「御法度」(監督/大島渚 出演/松田龍平 ビートたけし)

K:どうだった?
K’:……面白かった。
K:良かったよねえ。武闘派集団・新選組に美しい若い隊士(松田)が入ってくる。で、同性愛問題が持ち上がり、隊士達はそのたった一人の若者に次々と翻弄され……と、ほとんど新選組隊内で繰り広げられるこじんまりしたお話なのだが、キャスティングの妙で最後まで飽きさせない。武田真治、浅野忠信、崔洋一、トミーズ雅(一番良かった!)、伊武雅刀、田口トモロヲ、坂上二郎、神田うのetc…… その他あっと驚くキャスト! 松田龍平君も土方歳三役のたけしも良かった。
K’:あと、チャンバラシーン――道場での木刀での稽古や勿論、剣と剣とのぶつかり合いのシーンもあり――も、迫力があって良かった。テレビの時代劇のチャンバラのようなダンドリじみた物ではなく。ガツンガツンとした、剣同士のぶつかり合い――それは感情のぶつかりあいにも繋がっていく――は、チャンバラファンの人も必見でしょう。「スターウォーズ・エピソード1」でのライトサーベルのチャンバラではこの醍醐味は味わえん。あとは……
K:ま、厳しい意見の方も言うと、やっぱり、衆道(同性愛の事)の世界をやっぱり外側から見てるって感じだよねえ。おすぎが「(大島)監督は分かってない」と言っていたが、やっぱり本物の人(ホモ)から見ると、物足りない部分はかなりあると思う。
K’:松田君がホモうけしないタイプだというのは分かる気がするよ。うふ☆ 
K:お前もそうなんかい!……でもこの映画の場合その「第三者としての目線」は決して欠点だけではなく長所にもなっていると思う。こういう世界を美化してるなとは正直思うけども。
K’:というか、「男社会」の一見、強い結束が、一人の「美少年」と言う「異形」を交える事によっていとも簡単に綻びを見せていく、そこを見せたかったんじゃないかな。同性だけに、あっけなく隙を見せてしまうと言う……男の方が実はめめしいというか、京都出身の監督が閉鎖的な空間の中のちまちました感じを描きたかったのではないかな。まあ、日本と言う国が一種の閉じた島国なんで、そういう部分も含めて表現したかったんだと思う……あと、映像的に美しいシーンが多かった。
そういう部分も含めてかなり監督は現代的な感覚の持ち主だな、と言う感じを受けた。大島監督よりも若いくせに古くさい感覚の人、いっぱいいるもんなあ。
K:そういう意味で「軽やか」な映画だよね。もちろんのびのびしていると言う、いい意味で言ってるんだけど。そこが嫌いと言う人も中にはいるかも知れない。でも本格的な時代劇という意味でも非常に良かったですよ。「ファイト・クラブ」の次くらい面白かったと言う事で……(☆☆☆☆)
('99・12月劇場公開)

'00・1月 メール・掲示板機能付きFAX「mojico」掲示板にて初出
'00・12/7 加筆修正

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