ケイ国王の映画感想文21 VOL.16
スナッチ

「スナッチ」(監督/ガイ・リッチー 出演/ブラッド・ピット)

 デビュー作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」で抜群の映像センスを見せつけたガイ・リッチー監督の強力第2弾!

 ロンドンの暗黒街を舞台に、「86カラットの大粒ダイヤ」を巡ってワルたちがだまし合い、錯綜するスピード感抜群の犯罪アクションバイオレンスコメディ(?)。
 ちなみに前作「ロック・ストック〜」では「骨董品の二丁の猟銃」を巡って、ロンドンの間抜けなチンピラやワル共が錯綜する、スピード感抜群の犯罪アクションバイオレンスコメディ(?)と言う事で・・・

 デビュー作とやってる事は一緒!(笑)。

 共通してるのは、
・MTV感覚の今風のスピード感溢れるカット繋ぎの編集
 
・全員癖のある、それでいて憎めない登場人物。そして聖人君子は一人も出て来ない
(ちなみに女性キャラクターもほとんど出て来ない。野郎ばっかりの世界)
 
・観客が交通整理しきれるか、しきれないくらいの大勢の登場人物が、複雑にからみ合うストーリーの構成
(しかしそれは個性の強いキャラ同士の絡み合いを見せるのが主であるので、高尚なストーリーを語ろうとか、謎解きを楽しんでくれと言った類いの物ではない。より面白い方、よりおバカな方にお話は進んで行く・・・笑)

 他にも、「何故か、登場人物全員にあだ名が付いている」とか、「やりすぎで笑っちゃうバイオレンス描写」とかいろいろあるが、いずれにしろ、タランティーノ以降に現われた世代で、様々な影響を受けた若手監督の中でも、かなりのセンスの持ち主だと言う評価をデビュー作を撮った時に色々な批評家や映画ファンに言われた人である。
 そして「ロック・ストック〜」にすっかり惚れ込んだ歌手のマドンナは今では監督の奥さんである・・・うらやましい・・・
 
 で、待望の第二作「スナッチ」なのだが、「進歩がないよ、お前!」、「前作程の新鮮さには欠ける」、「製作費が増えた癖に逆にスケールダウンしてねえか?」、「底が割れた」、「新婚ボケ」など散々な言われようである(すいません、一部作りました。笑)。
 もちろん「面白かった!」って評もちゃんとあるのだが、「前作にくらべると劣るが・・・」と留保を付けたものが多い。

 さてさて、そんな所も踏まえて、僕の感想なのだが・・・
 まず、結論から。
 「面白い! とりあえず面白い映画を見たい人は見とけ!」である(偉そうダナ・・・笑)。そしてもう一言。
 「やっぱり『ロック・ストック〜』よりは少しだけ面白くない・・・」
である。ほんの少しだけ・・・
 で、その理由も私なりに分析したでござるよ。ポイントだけ言いましょう。
1.大勢の個性の強いキャラ、魅力のあるキャラが、出て来ては途中退場していくのだが、その中でもそんなに魅力的でない人物が最後まで残ってしまう(あ〜なんてこったい・・・)
2.で、途中退場する魅力のあるキャラ達が、印象深い登場の仕方をしたり、かなりの活躍を見せてくれるのだが、何故か退場する時はあっさりし過ぎている。見せ場なく退場とか・・・(「死と言う形でのみの退場」ではないので、あしからず)。
3.お笑いの世界では同じギャグを反復して繰り返す事を「テンドン」と言うのだが、テンドンの使い方を一ケ所だけアヤった・・・(アヤった〜僕が個人的に良く使う言葉。間違ったの意→じゃあ、そう書けや!)どこがアヤったと思ったかは言わない。でも重要なポイントだと思う。ちょっと安易だったのでは・・・あれを×××で安易に使われると余韻に欠けるじゃんか〜。
 
 以上ポイントでございました。
 ブラピはイギリスの物凄く地方訛りのひどいキャンプ用トレーラーのディーラー役。そして凄腕のベアナックル(素手)・ファイターである。めちゃめちゃかっこいい。
 それからベニチオ・デル・トロもカッコ良かった(アカデミー助演男優賞おめでとう!→受賞作品「トラフィック」今年春以降公開)。その他にも魅力的なキャラクターが続々登場。そんな役者同士のコラボレーションを見るだけでも物凄く楽しい。
 そしてオープニングのカッコ良さは必見! 「鮫肌〜」、「PARTY7」の石井監督が目指そうとして足下にも届かないような、スピード感プラスカッティングのセンスの良さ!(ごめんよ石井監督。「鮫肌〜」は面白かったが、「PARTY7」の勘違いぶりが余りにも酷くって・・・同じ映像派と言われている監督なので、あえて引き合いに出させて頂きました)
 
 引き出しが少ないと言われようと、自分の好きな世界を貫いて行けば良い(←もちろんガイ・リッチー監督の方ね)。
 三作目・・・どんなんだろう? 楽しみでやんす。
 ☆四つ・・・付けちゃおう! えいっ!

(☆☆☆☆)

('01・3月劇場公開)
('01/3/27書き下ろし)

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