         あした満月
冬の日を拾って歩く切通し              美樹
 冬銀河坂の途中にカフェテラス           美沙子
短日や暮れて終はらぬ庭仕事           葉子
息白く吐いて携帯電話かな             達朗

十一月の俳句

襟立てて銀杏黄葉を踏みしめる         充意
 薄紅葉くぐりて巡る屋形舟            登志子
紅葉山中腹辺りが盛んなり           武久
 空念仏禁酒禁煙十一月             蛇頭家
コスモスの大きく揺るる夕べかな        余人
 秋の森両校校歌こだませり            小三元
    新蕎麦をおやじ一途に打ちにけり        あした満月
長屋門開いてをりし菊日和            美樹
 サフランや白き雲浮く国境             美沙子
黄落や犬ひきて坂ゆるやかに          葉子
散策の足裏に脆き虚栗              達朗

十月の俳句

秋刀魚焼くけむりこの道ゆき止まり      余人
  新聞の音に目覚めし秋の朝          小三元
  秋晴や眠たくもあり文庫本           蛇頭家
    名月や地にホームレス眠りをり        あした満月
ローカルの鈴虫列車客一人          充意
秋の旅行程表を読み返し            武久
へちま棚くぐりて郷土資料館          美樹
 午後の風誘ふ運河や蔦紅葉         由美子
 鈴つけて猫の出て行く十三夜         美沙子
川端のバス停留所柳散る           葉子
大甕を並べ古民家萩の花           達朗

九月の俳句

一隅を暮れ残してや遠花火          余人
ひぐらしのこゑ間近なり坂の道        武久
 朝顔の二階の窓に侍りけり          蛇頭家
 反橋を渡り初秋の羅漢寺           よはな
急流に足をとられし夏の沢          充意
 朝霧に磐梯山の仁王立ち           小三元
    あぶらぜみ油地獄の中で鳴き        あした満月
 大花火きらめきマストに降り注ぐ       登志子
 砂山の端より崩れ夏の雲           由美子
 草を食む羊の群れや天高し          美沙子
潮騒の海まだ見えず新松子          美樹
蛇行して霧の高原道路かな          葉子
パレットの絵具の乾く残暑かな        達朗

八月の俳句

 泡ひとつ口にのせたる金魚かな       よはな
部屋干しのタオルの嵩や梅雨長し      余人
向日葵の向き定まらぬ花瓶かな       充意
足浮かせリフトに任せる夏の山        武久
 窓開けてもうひと眠り夏鶯           登志子
 幼子の手真似真剣盆踊り           小三元
逝きし父に迎火を焚く母であり        通仙
 縁側に籐椅子ひとつ沙羅の花        由美子
沙羅咲いて三角屋根の時計塔        美樹
  葛切や櫓太鼓のよく響き           美沙子
餡蜜や鎌倉の海すぐそこに          葉子
大西日受けゲーテ座の赤煉瓦        達朗

七月の俳句

新盆を気丈に仕切る母であり         通仙
梅雨の朝通学路行く傘の群れ         武久
 梅雨晴や雉の親子の歩の疾し         小三元
括猿吊るし奈良町夏座敷            余人
 青田風下り線着き発車する           登志子
 北国やポプラの絮とバスを待ち         よはな
    灯を消してカサブランカの香りたち       あした満月
トロッコや夏雲白し黒部ダム          充意
  ひまはりの咲きて喪の戸の閉ざしあり    由美子 
 散り敷きて薔薇の花びらなほ褪せず     美沙子
噴煙や熔岩の山裾茂りたる          美樹
渋滞の尾灯の列や梅雨深し          葉子
水草や何か蠢くもののゐて          達朗

六月の俳句

優曇華や灯り少なき蔵の町         余人
渡良瀬や靄の中より巣立鳥         充意
下刈りの鎌を休めて余花の昼        通仙
 緑さす佐渡の語り部母に似て        よはな
    春の日にゆらり茶柱立ちにけり       あした満月
  思い出を辿る山径走り梅雨          登志子
  薫風や胡弓奏でる駅広場          小三元
漬けた日の日記見ながら梅酒飲み     武久
 薔薇の香のして薔薇園のまだ見えず    美樹
  夏燕硝子のビルを掠め飛ぶ          美沙子
濃むらさき薄むらさきや花菖蒲        葉子
水馬右往左往の水輪かな           達朗

