ケイ国王の映画感想文21 VOL.23

ケイ君のビデオ観賞記21その九(「ナインスゲート」)

「ナインスゲート」(監督/ロマン・ポランスキー 出演/ジョニー・デップ)

あらすじ〜古書鑑定人として世界でも有数の優れた鑑識眼を持つ、やり手のブック・ハンターのコルソ(ジョニー・デップ)は古書コレクターの出版社社長・バルカンから、世界に3冊しかない悪魔召還の書「ナインスゲート」を探し出す依頼を引き受ける。1冊はバルカンが所持しており,あと2冊の真贋を確かめるというものだ。
 巨額の依頼金を提示されこの依頼を受けたコルソだったが、その日から彼の身辺には不気味な出来事が起こり始める。次々と起こる殺人。コルソの行く先々に現れる謎の女(エマニュエル・セイナー)。そして悪魔の書「ナインスゲート」に隠された謎とは……

 面白かったです! ホラー的な要素は皆無に近い。オカルトタッチの入ったハードボイルドミステリーってな感じでしょうか。超常現象を扱いながらも、今時のSFXとかをほとんど使わず、本の手がかりを探しながらヨーロッパ巡りをする、“本の探偵”コルソ君の活躍を描いたこの作品は、もしTVの2時間ドラマなら、

「古書探偵コルソのオカルト事件簿・ナインスゲート殺人事件・3冊の悪魔の書に隠された秘密とは!」

ってタイトルで新聞のテレビ欄に書かれるような、そんな雰囲気の作品です(え? ちょっと違う? 笑)。
 
 もの凄く見やすくて、取っ付きやすい。今風の軽いタッチの演出。ポランスキー監督ってもう巨匠の域に達すると思うんだけど、それを余り感じさせないサクサクッとした演出だったのがちょっと意外でした。もちろんこれ、いい意味で言ってますので……

 で、あらすじを読んで思った人も多いと思うけど、なんかTVゲームのアドベンチャーゲームみたいな物語なんだよね(たぶんそれって、ジャスミンの花の匂いを初めて嗅いだ今時の子供が「この匂い、トイレの(芳香剤の)匂いみたい〜」って言ってるみたいな、本末転倒な感想だと思うんだけど)。
 タイトルバックもいきなり九つのゲートをくぐり抜けるCGから始まるし、まるでプレステのゲームが始まるのかと思っちゃいました。そう言う意味でも非常に面白く見られたって感じかな〜。

 役者陣、ジョニー・デップが、抜け目なく汚い手も厭わないやり手の古書ハンターながら、メガネを壊してうろたえたりとか、とぼけた役づくりをしていて、ああ、やっぱりこの人、旨いなと思いましたね。
 あと、謎の女役のエマニュエル・セイナー、実は監督の実の嫁さん(!)で、ちょっと「ケッ!」と思ってしまうけど(笑)、監督が惚れるのも納得が行くような謎めいたそれでいてかわいらしい女優さんでした。監督と幾つ歳、離れてるんだろう……

 最後、ある人が結構お間抜けに死んで行くのと、結局幾つかの謎を残して終って行くので、少し釈然としない部分もあるんですが、非常に楽しめる作品でした。
 星評価は(☆☆☆1/2)。最後まで中弛みせず、楽しめました。オカルト好き、ジョニー・デップ好きは是非……

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('00・5月劇場公開)
('01/5/23書き下ろし)