ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
  Beethoven/Symphony No.5 C-minor op.67
【基本データ】
 ≪作曲年≫   1803年〜1808年ころ?(推定)  ≪初演≫   1808年12月22日    ベートヴェン自身の指揮でアン・デア・ウィーン劇場において    ※同時に、第6交響曲「田園」と、合唱幻想曲の初演も     行われた。  ≪楽章≫4楽章構成   T.第1楽章 : Allegro con brio   U.第2楽章 : Andante con moto   V.第3楽章 : Allegro   W.第4楽章 : Allegro      ※通常、第3楽章と第4楽章は切れ目無く演奏される。       (=繋がっている)   ≪編成≫   ・ピッコロ(第4楽章のみ) / Piccolo(4th mov.only)   ・フルート2 / 2 Flutes   ・オーボエ2 / 2 Oboes   ・クラリネット2 / 2 Clarinets   ・ファゴット2 / 2 Bassoons   ・コントラファゴット(第4楽章のみ) /Duble Bassoons(4th mov.only)   ・ホルン2 / 2 Horns   ・トランペット2 / 2 Trumpets   ・トロンボーン3 (第4楽章のみ)/3 Trombones(4th mov.only)   ・ティンパニ / Timpani   ・弦5部 / Strings  ≪演奏時間≫    約35分 /35minutes  ≪ミニチュアスコア≫   ・音楽の友社版(\850+税)   ・音楽の友社版(\3200+税)     ※ブライトコプフ版によるB5の上版デラックス版。   ・全音楽譜出版社版(\800+税)   ・日本楽譜出版社版(\700+税)   ・ベーレンライター版(\2000+税)     ※輸入版 Barenreiter版    他



【HP管理者の曲論・極論】
 ここで、私なんぞが、下手な事を書くと怒られそうなので 細かい説明は抜きにします。ただ、古今の交響曲、いや、クラシック曲 において、最も多くの人に聴かれている名曲中の名曲であると思います。 生徒の反応はどうあれ、(確か)中学校の音楽の教科書にも登場し、 意外といやいやに音楽の「勉強」していた生徒も「ベートーヴェンの運命」 だけは「ジャジャジャ、ジャ〜ン!!」で知っているはずです。 まあ、「いやいや」というのが問題ですが、何は、ともあれ、 この曲が名曲中の名曲であることは今更言うまでもありません。 実際、私自身も、これだけ構造的にもよく出来ていて、かつ、 ある時、ふと原点に戻って聴いても飽きない素晴らしさがあります。 また、4楽章に向けての絶望から歓喜へという流れも、これ以降の 交響曲に大きな影響を与えてもいると思う(その例外はたくさんある けど・・・)。まあ、これだけの名曲ですから、多くの レコード・CDも出ていますが、ここでは、一部を除き、かなり 変わった「運命」のCDを挙げたいと思っています。
 ちなみに、この曲の表題が「運命」と言われているのは、 日本くらいのもので、欧米では、一般に「第5交響曲」と 言われているようです(もちろん、日本語ではなく各国語で)。
 おまけですが、第4楽章の冒頭が「かもめの水兵さん」に 似ているのも有名な話ですね(爆)。                             (2002年02月03日)



■カルロス・クライバー/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
  Carlos Kleiber / Wiener Philharmoniker


【データ】
 ・レーベル  : Deutsche Grammophon(国内盤POCG-9526)
                    (輸入盤 447 400-2)
 ・値 段   : ¥1942(税抜き)
 ・録 音   : 1974年3月〜4月、ウィーン(ADD)
          ORIGINAL IMAGE BIT PROCESSING
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  7:17 第2楽章 =  9:56
          └第3楽章 =  5:07 第4楽章 = 10:48
 ・発売日   : 1995年5月25日
 ・カップリング: 
          ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92


 これは、名盤です。かの クライバーの運命です。しかも、ベト7とカップリングで音質も ステレオ録音ならでの良さが大きく出て良いです。大抵の方が持っている CDの一つではないでしょうか??快濶で、歯切れの良い、パワーのある 演奏は、ただただ感心するばかりです。