五月の俳句

天と地を仕切る青嶺の屏風かな       通仙
 房総の風に吹かれて鯉のぼり        よはな
牡丹の色とりどりに雨雫            武久
小走りに通り過ぎにし雉一羽         充意
白樺の芽吹きてさやか青き鳥       小三元
    髭を剃る鏡の中にチューリップ        あした満月
 半蔵門電車で花見若き日に          登志子
新緑のテラスに憩ふ絵画展          余人
 ふらここにひとりの刻をたのしめり       美沙子
 川音やかたくりの花踏まぬやう        由美子
行き先は子に従ひてこどもの日        美樹
行く春や茶房の椅子に深く掛け        葉子
あたたかや銀座に俳句色紙展        達朗

四月の俳句

利酒の土間の暗さや梅香る         余人
花筵その真ん中に将棋盤          通仙
春炬燵電話のベルの鳴りやまず      充意
夕間暮れ賑はふ時を待つ桜         武久
 百万の梅の香れるベンチかな        小三元
    花びらをよけて新聞取りに行く        あした満月
 春昼や島の小道に六地蔵          よはな
 春愁や鍋ことことと独り言           登志子
卒業証書授与園長の大きな手        美樹
 下萌や湖までの道日当たりて         由美子
 残雪や戦国の世は遠くあり          美沙子
川沿ひに米屋雑貨屋柳の芽         葉子
湘南の浜風を受け若布干す         達朗

三月の俳句

鳥が来て膨らむ小枝春の昼         武久
飛行機の近寄りて行く春の星        通仙
 新築の居間の明るし古代雛         よはな
  白梅の青空に映ゆ崖の家          登志子
鴛鴦の水かきせはし真昼かな        充意
    春一番雀の群れの隠れをり          あした満月
うたた寝にたそがれて行く春の庭      余人
  餌箱に小鳥の群るる春の昼         小三元
 雛の間にやはらかく日の差し入りて    美樹
  格子戸に日差し明るき枝垂梅        美沙子
  風船を結びしベビーベッドかな        由美子
 風光る運河の上をモノレール        葉子
 旅鞄車に積んで水温む            達朗

二月の俳句

 沈黙の日々のありけり寒牡丹        よはな
    散歩道豆撒く声の聞こえけり         あした満月
噴出せし間欠泉に牡丹雪           充意
冬晴れの天守の甍光りけり         余人
飛び来たり梅の蕾を見るめじろ       武久
 深山に読経こだまし山始め         小三元
 曙や大寒木のシルエット           登志子
納豆の糸ながく引く春の風邪        通仙
立春のけふは明るき道通る         美樹
 春を待つ無人駅舎の赤き屋根        美沙子
寒玉子黄味の重きを割り落す        葉子
地球儀の海の青色日脚伸ぶ         達朗

一月の俳句

年行くや港に並ぶ漁師船          余人
去年今年両睨みなり鬼瓦          充意
街灯のまだ残りたる冬の朝         武久
 冬の空見上げて森の一歩かな       よはな
 子等去りて三大テノール年の酒       小三元
 羽子板市首を埋めし鳩の群         登志子
初旅は指でなぞりて世界地図        通仙
    パジャマ着て新聞とりに霜の朝       あした満月
  新年会メインロビーで待ち合はす      由美子
着ぶくれてカウントダウン待ちゐたり    美樹
 着ぶくれて覗いてをりぬ海の底       美沙子
商店街抜けて裏道花八つ手         葉子
魚屋の土間を冷たき水流れ         達朗

十二月の俳句

時雨るるやテールランプの長き列    余人
釣人の小舟に揺るる冬茜        よはな
渓谷の燃えんばかりの紅葉かな     充意
  冬寒やメール届かぬ里にをり      あした満月
片時雨山を二つに染め分けり     仙人
踏切に長蛇の車十二月         小三元
夕しぐれ城崎の先日本海        武久
天窓に月のかかりしクリスマス     由美子
落葉踏む音の見つかるかくれんぼ    美樹
風花や灯の点りたるログハウス      美沙子
散紅葉栞に旅の日記閉づ         葉子
空風に向かひて駅伝走者かな      達朗

十一月の俳句

虚ろなるかぼちゃの面のほの灯かり   余人
  からすうり蔓と蔓とにつながれて     武久    
一服の紫煙を流す夜寒かな      仙人
秋嵐予報に一喜一憂し        充意
おでん買ふ列に加はる峠茶屋     よはな
昼の虫沁み入るように細く鳴き     登志子
踏切の鐘かんかんと冬近し      あした満月
霧晴れて男体山の素顔かな      小三元
江ノ電を降りてまた乗る秋日和     美樹  
虫の闇雨戸一枚閉め残し        由美子
秋澄むや鳥の形のみちしるべ      美沙子
江ノ電に乗る晩秋の海の色     葉子
祝の座を出て上弦の月の道      達朗

