ケイ国王の映画感想文21 VOL.22

ビジターQ

「ビジターQ」(監督/三池崇史 出演/遠藤憲一 内田春菊 不二子)(ビデオでの上映)

 怪作です。ある意味、見るのはやめましょう。(じゃなぜ感想文を書く? それは……)

 登場人物を書いてみまーす。

・援助交際しようとして会って見た相手が父親だったにも関わらず、構わずエッチし(!)、金を貰った上で父親のセックス下手を毒づく家出女子高校生(不二子)

・学校ではいじめられっ子、そのはけ口を母親への暴力で解消する中学生の息子(武藤洵)

・虐待される母親(内田春菊)

・娘と分かってた上で欲望の趣くまま、近親相姦をし(しかしその後、早漏だとなじられ、いいように振り回される)、リストラからの起死回生の為(元TVキャスター)、息子のいじめ現場をビデオカメラに収め、ドキュメンタリーとして発表し、現役TVキャスターとして復帰しようとする最低の父親←主人公(遠藤憲一)

・そして主人公に××され、更に□□される同僚の女性キャスター(中原翔子)

・そんな主人公らの元に訪れる謎の訪問者Q(渡辺一志)

 そして人が死に、母乳が飛び(!)、石でどつかれ、死体は○○されるなか、崩壊した家庭は奇跡の再生を……

 ってどんな映画やねん!!
 でもまじだもんなあ〜。
 遠藤憲一のキレっぷり、最高! 今年の主演男優賞候補です(え?)。

 もうほんと、ユーモアを交えているとは言え、最初、いたたまれなくなるようなシーンの連続なんですが、とことんやり過ぎ、やり過ぎ、やり過ぎ、やり過ぎを経て、突然訪れるんですよ。カタルシスが! つっかえていたものがすーっと降りて行くんですよね。
 で、思うんですよね。「家族っていいなあ……」(おい!←自分へのツッコミ)
 でもこれを観た人、かなりスカッとしたと思いますよ。
 嫌な気持ち、嫌な気持ち、嫌な気持ち……を蓄積させて行って、突然それが解放される。すっきり! 恐るべし三池崇史監督!
 こんな物語の映画を見てスカッとするなんて見る前は思いもしませんでしたよ。今年一番のゲテモノ映画。しかし、
 「三池作品の中で一番好きかも知れない」。
 しかも、
 「三池監督って実はアクションとかよりホームドラマのが向いているのではないか?」
と思わせてしまった恐るべき映画です。
 そして「ダンサー・イン・ザ・ダーク」についで、デジタルビデオカメラを効果的に利用している作品でございました。

 この作品を3月に観ているにも関わらず(しかも上映は終っている)今頃、感想文を書いている私……なんとなく今まで書くのを躊躇ってたのが分かって頂けるでしょうか。でも一応書かないとなあ、と突然思ってしまったわけで……
 
 で、思う事……こんな映画観てたらそりゃ「ハンニバル」も生温いわな……
 
 女子高校生役の不二子がどうしても高校生の歳に見えないのを除いては、実は完璧な映画だったような……
(長さも84分でちょうどいいし)

 ほんとは☆四つあげるべきなんだろうけど、(☆☆☆1/2)にしときます。
 この映画を手放しで褒めてると、後ろ指差されそうなので……(充分褒めてるけどね)
 ちなみに18禁だったかな? 「バトロワ」以上の問題作でした。
 映画=栄養、薬だと思っている人は見ないでいいです。
 映画=麻薬、毒だと思っている人は是非どうぞ。
 人間、たまには毒喰らっとかないと、抵抗力が身につきませんしね。
 抵抗力がない人が観て、異常を訴えても関知しませんよ。
 ていうか、基本的に「ナンジャコリャ映画」なので……まじめな人はパスして下さい。
 っていうかまだビデオ出てませんけど('01 5月現在)。
 と言う事で…… 
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('01・3月劇場公開)
('01/5/15書き下ろし)