■近衞秀麿/読売日本交響楽団
  Hidemaro Konoe / Yomiuri Nippon Symphony Orchestra



【データ】
 ・レーベル  : PLATZ(国内盤PLCC-740)
 ・値 段   : ¥1800(税抜)
 ・録 音   : 1968年2月21日、杉並公会堂(ADD)
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  8:23 第2楽章 = 10:24
          └第3楽章 =  5:50 第4楽章 =  8:54
 ・発売日   : 2000年9月21日
 ・カップリング: シューベルト/交響曲第8番ロ短調D759
                 「未完成」


 これは、近衞盤です。 近衞盤??と思われる方もいらっしゃるのでは??これは、もちろん 日本へ西洋音楽の普及に尽力された近衞秀麿(1923〜1973)による版です。 “近衞”という苗字で戦時中の総理大臣の近衞文麿を思い起こせる人も いると思いますが、秀麿は文麿の弟です。また、秀麿は現在のN響の前身 である新交響楽団を創設した人物としても有名ですね。これはその秀麿に よって手が加えられた版の「運命」です。運命をよく聴いている人ならば、 何処にどういう手を加えたのかがきっとよく分かると思います。
 例えば、1楽章の冒頭の繰り返しに、何故かホルンが入っていたり、 228小節にティンパニが追加されていたり、478小節では、主題の 「ジャジャジャ、ジャーン」を強調する為に全パートの頭の8分音符を 省略したりしている(他にもあります、色々と・・・)。似たようなことで 有名なのは、ストコ節で有名な、ストコフスキーもそうですね。 そう言った意味でも、楽しめますが、それ以上に、日本の西洋音楽の黎明期に おける歴史的に重要な録音である事は言うまでもありません。
 録音はステレオ録音。悪くはありません。この時代の標準的な録音だと 思います。カップリングの「未完成」も多いに聴く価値のある演奏で あると思います。



■デイビット・ジンマン/チューリッヒ・トンハレ管弦楽団
  David Zinman / Tonhalle Orchestra Zurich



【データ】
 ・レーベル  : ARTE NOVA Classics(輸入盤74321 49695 2)
           ※国内盤あり
 ・値 段   : 時価
 ・録 音   : 1997年3月25〜26日、スイス・トンハレ(DDD)
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  6:49 第2楽章 =  8:45
          └第3楽章 =  7:19 第4楽章 = 10:25
           トータル =  33:18
 ・カップリング: ベートーヴェン/交響曲第6番ト長調作品68
                  「田園」


 これは、ベーレンライター盤です。 が!!上記≪ミニチュアスコア≫の項で紹介したベーレンライター版とは 明らかに違うのです!!例えば、第1楽章の268小節目のオーボエの ソロがまず違います。これは、ちょっと知っている方(曲さえ知っていれば) であれば、明らかに違うのが分かります。また、第3楽章に何故か 繰り返しがあり、冒頭にまた戻ってきます。もちろん、両方とも、 売っているベーレンライターには書いてありません。なんででしょう?? でも、このオーボエのソロを某大学オケでの新入生歓迎コンサートで、 この版のように、アドリブで吹き替えてみて、奏者全員を驚かせた つわもの(?)もいらっしゃいます(E.Yさんです)。


■プロ・アルテ・アンティクア・プラハ
  PRO ARTE ANTIQUA PRAHA



【データ】
 ・レーベル  : Bona Nova(国内盤PCCL-00321)
 ・値 段   : ¥2913(税抜き)
 ・録 音   : 1995年11月22〜25日、プラハ「芸術の家」
           ドヴォルザークホール(DDD)
           キャニオン24bitレコーディングシステム
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  6:53 第2楽章 =  7:53
          └第3楽章 =  4:39 第4楽章 =  9:22
 ・発売日   : 1996年2月21日
 ・カップリング: ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調作品93


