子猫の戯言
(仮設)

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01/06/18
 時計と言う存在その物が、唾棄されるべき存在だと私は思う。ましても腕時計は最悪だ。 腕に縛り付けたあの皮や金属の塊の形をした、禍禍しいとしか言いようが無いふやけた皮膚を見るのが嫌で、 ついに身に着けるのを辞めてしまったほどだ。今や、私の腕時計は机の上で埃を被り、置時計の代役を務めている。
 昔は、腕時計を見る事自体はさほど嫌いではなかった。いや、見るという言い方はいささか不適切かもしれない。 むしろ、凝視すると言う表現の方が正しいかもしれない。何の為に机に座っているのか良く判らなくなった時など、 時計の秒針の動きや長針の静かな動き、短針の小さな傾きに精神を集中したものであった。
 そうして座っている事自体、結局苦痛を緩和しようとする逃避行動であり……結局苦痛の総量は変わらない。 何故私はここに居るのだ?もっとましな時間の使い方は?そんな疑問が浮かんできてしまう事も時々在った。 私は、一度寝てしまうとなかなか体調が復調しないタイプの人間であるので、出来る限り寝てしまう事は避けようとはした。
 そうやってある意味無意味極まりない努力を続けていると、やがて私の意識は電源を着けっぱなしにされたノートPCのごとく、 精神状態その物がれジューム状態に入ってしまう。目に入る物は時計が全て。時計が時を刻む音と黒板に白墨がたたきつけられる音。 時にはそれ以外の雑音も含む全てに私の自我は征服され、その小さな世界が終わるまで、大概続く。
 そして、世界の終わりは唐突に訪れる。時にはいずこからか飛来した小さな消しゴムの欠片によって。 また在る時は、教師の哀れみと嘲笑に満ちた一言で。そして、大概はチャイムが無理やり搾り出すあまり美しくない鳴き声で。
01/06/13
 ちょっとほうって置くとすぐに一週間くらいの時間が流れてしまう世の中と言うのは、思うに実に不公平な世界ではなかろうか。 時間が必要だと思う時には常に時間は足りず、早く過ぎ去って欲しい時間は耐えがたいほど長い。
 結局我慢しつづける以外の解決法は全く無い。無いのだがなんとも不愉快で腹立たしい限りである。 今日は鳩は来なかった。ただの一匹も、一度たりとも来なかった。どうやらリーサルウエポンの精神に対する訴求力は、 戦闘的極まりない性格の平和の象徴も、純然たる暴力の前には無力だったようである。
 そう言えば、昔のフォークソングに「白い鳩が平和の使者なら/黒い鳩は不和の使者」みたいな歌詞があったような気がするが、 日本の鳩はごく一部の例外を除いて黒か灰色であるような気がする………。と言うよりも、 白い鳩自体が普通に探して見つからない物だろう。白いという事その物が彼の姿を目立たせ、捕食者から狙われやすくするのだ。 すなわち、自然の摂理が平和の使者の存在を脅かしているのだ。
 だからか、世に似非平和主義者が溢れているのは争いが耐えないのは。 自然は平和を疎んでいるのだ。
01/06/07
 勝利宣言。鳩撃退。何が平和の使者じゃ、ざまあ。
01/06/06
 色々あってとても疲れた。いや本当にもう………。
01/06/05
 今日も雨。決戦兵器不発。
01/06/04
 対ハト最終決戦兵器をバイト先に持ち込む。雨。鳩来ないし………。
01/06/03
 とあるゲームのインストールをしてみる。動かない。凹む。
01/06/02
 呼ばれている。まだ見ぬ意思たちが私を呼んでいる……。お金が無い。シカト。
01/06/01
 トチ狂って水晶の原石を10キログラムほど買い込む話。希望があれば掲載
01/05/31
 ベランダの鳩達は上機嫌だった。少し曇った、いささか憂鬱な雰囲気の空の下、元気に、ぼぼっぽー、ぼぼっぽーと歩き回っている。 距離にして私の50糎程度脇の距離を、さも楽しげに。
 彼らの頭の上では、数枚のゴミCDが紐でつるされ、くるくると散乱光をばら撒きながら回転している。 なんの役にもたっていない。貴様は鳩除けなのに何の役にも立っていないではないか!貴様は何のためにそこにぶら下がっている? ………などと馬鹿な事を考えつつ、箒で実力行使。次回からは、もうちと破壊力のある何かを投入するべきかもしれない。

 帰り道、昨日の血痕の場所を通る。眼鏡は消えていたが、血痕はうっすらと残っている。やはり事故ではないらしく、花の類も置かれていない。 一体、何があったのか知りたくて知りたくて仕方が無くなる。
01/05/30
 路上に散らばる赤い染みの群れを見つけたのは、ちょうど私がバイト先に出社しようとして東急の駐車場前に通りかかった時だった。 まごう事無き血痕だった。赤茶けた独特の色合い、地面に対する染みつき方、アスファルトに対してへばりついた時の小さなグラデュエーション。 どう考えても剣呑なその飛沫は、あたり一面に転々と飛び散っていた。この血液の元の持ち主は決して無事には済んで居まい、 そう思わせるのに十分な量が地面にこびりついている。
 しかし、何処かが変である。まず、飛び散り方が変なのだ。一面に、満遍なくばらばらと均等に血痕が振りまかれている。 大体直径4メートル近い円周の中にである。普通に傷を負ったとして、こんな血の飛び散り方が起こりうるのだろうか? 普通、傷口付近から垂れる訳だから、どうしても血だまりに近いものができる筈だ。
 そしてもうひとつ、警察の現場検証の形跡が一切無かった事であった。血痕が出来たのは恐らく昨晩遅くから今朝にかけてだろう。 それ以前は激しく雨が降っていたので、血痕が地面に定着する事はあり得ない。だったら、血痕より長持ちする筈の白墨が残って居ない訳が無い。 ならば警察は来ていない事になるが………交通事故なら警察は来るはずだし、出血量が相当多い事が容易に想像できるので、 そこから逆算しても被害者は無事に済んではいまい。
 結局訳がわからず通りすぎようとしたら、電柱の影に半分壊れた、まだ雨で濡れていない眼鏡が落ちていた。 一体何があったのだろうか。というか、なんか犯罪の匂いそのものだと思うのって俺だけ?
