ケイ国王の映画感想文21 VOL.6
BRUCE LEE in G.O.D 死亡的遊戯

BRUCE LEE in G.O.D 死亡的遊戯」(監督/大串利一 出演/ブルース・リー ダン・イノサント)

 ブルース・リーが32歳の短い生涯を終える直前に、クライマックスの一部のシーンだけ撮り終えていた幻の映画、「死亡的遊戯」(「死亡遊戯」は正式な原題ではなかった)。
 リーの死後、「燃えよドラゴン」のロバート・クローズ監督がそのフィルムを再編集し、リーのそっくりさんを使って「ブルース・リー 死亡遊戯」と言う題名で完成させるが、しかしそのクライマックス・シーンは、リーが撮り終えている120分あまりのフィルムの中のごく一部に過ぎなかった(10数分程度)。
 残りの未公開フィルムには当初リーが構想していた究極のマーシャルアーツ・ムービーの断片としての、圧倒的なクオリティを誇る格闘シーンが収められていた。
 以前よりファンの間ではその存在だけを知られ、長らく公開を待ち望まれていた究極の未公開フィルム……
 その幻のフィルムをついに(!)、リーが残した直筆の編集メモの断片から、当初のリーの構想に近付けた形で、再構築をし、「新作として!」劇場公開する事になったのだ!
 そして、リーの死後30年の年月を経て堂々と蘇った、
 「死亡的遊戯(G.O.D=GAME OF DEATH)」!
 誰も見た事のないブルース・リー!
 30年ぶりに解禁されたその映像に映る彼(リー)はまさしく「GOD」=戦いの神、そのものであった!

 か、かっこええ〜〜〜。むちゃくちゃかっこええ〜〜。もう最高っす!
 映画前半はそっくりさんを使った再現フィルム。リーが「死亡的遊戯」を製作する過程が描かれる。世界のスーパースターになる事を公言し、その夢に向かって突き進むリーの希望と孤独、そして苦難。東洋人である彼がハリウッドで成功する事自体、当時は誰も予想だにしなかった事だった。それが、初めてのハリウッド映画「燃えよドラゴン」の爆発的大ヒットで叶えられた時、既に彼はこの世の人ではなかった。その彼が「燃えよドラゴン」の撮影で渡米前に、香港で直前ギリギリまで編集を手掛けていた「死亡的遊戯」の格闘シーン。映画の後半はその彼の構想メモに沿って、ほぼ忠実に再編集された40数分の未公開の激闘シーンとなっている。

 ブルース・リーは人の名前ではない。神の名前だ! 圧倒的なかっこよさ! 
 そしてつぎつぎと明らかになる真の展開。「死亡遊戯」では一人で五重の塔を登って行くリーだが、実は仲間と3人で上がって行くと言う展開だった! そして各界の格闘家との濃密なセリフのやり取り。そこではリーの格闘哲学が直接的に語られている。素晴らしい! そして息詰まる格闘シーン! 二階のヌンチャクの達人、ダン・イノサントとの壮絶なヌンチャク合戦! そして三階の空手家チ・ハンサイの闘いの最中も残り二人の仲間が先に上の階段を登って最上階の男・巨大な黒人ジャバールに返り討ちをくらったりとか、「死亡遊戯」ではまったく描かれなかったシークエンスが描かれる。そしてジャバール対リーの闘いの中で明らかになるジャバールの正体とか(びっくりしますぜ!)……グラサン落としたジャバールの横山やっさんばりの「メガネ、メガネ」(笑)……もうほんとお腹いっぱいである。最高!
 どんなVFXやワイヤーワークを凝らした最新の映画を見るよりも圧倒的な興奮を味わえる。全ての男性諸君、そしてもちろん女性も見るべき映画だ! 伝説や神話の世界に入り込める究極の映画、それがこのBRUCE LEE in G.O.D 死亡的遊戯」。
すんばらしいっっス! 見て良かった〜〜!(☆☆☆☆)
('00/12月劇場公開)
('01/1/29書き下ろし)

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