ケイ国王の映画感想文21 VOL.41

ピストルオペラ

「ピストルオペラ」(監督/鈴木清順 出演/江角マキコ 山口小夜子 永瀬正敏)

あらすじ〜「・・・アタシのオトコ」と拳銃を愛する殺し屋ナンバー3、通称“野良猫”皆月美有樹(江角マキコ)は、謎の殺し屋組織“ギルド”のエージェントである上京(山口小夜子)から連絡を受ける。現在の殺し屋ランキングのナンバー1である殺し屋“百眼”を殺せと言うのだ。しかし、誰も“百眼”の顔を知らない。姿を見せない“百眼”に追いつめられていく皆月。決闘の時は迫っていた。そして、その場所は、世界恐怖博覧会…。

 2001年一番スタイリッシュだった映画だと思う

 
「極彩色のフィルムノワール」と言うキャッチコピーはダテじゃない。
 死とエロスが冷たく、そして朝の木漏れ日のように立ち込める美しい映像。
 スタンダードサイズにカチッと切り取られた画面の中で妖しげに、優雅に、そしてケレン味たっぷりに動き回る登場人物達。
 アートであり、そして間違いなくエンタティメントである。そして古臭さをまったく感じないのが凄い。これが清順ワールドか!と思った。いやはや堪能しました。
 一番好きなのは車椅子の殺し屋と江角との戦いのシーン。美しい、そしてカッコ良かった。あそこのシーンだけ何度も見たいくらい。とても気に入っています。
 
 和服にブーツの殺し屋に扮する江角マキコはそのたどたどしいセリフ回しも含めて面白い存在感がある。長所は立ち振る舞いが美しい事。立ち姿に華がある。わて的には悪くないと思った。
 そしてこの物語のキーを握っている殺し屋の元締めの上京役の山口小夜子! この人も江角と同じくモデル出身だが、この人がなんと言うか素晴らしい。結構若い人だと思うのだが圧倒的な存在感! 妖しげな美しい元締め役は正に適役だと思う。この映画で初めて知ったが他の作品も見てみたいと思った。
 が、一番度胆を抜かれたのは謎の少女役、韓英恵ちゃん! まさか11歳の彼女がこの作品のエロスの部分をほぼ独りで請け負ってるとは見る前には思いもしなかった。どんなシーンかは見てのお楽しみとして、この歳でこの色気か!とちょっと心配。心配してどうするって感じだが。

 なんちゅうか、結構、見てる方が脱力するような演出とか(外国人の殺し屋との戦いのシーンね。あれは意図的にコミカルに演出してるようだが)、「間」が部分的に「おじいちゃんの『間』」だったり(ゆったりとした、と言うか……)、色々ありますが、つじつま合わせを恐れない奔放な物語展開だったり、人を喰ったラストシーン(鈴木清順だから許されるんじゃない?)なんかを見る限り、「肩の力が抜けてるけど、さりげなくとんでもない事をやるなあ〜。そして無茶苦茶、感覚が新しいじゃん! じじい恐るべし!」て感じですね。ただラストら辺の白塗りの山海塾みたいな奴? あれはアバンギャルドと言うよりは「変と言う事を表現するのに今更、暗黒舞踊?」みたいな。あれだけはあざといと言うか古臭さを感じましたね。 それ以外はほんと素晴らしい。美術学校に通ってる人とか見るといいんじゃないでしょうかね。なんちゅうか感覚で見れる映画。非常に面白かったですね。ただ見る人によっては「はあ?」って言う人もいるでしょうね。まあそれは好き好きと言う事で。
(☆☆☆☆)ですね。是非皆さんも妖しい清順ワールドに浸ってみて下さい、ではでは。


('01・10月劇場公開)
('02/2/9 書き下ろし)

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