ケイ国王の映画感想文21 VOL.12
処刑人

「処刑人」(監督/トロイ・ダフィー 出演/ショーン・パトリック・フラナリー ノーマン・リーダス ウィレム・デフォー)

人物紹介
コナー・マクマナス(兄)(S・P・フラナリー)〜“真理”を求めて、神の啓示にしたがって悪人をブチ殺す処刑人。
マーフィー・マクマナス(弟)(N・リーダス)〜“公平”を追求し、兄と共に社会のダニを掃除する処刑人。
ポール・スメッカー(W・デフォー)〜驚異のプロファイリング能力で事件を追うFBI捜査官。女装趣味あり。

 この他兄弟の親友で、イタリアマフィアの使いっぱしりロッコ、史上最強の殺人鬼エル・ドゥーチェらが絡みつつ、見た事のない「処刑人」ワールドが繰り広げられる!

 神の啓示のもと、悪人たちを問答無用でブチ殺す「処刑人」に目覚める兄弟二人。
 事件の謎を追うFBI捜査官スメッカーは、プロファイリングを得意とする凄腕捜査官だが、倒錯した性的嗜好と、自分の才能に激しく陶酔するエキセントリックな人物である。
 ファッション雑誌の男性モデル出身のフラナリーと、若手男優のなかでもセクシーさで注目株のリーダスが演じる「処刑人兄弟」はむちゃくちゃスタイリッシュでかっこいいし、変態だが凄腕の捜査官を演じるデフォーの演技は最高である。で、役者の魅力だけの映画なのか? 「否!」
 この映画の脚本を書き、監督したT・ダフィーはバーテンダーとロックバンドの活動をしながら、「つまらない映画が多すぎるから自分で脚本を書こうと思った」と語る。その初めて書いた斬新な脚本がハリウッドの映画会社のエージェントの目に止まり、ダフィーは自らの監督で衝撃のデビューを飾ったのだ。
 バイオレンス映画界に新しい倫理を持ち込み、しかも、見た事のない撮り方のアクションシーンを次々と演出し、「ポスト・タランティーノ」の呼び名でさえも物足りないくらいのクールな作品を作り上げたダフィー監督の才能にはひたすら敬服する。
 心の中で「うわ、カッケー〜!(かっこいいの意味)」連発!
 時間軸をずらしたアクションシーンなんて、鳥肌ものである。出て来たなあ、また、スゲー人が。ってな感じ。
 しかもイデオロギーの対決と言う、奥深いテーマを活劇と言うジャンルで堂々やってのけるんだよね。神の倫理VS人間の作った法律。素晴らしい〜。
 バイオレンス濃度と不謹慎度が高いので、それが苦手な人以外で、面白い映画好きは是非! 俺的には今年のベストテン入り間違いなし! 

(☆☆☆☆)

('01/2月劇場公開)
('01/3/1書き下ろし)

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