 これは、弦楽五重奏盤です。 弦楽五重奏版に編曲したのはC.F.エバース(1770〜1836)という人で、 ベートーヴェン(1770〜1827)とほぼ同じ時代を生きた人です。 この時代では、ある曲を編曲するということは、割合に多く行われて いたようで、このような形以外の編成も、ひょっとしたら存在 するのかもしれません。この弦楽五重奏(Vn2丁、Va2丁、Vc1丁)版 の演奏は、管弦楽の運命と比べてみても違和感無く聴け、管弦楽とは また違った発見があるかもしれません。
 私自身、このような管弦楽の曲を室内楽に編曲したものを演奏して みたいなとも思っています。
 ちなみにCDのライナーノーツによると、この演奏のピッチは オリジナルに近い形でと言うことで、A=428hzのようです (現在は一般的にA=440〜443hz)。



■グレン・グールド
  Glenn Gould



【データ】
 ・レーベル  : SONY CLASSICAL(輸入盤SMK 52 636)
 ・値 段   : 時価
 ・録 音   : 1967年11月22日〜1968年1月8日、ニューヨーク
          Super Bit Mapping(ADD)
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  5:56 第2楽章 = 14:29
          └第3楽章 =  7:00 第4楽章 = 11:33
 ・カップリング: ベートーヴェン/交響曲第6番ト長調作品68
                  「田園」より第1楽章


 これは、ピアノ盤です。 ピアノ版に編曲したのは、かの大ピアニスト、フランツ・リスト(1811〜1886)で、 その編曲も見事です。あの管弦楽曲を、上記の弦楽五重奏より更に小さな編成、 というより、つまり人間1人の2手で演奏出来るものに編曲している訳ですが、 管弦楽版の交響曲を想定して聴いても、その再現力も素晴らしいし、 これはこれで、このような曲があっても良いのではないか?と 思うほどです。ピアノソナタをあれだけ残しているベートーヴェンですから 「運命ソナタ」なんてあっても良かったかもしれません(笑)。
 このピアノ版のベートーヴェンの交響曲は、リストによって、 この5番だけでなく、全ての交響曲(第1番〜第9番「合唱付」)の編曲版が あるようです。私は、まだ、このCDと第7番しか聴いていませんが、 どちらもなかなか良いと思います。



■エルンスト・エリッヒ・シュテンダー
  Ernst-Erich Stender

 2002.03.15 Updated

【データ】
 ・レーベル  : Ornament Records(輸入盤ORN 11457)
 ・値 段   : 時価(¥1990(税抜き))
 ・録 音   : 2001年、ドイツ・リューベック
          (DDD)
 ・時 間   : ┌第1楽章 =  7:53 第2楽章 = 08:56
          └第3楽章 =  4:48 第4楽章 = 11:01
           トータル = 59:37
 ・カップリング: ベートーヴェン/交響曲第1番ハ長調作品21
           (もちろん、オルガン版)


 これは、オルガン盤です。 オルガンを演奏しているErnst-Erich Stenderによって編曲されているようです。 ちなみに、彼は、この演奏を録音したリューベックの聖マリエン教会の教会 オルガニストのようです。
 このCDをお店で発見した時、「これは絶対ヤバイ・・・」と思い、速攻で購入する
ことに決定(普通は、買わないが・・・)。しかし!!帰宅して、聴いてみると・・・ 勿論、びみょ〜と思われる所もあるのですが、「ほう、なるほど」と思われる所もあり、 買ってみた価値はあったかなとも思います。
 1楽章冒頭は、オルガンで演奏されると、スゴイものがあります(汗)。 バッハのトッカータとフーガと運命が混じったような激しいものがあります。 途中、変な所も多少ありますが、繰り返しの終わった後以降は意外にも、オルガンの 響きが良い効果をあげています。2楽章は、丁度、教会で懺悔でもしているような 雰囲気が出ており、全楽章の中で、1番オルガンに合うような感じがします。 3楽章は、曲の後半の静かになった部分が、これもオルガンの響きを上手く 生かしており、オルガン曲であったような感じがします。4楽章は、ちょっと オルガンでは限界かな?と思う部分がありますが、これはこれで良いのかと。 でも、実際にこの教会で生のオルガン演奏で聴いたら、相当圧倒されるで しょうけど・・・(聴いてみたい)。



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