菅井 えり レビュー (2000年11月26日更新) 日本のレコーディングアーチスト、菅井えりのソロ・デビューアルバム、「舞 Mai」。 (Pacific Moon Records Japan CHCB-10020、2000) たとえ彼女の名前は知らなくても、彼女の歌声を聞いたことがある人はたくさんいるだろう。 彼女はアメリカのポップスや教会音楽から強く影響を受け、音楽の世界に入った。幅広い音楽
的才能や透明感あふれる声で、200曲以上の CM 音楽を手掛け、日本では、CM クリエーター、 ヴォーカリストの地位を確立している。 「舞 Mai」は伝統的なパーカッションや小さい楽器が加わったニューエイジ・ヒューマンヴォ イス・アルバムだ。そのスタイルは Adiemus
に似ている点が多々あるので、ミリアム・ス トックレイのヴォーカルが好きなファンに充分アピールできる。 このアルバムは、まず、リラックスした "Horizon" で幕を明ける。彼 女の多重ヴォーカルが小さな楽器のアレンジで強調される。彼女はライナー・ノーツで、「王 さんの中国の笛が、私の歌う言葉のひとつひとつにアジア大陸の風を吹きこんでくれました」 と言っている。 また、"Honen Bushi ほーねん節" については、「Anna Sugar が歌うのを 聞いているときに、メロディーがひとつのコードからできていることに気づいたので、ハーモ
ニーとアジアのパーカッションを加えるとどうなるか考えたんです。彼女が歌い終わるまでに は、この歌のアレンジスタイルのイメージが完全にできあがってました」ということだ。
菅井えりのヴォーカルは、Anna Sugarのヴォーカルよりずっと軽くて官能的だ。 "Konjaku Monogatari 今昔物語" のオープニングでもコントラストがはっきりしている。現 代の楽器や中国の笛が菅井えりのアカペラと組み合わさる。 Adiemus の音を最も連想させる 曲が "Aqua"。彼女のヴォーカルのみで、日本香堂 CM ソングのロングバージョンでもある。 彼女は、「私は2種類の声を使って組み合わせてアレンジし、コーラスに仕上げました」と解 説している。驚くべき作品だ。 アルバムのタイトルトラックでもある "Mai 舞" も、より冒 険的なスタイルであるが、同じようにインスパイアされ、創られた。 "First Love 初恋" では、えりは、二胡 (中国の弦楽器) のスタイルで歌っている。オーケス トラの加わる前にピアノソロが響き、その後彼女の声技が展開される。 非常に官能的でニュー エイジ風の "Rakuen 楽園" では、菅井えりと Anna Sugar の美しい声が伝統的なアジアの 楽器とほど良く調和している。 えりの何重にも重なったアカペラヴォーカルは、アップビート な "A Song Of Birth" では、軽い手拍子だけで支えられている。 そして、アルバムはダイナ ミックな "China Rose" で幕を閉じることになる。特に最後の2曲は、曲も素晴らしいのだ が、ヴォーカルのハーモニーや音響効果がもっとすごい。 菅井えりはこう言う。「私は歌い、曲を作ることが大好きなの。『舞 Mai』のクリアでエスニ ックな声は、他のスタジオで生み出したもの。いろんなスタイルの歌いかたをしても、心はひ とつよ」 さらに、「私の音楽で、みんなの心が、暖炉のある部屋にいるように、お母さんの お腹の中にいるように、暖かく、元気で、幸せで、平和になったらいいな。私の音楽を楽しん でくださいね」 「舞 Mai」は 2001年初めごろ、日本以外でリリースされる予定だ。それまでは、日本以外の 地域では輸入盤でしか手に入らない。このアルバムは菅井えりのソングライティングや多方面 の才能が充分発揮された作品だ。 これを初めて聞いたとき、Adiemus をすぐ思い浮かべた。 カール・ジェンキンスやミリアム・ストックレイのファンに受け入れられることだろう。この アルバムが太平洋を越え、国境を越えるだけのことはあるし、輸入盤を購入する価値は充分あ るはず。これは絶対おすすめだ! 和訳 by pacificmoonスタッフ |