帰り道、昨日の血痕の場所を通る。眼鏡は消えていたが、血痕はうっすらと残っている。やはり事故ではないらしく、花の類も置かれていない。
一体、何があったのか知りたくて知りたくて仕方が無くなる。
01/05/30
路上に散らばる赤い染みの群れを見つけたのは、ちょうど私がバイト先に出社しようとして東急の駐車場前に通りかかった時だった。
まごう事無き血痕だった。赤茶けた独特の色合い、地面に対する染みつき方、アスファルトに対してへばりついた時の小さなグラデュエーション。
どう考えても剣呑なその飛沫は、あたり一面に転々と飛び散っていた。この血液の元の持ち主は決して無事には済んで居まい、
そう思わせるのに十分な量が地面にこびりついている。
しかし、何処かが変である。まず、飛び散り方が変なのだ。一面に、満遍なくばらばらと均等に血痕が振りまかれている。
大体直径4メートル近い円周の中にである。普通に傷を負ったとして、こんな血の飛び散り方が起こりうるのだろうか?
普通、傷口付近から垂れる訳だから、どうしても血だまりに近いものができる筈だ。
そしてもうひとつ、警察の現場検証の形跡が一切無かった事であった。血痕が出来たのは恐らく昨晩遅くから今朝にかけてだろう。
それ以前は激しく雨が降っていたので、血痕が地面に定着する事はあり得ない。だったら、血痕より長持ちする筈の白墨が残って居ない訳が無い。
ならば警察は来ていない事になるが………交通事故なら警察は来るはずだし、出血量が相当多い事が容易に想像できるので、
そこから逆算しても被害者は無事に済んではいまい。
結局訳がわからず通りすぎようとしたら、電柱の影に半分壊れた、まだ雨で濡れていない眼鏡が落ちていた。
一体何があったのだろうか。というか、なんか犯罪の匂いそのものだと思うのって俺だけ?
01/05/29
空はいかにも、そう言う他は無いような天気だった。少し憂鬱で、それで居て凶悪さすら感じさせる攻撃的な低い雲が空を覆い、
大気はいささか粘り気を感じるほどの水分を内包している。まさに梅雨どきという、そのまま標本に出来そうな素晴らしい曇り空だ。
雨が降っていない事を確認して会社から出ると、外はまるで霧で煙ったかのようにみえる大雨だった。僅か数分のうちに、
大地は天空より降り注ぐ水幕に覆い隠されてしまったのである。運が悪い事に、何故か私は革靴を履いてきていた。
取り敢えず、靴がぬれないように細心の注意を払いつつ歩いていく。水の流れ方、空気の色が、大地を流れて行く水の色が、
数ヶ月前に旅行した台湾にそっくりだった気がした。
学園祭の書類にホットプレートの消費電力が必要だと言う事で、部室の中を後輩と家捜ししてみる。ホットプレートそっくりの形の、
何か嫌がらせのためにでも作られたような形のガスコンロが出てくる。電線がついていない部分以外、ホットプレートそのものである。
01/05/28
その封筒のラベルは白くなかった………。
ヤバイですよ、まさか当選するとは思ってもいなかったなんて口が裂けても言えないよ、どうしよう!?
………と言っても、頼るドラえもんは居ないし、自分でひたすら努力するほかは無い。つーか本当なら思いっきり喜ばねばならない。
と言うわけで、始まったと思ったらまたいきなり後回しにされるかもしれないHP更新だったり………。
ごめんなさい。
01/05/27
花粉症も酷くなると頭痛がするという話。
01/05/26
「いつの間に時代遅れになってしまったというのだ、私は………。」
「ミサイルの時代は終わったのさ。これからは無誘導ロケットの時代だ。」
「認めん、認めんぞ、私は!!」
「そうやって好きなだけしがみついているが良いさ。」
AC2AAでの話。当然の事ながら世界の情勢からは逆行している。
01/05/25
どうも、友人が本気であやしげなドメインの確保に奔走し始めたらしい。
私の周囲には「メイドジェーピー」やら「ハイジンジェーピー」やら、まともな人間なら必ずや警戒心を抱くであろう名詞を関した、
こんな物を申請するのはどう考えても正気の沙汰とは思えない名詞が飛び交っている。
周囲の人間はすべからくきち○いじみた事にのみ情熱を燃やす人間だと判ったところで私には何の問題も無いので気にしないが、
これが自分の事を「良識ある」と自認しているような人物だったらどう反応するのだろう?