01/05/29
 空はいかにも、そう言う他は無いような天気だった。少し憂鬱で、それで居て凶悪さすら感じさせる攻撃的な低い雲が空を覆い、 大気はいささか粘り気を感じるほどの水分を内包している。まさに梅雨どきという、そのまま標本に出来そうな素晴らしい曇り空だ。
 雨が降っていない事を確認して会社から出ると、外はまるで霧で煙ったかのようにみえる大雨だった。僅か数分のうちに、 大地は天空より降り注ぐ水幕に覆い隠されてしまったのである。運が悪い事に、何故か私は革靴を履いてきていた。 取り敢えず、靴がぬれないように細心の注意を払いつつ歩いていく。水の流れ方、空気の色が、大地を流れて行く水の色が、 数ヶ月前に旅行した台湾にそっくりだった気がした。

 学園祭の書類にホットプレートの消費電力が必要だと言う事で、部室の中を後輩と家捜ししてみる。ホットプレートそっくりの形の、 何か嫌がらせのためにでも作られたような形のガスコンロが出てくる。電線がついていない部分以外、ホットプレートそのものである。
01/05/28
 その封筒のラベルは白くなかった………。
 ヤバイですよ、まさか当選するとは思ってもいなかったなんて口が裂けても言えないよ、どうしよう!? ………と言っても、頼るドラえもんは居ないし、自分でひたすら努力するほかは無い。つーか本当なら思いっきり喜ばねばならない。
 と言うわけで、始まったと思ったらまたいきなり後回しにされるかもしれないHP更新だったり………。 ごめんなさい。
01/05/27
 花粉症も酷くなると頭痛がするという話。
01/05/26
「いつの間に時代遅れになってしまったというのだ、私は………。」
「ミサイルの時代は終わったのさ。これからは無誘導ロケットの時代だ。」
「認めん、認めんぞ、私は!!」
「そうやって好きなだけしがみついているが良いさ。」
AC2AAでの話。当然の事ながら世界の情勢からは逆行している。
01/05/25
 どうも、友人が本気であやしげなドメインの確保に奔走し始めたらしい。 私の周囲には「メイドジェーピー」やら「ハイジンジェーピー」やら、まともな人間なら必ずや警戒心を抱くであろう名詞を関した、 こんな物を申請するのはどう考えても正気の沙汰とは思えない名詞が飛び交っている。
 周囲の人間はすべからくきち○いじみた事にのみ情熱を燃やす人間だと判ったところで私には何の問題も無いので気にしないが、 これが自分の事を「良識ある」と自認しているような人物だったらどう反応するのだろう?
