■ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」
Alexander Borodin/Symphonic Poem “In the Steppes of Central Asia”
【基本データ】
≪構成≫
交響詩と題されるが、“交響詩”という表示が無い事がある(むしろ多い?)。
≪編成≫
・フルート2 / 2Flutes
・オーボエ / Oboe
・コールアングレ / English Horn
・クラリネット2(in A) / 2Clarinets(in A)
・ファゴット2 / 2Bassoons
・ホルン4(in F) / 4Horns(in F)
・トランペット2(in F) / 2Trumpets(in F)
・トロンボーン3 / 3Trombones
・ティンパニ / Timpani
・弦5部 / Strings
≪演奏時間≫
・約8分 / approx.8minutes
≪ミニチュアスコア≫
・全音楽譜出版社 ISBN4-11-892651-2 (\500+税)
・音楽之友社 (\600+税)
・日本楽譜出版社 (\400+税)
(2002/08/16)
【HP管理者の曲論・極論】
アジア大陸の平原における悠久の時の流れのある一節を見ているような気分になれる
曲だと思います。8分ほどの曲なのですが、広く広がる草原が見えてきます。
曲の冒頭は、ヴァイオリンのフラジオレットによる高音が響き、何となく、朝霧の中に
広がる草原が見えてくるようようです。何度も流れてくるメロディーは楽器を変えていますが、
同じ主題・・・まるで、時代は移り変わっても、変わらない草原の1日を表しているようです。
ヴィオラ、チェロによるピツィカートは、キャラバン隊の足音にも聞こえるようだし、
悠久の時を刻む音のような気もします・・・。一度盛り上がった後に、ヴァイオリンを中心に、
美しいメロディーを対位法的に演奏しますが、これが美しい。その後のホルンも遠く広いイメージを
かもし出し、クラリネットが何となく悲しいような雰囲気を出す感じも永遠性を持っているよう。
最後は、フルートによってメロディーが閉じられるが、冒頭と同様、ヴァイオリンの高音によって
締めくくられる所も、何となく、日没の霧や靄(もや)が目に映って来るようで、再び、
曲の冒頭に戻って聴いてみたくなる感じもある。心が温かくなく曲の1つだと思います。
各楽器の長所がよく生かされていて、オーケストラの入門という意味でも、楽器の音色を
しっかり確かめることが出来るので、クラシック曲を知らなくてもためになるし、メロディー
ラインもよく分かり、非常に親しみやすい曲の1つだと思います。いつだったか、CMに
使われていた気もします。1日の締めくくりに良い曲かもしれません。
ただ、これだけ分かりやすいメロディーがあり、単純な構成なのに、飽きが来ないのは
なぜでしょう??ボロディンはこの曲に限らず、数こそ少ないけれど、非常に良い曲を
残しています。イーゴリ公、交響曲、弦楽四重奏もそうです。駄作が少ないんですよね。
どの曲も聴く価値のある曲ばかりです。
■ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団/
Neeme Jarvi / Gothenburg Symphony Orchestra
【データ】
・レーベル : Deutsche Grammophon
(国内盤POCG-7126(海外盤449 118-2)
・値 段 : \1942 + 税
・録 音 : 1989年6月〜1991年6月(DDD)
・時 間 : 7:21
・カップリング: ボロディン/交響曲第2番ロ短調
/夜想曲
/歌劇「イーゴリ公」より
序曲、ダッタンの娘たちの踊り、ダッタン人の踊り
各楽器の歌い方が非常に良いです。何となく、のんびりとした雰囲気があり、
悠久さを感じさせてくれる演奏だと思います。後半のちょっとわざとらしいかも知れない
ゆっくりとしたテンポも泣かせてくれます。
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