いくら考えても答えが出ない。と言う事は私もその非常識な人種の一部なのであろう。
以前から自覚があったにしろ、自分で自分がおかしい事を再認識させられることは不愉快な体験である。しかし、現実は現実だ。
誰がなんと言おうと気にするものか。無論のこと周囲に無自覚に迷惑をばら撒く手合いに成り下がる気は毛頭ないが。
01/05/24
馬鹿なドメイン名で盛り上がる話。
01/05/22
気絶するほど不味いスパゲッティーの話。
01/05/21
鳩避け作りで困る話。
01/05/20
花粉症のせいで、何をやろうとしても寝てしまう話。
01/05/19
渋谷で見たスリの話。
01/05/18
斑模様の紐のようなそいつは道のど真ん中を何の警戒心も無く這いまわっていた。別に二子玉川のあたりでは珍しい事ではない。
しかし、あまりにも無防備に過ぎたのだ。年に数回は、「御煎餅」と俗に言われる轢死体を目にするが、
見ていてあまり楽しい体験ではない。そして、蛇は全長三十センチほどのごくごく小さな子供だった。
当然の事ながら、蛇は私の事を強大極まりない力を持った危険な存在と認識した。危険な存在から逃げ出す為に、
周囲を必死に探り出す。その様子は見ているだけで笑いがこみ上げてくるほどかわいらしい物であった。
しかし、マンホールの蓋に開いている穴に逃げ込もうとするのは如何なものか。その下は深さ数メートルの地下室になっていて出口は無い上に、
多分いくら探しても食料も見つからず君の細いからだが更に細くなっていくのを毎日体験する羽目になるぞ、
と言う私の心の叫びも聞こえなかったのか、するすると穴の中にもぐりこんでいく。
このまま落ちていくのを見ていると非常に寝覚めの悪いことになりそうなので、取り敢えず尻尾をつまんで引っ張り出すことにする。
体の三分の二が穴の中に既に収まっていた蛇君は、死ぬ気で穴の中で身をくねらせ抵抗する。まあ当然である、
何せこのまま丸呑みにされる可能性だってあるのだから。しかし腕力の差は絶対であり、蛇君は武運つたなく日光の下に引っ張り出されて、
空中に中ずりにされてしまったのだった。
ところで急に話は変わるが、読者諸兄は蛇の持ち方をご存知であろうか?実は、蛇と言う生き物は鎌首を押さえるようにして持てば、
噛まれる心配はまったく無くなる。少し詳しい動物の飼い方を書いた本ならちゃんと書いてあるので一度ご覧になられると良い。
尻尾を持つのは、蛇の運搬法としては下策中の下策。腹筋力の在る蛇なら噛み付かれてしまう可能性も在る……そんな蛇居たら嫌だが。
幸い、この小さな蛇はあまり腹筋を鍛える習慣が無く、体を左右に振って何処か噛みつける場所に噛みつこうとしたので、
仕方が無いので手近の藪の中に放り込んでやった。
私は多分善行をしたと信じているのだが、蛇は決して私に感謝したりはしないだろう。その上、蛇をとっ捕まえた右手が何か痛い。
祟りなどと言う事は無いだろうが、それにしても何か気分が悪い。
01/04/12
それは、なんと言う事も無く、そして人だかりも出来る事も無く、壁を背にして置かれている筐体の中で動いているゲームだった。
その筐体の正面に背中合わせに置かれているガンダムのゲームのほうが、圧倒的に客を集めていた。にもかかわらず、
誰かがコインをつぎ込んだとき、そのゲームは私に牙をむいた。流れ行く背景、不可思議な建物、飛び立つ鳥たち、
そして、僅かな時間で私の心を鷲掴みにしたオープニング。
「美しい」ゲームだった。例え様も無いほどに、美しいゲームだった。いつか自分の手で作ってみたいと思ったゲームが、
私の頭の中にあったもやもやとしたアイデアではなく完全な形を持って目の前に付きつけられたのだ。
まだしも姿形が全く自分自身と同じ人間、ドッペルゲンガーの伝説その物にあったとしてもここまで驚かなかったに違いない。
それは、衝撃以外の何者でもなかった。それはこう言っていた。頭ごなしに怒鳴りつけるでもなく、冷笑しながらでもなく、
ただ淡々と機械的に。
『おまえは何もしていない』
そう、私は何もしていなかった。だから頭の中で紡いだ物語を紙に書き出す事などしなかったし、
それ故に物語に血肉を与えるべく努力をする事も怠っていた。そうであるからこそそれが其処に有るのだと信じる以外、
私には自分の精神の平衡を保つ手段は残されていなかったのだ。愚かしい事に私は自分にその能力があると信じているし、
かつて物語の中で虎に成った男ほどではないにしろ、それを鼻にかけることすらしていた。しかし、何もしなければ何も為せない。
感動して忘我の境地にたゆたう事など私には許されなかった。ただ、劣等感と悔悟だけが心の中を支配していた。
恐らく難易度は非常に高く、それゆえに私がこのゲームをやったとしても、
さしたる時間も経たない内に財布の中を空にするのはほぼ間違い無い。いや、確実に攻略する事は無理であろう。
私には確実に手の届かない所で、それは輝いているのだ。勝ち誇り、まるで私を嘲弄し痛めつけるかのように。
実の所、何もかも諦めていた。どうせ何も出来まいと思っていた。誰かが何かを作り上げる手伝いになれさえすればいいと、
ただ本能にまかせるまま怠惰に過ごしていた。
……負けて堪るものか。必ず追い抜いてやる。優越感に浸りながら見下ろせるような何かを必ず作ってやる。
例え、それが小説で無くとも良い。それがゲームで無くとも良い。……必ず追い抜いてやる。