 いくら考えても答えが出ない。と言う事は私もその非常識な人種の一部なのであろう。 以前から自覚があったにしろ、自分で自分がおかしい事を再認識させられることは不愉快な体験である。しかし、現実は現実だ。 誰がなんと言おうと気にするものか。無論のこと周囲に無自覚に迷惑をばら撒く手合いに成り下がる気は毛頭ないが。
01/05/24
 馬鹿なドメイン名で盛り上がる話。
01/05/22
 気絶するほど不味いスパゲッティーの話。
01/05/21
 鳩避け作りで困る話。
01/05/20
 花粉症のせいで、何をやろうとしても寝てしまう話。
01/05/19
 渋谷で見たスリの話。
01/05/18
 斑模様の紐のようなそいつは道のど真ん中を何の警戒心も無く這いまわっていた。別に二子玉川のあたりでは珍しい事ではない。 しかし、あまりにも無防備に過ぎたのだ。年に数回は、「御煎餅」と俗に言われる轢死体を目にするが、 見ていてあまり楽しい体験ではない。そして、蛇は全長三十センチほどのごくごく小さな子供だった。
 当然の事ながら、蛇は私の事を強大極まりない力を持った危険な存在と認識した。危険な存在から逃げ出す為に、 周囲を必死に探り出す。その様子は見ているだけで笑いがこみ上げてくるほどかわいらしい物であった。
 しかし、マンホールの蓋に開いている穴に逃げ込もうとするのは如何なものか。その下は深さ数メートルの地下室になっていて出口は無い上に、 多分いくら探しても食料も見つからず君の細いからだが更に細くなっていくのを毎日体験する羽目になるぞ、 と言う私の心の叫びも聞こえなかったのか、するすると穴の中にもぐりこんでいく。
 このまま落ちていくのを見ていると非常に寝覚めの悪いことになりそうなので、取り敢えず尻尾をつまんで引っ張り出すことにする。 体の三分の二が穴の中に既に収まっていた蛇君は、死ぬ気で穴の中で身をくねらせ抵抗する。まあ当然である、 何せこのまま丸呑みにされる可能性だってあるのだから。しかし腕力の差は絶対であり、蛇君は武運つたなく日光の下に引っ張り出されて、 空中に中ずりにされてしまったのだった。
 ところで急に話は変わるが、読者諸兄は蛇の持ち方をご存知であろうか?実は、蛇と言う生き物は鎌首を押さえるようにして持てば、 噛まれる心配はまったく無くなる。少し詳しい動物の飼い方を書いた本ならちゃんと書いてあるので一度ご覧になられると良い。 尻尾を持つのは、蛇の運搬法としては下策中の下策。腹筋力の在る蛇なら噛み付かれてしまう可能性も在る……そんな蛇居たら嫌だが。
 幸い、この小さな蛇はあまり腹筋を鍛える習慣が無く、体を左右に振って何処か噛みつける場所に噛みつこうとしたので、 仕方が無いので手近の藪の中に放り込んでやった。
 私は多分善行をしたと信じているのだが、蛇は決して私に感謝したりはしないだろう。その上、蛇をとっ捕まえた右手が何か痛い。 祟りなどと言う事は無いだろうが、それにしても何か気分が悪い。
01/04/12
 それは、なんと言う事も無く、そして人だかりも出来る事も無く、壁を背にして置かれている筐体の中で動いているゲームだった。 その筐体の正面に背中合わせに置かれているガンダムのゲームのほうが、圧倒的に客を集めていた。にもかかわらず、 誰かがコインをつぎ込んだとき、そのゲームは私に牙をむいた。流れ行く背景、不可思議な建物、飛び立つ鳥たち、 そして、僅かな時間で私の心を鷲掴みにしたオープニング。
 「美しい」ゲームだった。例え様も無いほどに、美しいゲームだった。いつか自分の手で作ってみたいと思ったゲームが、 私の頭の中にあったもやもやとしたアイデアではなく完全な形を持って目の前に付きつけられたのだ。 まだしも姿形が全く自分自身と同じ人間、ドッペルゲンガーの伝説その物にあったとしてもここまで驚かなかったに違いない。 それは、衝撃以外の何者でもなかった。それはこう言っていた。頭ごなしに怒鳴りつけるでもなく、冷笑しながらでもなく、 ただ淡々と機械的に。
『おまえは何もしていない』
 そう、私は何もしていなかった。だから頭の中で紡いだ物語を紙に書き出す事などしなかったし、 それ故に物語に血肉を与えるべく努力をする事も怠っていた。そうであるからこそそれが其処に有るのだと信じる以外、 私には自分の精神の平衡を保つ手段は残されていなかったのだ。愚かしい事に私は自分にその能力があると信じているし、 かつて物語の中で虎に成った男ほどではないにしろ、それを鼻にかけることすらしていた。しかし、何もしなければ何も為せない。
 感動して忘我の境地にたゆたう事など私には許されなかった。ただ、劣等感と悔悟だけが心の中を支配していた。 恐らく難易度は非常に高く、それゆえに私がこのゲームをやったとしても、 さしたる時間も経たない内に財布の中を空にするのはほぼ間違い無い。いや、確実に攻略する事は無理であろう。 私には確実に手の届かない所で、それは輝いているのだ。勝ち誇り、まるで私を嘲弄し痛めつけるかのように。
 実の所、何もかも諦めていた。どうせ何も出来まいと思っていた。誰かが何かを作り上げる手伝いになれさえすればいいと、 ただ本能にまかせるまま怠惰に過ごしていた。
 ……負けて堪るものか。必ず追い抜いてやる。優越感に浸りながら見下ろせるような何かを必ず作ってやる。 例え、それが小説で無くとも良い。それがゲームで無くとも良い。……必ず追い抜いてやる。