十月の俳句

赤い羽根付けて背筋を伸ばしけり     仙人
花終へし木々に真白き千人草       登志子
朝露に輝く陽射し蕎麦の花      充意
鐘の音の余韻かき消す虫の秋      よはな
赤き実は七竈らし露天の湯      余人
遥かなるワイオミングは秋の原     武久
霧迅し天下の嶮の迫り上がり     小三元
キャビアいっぱいスプーンにすくひ冷酒酌む  あした満月
色鳥や缶に切手のコレクション      美沙子
横顔のやうな雲浮き赤とんぼ       由美子
月高く朱の橋の上に待ち合はす    美樹
菊日和鎌倉どこを歩かうか      葉子
萩見むと鎌倉までの切符買ふ      達朗

九月の俳句

長月や捨て猫の鳴く寺の庭     あした満月
台風の過ぎ去りし庭星光る        充意
入道雲夫の想ひ出矢作川       登志子
竹伐りの谺の走る谷間かな      仙人
街道に朝採り茄子の無人店     余人
八ヶ岳富士を遥かに月見草     小三元
秋夕焼河原にカヌー裏返し      よはな
戦争を知らぬ球児の終戦日      武久
新涼や水輪に透けて魚の群      美沙子
滝を見にこの朽ち橋を渡らねば     美樹
苦瓜の曲がれるままに揺れてをり     由美子
サンダルを履いてえのころ草の道     葉子
赤とんぼテニスコートに球弾み     達郎

八月の俳句

大太鼓地を響かせて星祭     小三元
夏空や分水嶺に立ちてをり     余人
まだ誰も帰り来ぬ夜の遠花火     美樹
琴の音の止みたる路地に夏の月    よはな
静寂を破りて高き花火かな     充意
滝の音近づきつつも未だ見えず     武久
月下美人わずかに揺れて夜はふけぬ   あした満月
宿浴衣どっと呑み込む大旅籠     通義
月下美人咲くや地熱の冷めしより     由美子
海の日のパレットに溶く青絵具     美沙子
高階に住む楽しさの遠花火      葉子
炎昼のミュールの細き踵かな     達朗

七月の俳句

名水や梅雨の晴間の野点かな     充意
蕎麦の花信濃の里の武家屋敷    あした満月
燕一瞬水面叩きけり          余人
岩に立つ白衣の海女や夏燕     登志子
幼子や蚊に刺されたる腕を見せ     武久
扁額に入れても見たし花菖蒲     通義
ゴルフ場芝生き生きと迎へ梅雨      小三元
浜木綿や海の近くに父祖の墓     よはな
保冷箱路地に嵩なす市場裏      美樹
八方へバッファロー消え夏の月      由美子
革靴の来て蟻の列ちりぢりに      美沙子
退院の夜や甚平を着て膳に       葉子
突堤に並ぶ釣り人麦嵐          達朗

六月の俳句

苧環や造り酒屋の土間広し    余人
首振りてカルガモ我に近づきぬ     充意
 昼寝覚階下に夕餉の音のして     武久
蟻の道行き来絶えない真昼時     通義
愛犬に法被を着せて夏祭        よはな
愛しきは一期一会の沙羅の花     小三元
    モーニング脱ぎ捨てしよりビール酌む  あした満月        
木の下に燭の揺れゐる夏料理       由美子
遠雷や忘れし頃にまたひとつ    美樹
礼服の胸に勲章風薫る         美沙子
エメラルド色の火口湖風五月      葉子
潮の香の満ちたる路地の濃紫陽花    達朗

五月の俳句

日の陰りなほ山肌に蕨採り      武久
川風に頬ふくらます五月鯉      通義
湾岸に大廈高楼風光る        余人
うららかにバスで上りし最上川    充意
藤の花バスの窓より振り返り    小三元
窓若葉句集をつめて旅仕度     あした満月
高々と上ぐ象の鼻夏近し       美樹
明日より南半球春の星        由美子
虫眼鏡春の光を一点に        美沙子
藤匂ふ夕したしき人を訪ふ      葉子
客船の白さ際立ち五月来る     達朗

トップページへもどる