ケイ国王の映画感想文21 VOL.45

GO

「GO」(監督/行定勲 出演/窪塚洋介 柴咲コウ 大竹しのぶ 山崎努)

 広い世界を見るのだ。「GO」を見るのだ
 
 
力強い映画だ。そしてスピーディー。
 言いたい事がはっきりしている。役者陣が素晴らしい。今っぽい。笑える。泣ける。スカッとする。
 面白い。かっこいい。ポジティブ。重いテーマ。軽い語り口。楽しい。せつない。熱い。見応えがある。何度も見て楽しめる。
 それから……何か言い忘れた事はないだろうか。

 これは良いドラマの基本だと思うのだが、登場人物全員が、弱い部分と強さを合わせ持った存在として描かれている。血の通った人間達。出て来る人全員がチャーミングだ
 脚本の宮藤官九郎はセリフ回しのうまさや今っぽさ、キャラ設定の奇抜さ等で評価されている人だと思うのだが、その根幹の部分、血の通った人間を描けると言う所がやっぱり素晴らしいと思う。物語にもちゃんといっぽん筋を通して来る。原作付きの脚本とは言え、非常に良い仕事をしたと思う。テレビドラマにコントの脚本にと売れっ子の彼だが、器用な人だけに逆に力を分散せずに、一本一本を大切に良い作品を作って言って貰いたいなと思う。映画の方もまたなんか書いてね。

 行定監督、今時の若手監督が雰囲気に流れたひょろひょろとした閉じた映画を作りがちな中、こう言った骨太で力強い、開放的なエンターティメント作品を撮れる事を証明し、大いに株を上げたと思う。
 この人は自分自身の作家性を全面に打ち出した作品よりも、こう言う持ち込まれた企画の方が力を発揮出来る人なのかも知れない。次回作が非常に楽しみな監督さんである。
 
 主演の窪塚君は逆にこの作品以上のハマり役が来るのか(原作とはイメージが違うらしいが)逆に心配なくらい良かったし、柴咲コウはこう言う普通に可愛い役を演じたのは今後の貴重な財産になるだろう。「バトル・ロワイアル」のああ言う役も良いけどもね。山崎努も大竹しのぶも非常に良かったし、山本太郎君はいつまでもああ言う高校生役を演じていて欲しい(笑。本人もう20代中盤だけどね)。
 
 で、この映画、在日と言うテーマだったり、自分探しの物語だったり、恋愛ものだったり、親子の対決だったり、色々な角度で観られる映画だと思うのだが、わてが個人的にググッと来たのは、主人公が親友と認める正一君(細山田降人)とのエピソードなんだが……いや、あのね、こう言う男の友情ものって弱いんだよね。泣いた泣いた。あきまへんわ。劇場で号泣。良かった知り合いと見に行かなくて。いやあネタバレになるんで詳しく言えないけどね。恋愛ものとしてももちろんいいんだけど、さりげなくちりばめられたこう言うエピソードに弱いワタシ……

 この作品もビデオ・DVD出たら、永久保存版ですわ。是非みなさんに見て貰いたい作品。去年わてが見た劇場公開映画の中の超一位級の作品の中の一つ。面白い映画を見たい人は是非。

 でわでわ〜。評価は文句無しの(☆☆☆☆☆)。

('01・10月劇場公開)
('02/3/10 書き下ろし)

>BACK