子猫の戯言
(仮設)

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01/11/23
 さて、久方ぶりの更新になります。まことに持って申し訳ない。皆様は居かがお過ごしでしょうか?私は手が痛い。 まるで火傷をしたかのように痛いのです。
 事の起こりは、この前台湾に行った時に買ってきたジッポライターに油を足そうと思いついた事が発端でした。 少し足してみた所、これが幾ら火打石を擦っても火がつかんのです。
安物だからいかんのかガスが足りなかったのかは今となっては判りませんが、 取り敢えず私をむかつかせるのには十分な出来事でした。 もお、むかついてむかついてしようが無いほど頭の箍が緩んでいる私はどんどん油を注ぎます。
 で、溢れるわけです。しかも、ジッポライターのその構造上、逆さまにして底辺から油を注ぐ構造になっているのですが、 灯芯が出ている部分にはもちろん穴が開いています。こいつが実に曲者でしてある程度の量を補充してそのまま時間を置くと、 やがて補充した油が垂れてくるのです。それも勢い良く。
 あわてた私は即座に給油作業を中断、ジッポライター外殻に内装の燃料タンク(と呼んで良い物でしょうか?) を格納したのですが、時既に遅く手は漏れた油でぎとぎとになっていたのでありました。
 ここで、よしゃあいいのに昔の記憶が私の頭の中を横切ります。 むかしアルコールランプ用のエタノールを手に塗って火をつけた記憶です。 先生曰く『エタノールの気化熱で手は熱くならない』とおっしゃいました。 そしてそれは本当に熱くなかったのです。エタノールの発熱量などたかが知れていますから、実際火傷などしないのです。
 愚かで憐れな灰色子猫は、ああ、なんという事でしょう、手に付着した燃料を飛ばすため、 ただそれだけの為にライターの火をつけたのです。それも油で覆われてしまった手で!!

 至極当然の事ながら、手に付着したジッポオイルは燃焼を始める。 さて、物が蒸発する時に熱がが奪われるのは前段にて説明した通りだが、ここで比較してみたいと思う。 エタノールの場合、一キログラムが蒸発する間に263キロカロリーの熱量が奪われる。
 では、ジッポオイルのそれを確認してみよう。ジッポオイルの主成分はホワイトガソリンガソリン一族の危険極まりない眷族の一員である。 蒸発するさいに奪われる熱量は一キログラム当たり70乃至80キロカロリー。エタノールの263キロカロリーに比べ、 段違いに少ない量しか潜熱でエネルギーを奪われないのである。すなわち、発生したエネルギーはダイレクトに周囲に振りまかれる。 無論の事、燃焼時間単位の発熱量では比べ物にならない程の発熱量がガソリン側にある。 理科年表の類が無いので調べ様が無いが(無論、組成式から逆算できるけどめんどいし、添加物がわからないので正確ではない)、 下手をすれば一桁発熱量の違う物質をひとからげにして扱っていたわけである。
 即座に気がついて火を消してから良かった物の、気がつくのが遅ければ私の手は『子猫のバーベキュー』 By ゴ・ジン・ニュー夫人になっていた事であろう。現状ですら、 見かけ上は何とも無いものの、左手の薬指から小指にかけてがちりちりと、あの火傷特有の不愉快な痛みを発している。
このように、思い込みとは何時でも恐ろしい結果をもたらす。 この文章をお読みの各位は恐らく私よりは間抜けではないであろうが、ガソリン を手につけて火などつけないように。下手をすると死を招きかねないほど危険である。

 追伸:ジッポライターに対する燃料の補給自体は成功裏のうちに終わった。