ケイ国王の映画感想文21 VOL.21

バンパイアハンターD

「バンパイアハンターD」(監督/川尻善昭 声の出演/アンドリュー・フィルポット)(アニメーション作品 英語吹き替え版・日本語字幕)

遥か遠い未来、
最終戦争で科学文明が滅んだ後、
人類の頭上に君臨した貴族、すなわち
バンパイア(吸血鬼)
は原因不明の種的衰退を迎えていたが、人間たちを脅かす存在であった。
その脅威はバンパイアに対して戦いを挑む
プロフェッショナルの<ハンター>
たちの誕生を促した。
なかでも貴族と人間の混血児
<ダンピール>
は、両方の長所を兼ね揃えていた理想の<ハンター>とされた。
しかし同時に彼らは、両方から疎んじられる孤独な存在でもあった。
そしていつしかダンピールの中でもひときわ美しい若者の名が人々に語られることとなった。
・・・・彼の名は、バンパイアハンター"D"

ストーリー〜エルバーン家の娘シャーロットがある晩屋敷の寝室から貴族マイエルリンクによって誘拐される。超A級ハンターとして辺境にその名をとどろかすハンターDともう一組の凄腕ハンター、マーカス兄妹(ボルゴフ、ノルト、カイル、レイラ、グローブ)が娘の父の依頼を受け貴族の馬車を追う。
 報奨金を賭け、Dはサイボーグ馬でマーカス兄妹は装甲車で急ぐ道中、マイエルに護衛として雇われたバルバロイの里の怪人三人衆、影使いベンゲ、変幻自在のカロリーヌ、狼男マシラが行く手を遮る。
 そしてDとレイラはさらわれた筈の娘は実はマイエルと駆け落ちした事を知る……

 原作は菊地秀行原作の人気小説「吸血鬼(ヴァンパイア)ハンター"D"」のシリーズ第三弾の「D-妖殺行」。シリーズは十幾つか出ていて、刊数だと二十数刊超えるんだよね。10年前にも一度OVA(オリジナルビデオアニメ)化されていてなかなかの人気でした。
 
 原作の大ファンなんすよねえ〜。中高校生時代読みふけりました。今も引き続き若いファンを獲得し続けている筈。菊地秀行さんの作品の中でも間違いなく代表作の中の一つだと思います。
 
 川尻善昭監督は、菊地さんの別作品「妖獣都市」をOVA化し、国内外で高い評価を受け(香港のツイ・ハークはこのOVAを見て妖獣都市の実写版を製作。香港キャストの中にあの仲代達矢まで出演している珍品)、その後も「獣兵衛忍風帖」等の傑作OVAを製作。
 前回のOVA(別の監督)の出来に不満を持っていた菊地氏の指名を受け、最初から海外市場を意識した最高の画質、音響等も気を配ったスケールの大きな作品としてこの作品を仕上げました。で、日本の劇場でも英語吹き替え、日本語字幕で公開(のちに発売されるDVDには日本語吹き替え版も収録されるそうな)。ワーナーマイカル系で特別料金1000円で(!)公開されております。ん〜、このクオリティでこの値段はお得!

ゴシックロマン&西部劇テイスト

 今年('01)だと「ザ・セル」辺りが叶えてくれる筈だったゴシック風の雰囲気溢れる、それでいて、ウェスタン風味溢れる活劇が楽しめ、その手の世界が好きな人のツボをキュンキュン押してくれます。そして、
 
・吸血鬼と人間の女性の悲恋物語
 
・吸血鬼と人間、両方の血を引く、美しきハンター"D"の苦悩

と言った感じで(原作の方もそうでしたが)、そう言う部分では、女性の方が観て、びんびん来ると思います。

 もちろんダークヒーロー"D"の活躍っぷりは女性・男性問わず楽しめると思います。原作ファンも満足な出来。吸血鬼と孤独なハンターとの闘いっぷり、原作を知らない方も文句なく楽しめます。あらすじ等を読んで面白そうだと思った人は是非……(原作の小説〜朝日ソノラマ刊〜の方もよろしく!)
 重厚な絵と計算された音響効果(ドルビー・サラウンド)とで、堂々たる劇場公開映画の風格を備えた"D"の世界。夏以降に公開されるアメリカや韓国でも大人気をはくす事でしょう……ロマン溢れる活劇を観たい方にお薦めです!
 
 あとちょっとだけ書くと、んー、原作ファンとして、しいていうならアレかなあ、天野喜孝のイメージイラスト寄りの"D"と、それ以外のキャラクターデザイン(&作画監督:箕輪豊)のサブキャラ(特に女性キャラ)が横に並んだ時にいまいちしっくりこないかなあ。ちょっとアニメアニメした女性キャラなんだよねえ。これは好みの問題かな。"D"の声はかっこ良かった。余りしゃべらない"D"のニヒルな感じ。色気のあるいい声優さんでした。日本語版は誰が担当なんだろう。気になる……

 ではそんな感じで。
 ☆の方は(☆☆☆☆)差し上げときましょう。そいでは。

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('01・5月劇場公開)
('01/5/11書き下ろし)