「富江replay」(監督/光石冨士朗 出演/宝生舞)

K’:男をその美貌で虜にし、バラバラにされて殺されてもその肉体の一部から再生する美しき怪物・富江を前作「富江」では菅野美穂が演じ、今回の続編では宝生舞が演じている。まず、宝生には120点差し上げる! 前回の菅野が非常に良かっただけに、その後を受けた宝生にはちょっと心配もあったんだけど……うむ、非常に彼女、気合い入ってるね。菅野版富江とはまた違う、宝生版富江を見事に演じ上げたと思う……で、病院の手術室で富江が姿を表わすオープニングも今回、特殊メイクにはお金が掛かってるようで、なかなか素晴らしい。お、これは結構行けるかなと、期待させる出だしで始まった訳なんだけど……
K:なんだけど、急激に失速していくと言うか……その手術室に居合わせていて、その後失踪した院長の一人娘・由美(山口紗弥加)の父親捜しの話と、病院から抜け出してある若い男をどんどん虜にしていく富江のエピソードを並行して描いていく訳なんだけど……勿論、この二つのエピソードはやがて一つの流れに収束していく訳だが、この監督何を考えたのか、富江の方のエピソードじゃなく、父親を探す娘の方の話に変なドラマを盛り込んでいく訳よ。この父親(菅田俊)と母親は別居していて、父親は若い看護婦と失踪前に不倫していた。で、娘の由美がその若い看護婦から父親の情報を得るうちに、二人は心を通わせ……関係ないじゃん! 「私、××さん(看護婦の名前)の事、本当のお姉さんみたいに思ってて……」、「私も由美ちゃんの事、本当の妹みたいに……」知るか! 母親が聞いたら泣くぞ! そんな三文芝居いらんねん! で、由美ちゃんはあくまで父親の行方が一番気になってるのであって、富江の事は二の次なんだよなあ。そんな第三者的な奴が富江と対決しても、なんか、感情移入できないと言うか……この監督、なぜ男達が富江に魅かれていくのかとか、なぜ、男が富江をバラバラにしようと言う心情になっていくのかとか、全然描写してくれない。唐突な流れでショックシーンだけ描いても全然乗れないと言うか(他にも、首傾げるシーン多し)……「怪作」と呼べる程、ぶち壊れてる訳でもないし、「ダメ映画」って言うほど際だった所もない「首傾げ映画」。父親役の菅田俊の怪演は良かったけど……今年のワースト候補やね。☆は四つ満点で二つあげとくけど。監督みずから主題から目を逸らしてどうすんだってーの。
('00・2月劇場公開)

'00・2月 メール・掲示板機能付きFAX「mojico」掲示板にて初出
'00・12/7 加筆修正

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