ケイ国王の映画感想文21 VOL.10
クリムゾン・リバー

「クリムゾン・リバー」(監督/マチュー・カソヴィッツ 出演/ジャン・レノ ヴァンサン・カッセル)

 雪のアルプスを舞台に、猟奇殺人の謎を追う刑事二人(J・レノ、V・カッセル)。事件の恐るべき真実とは?
 とりあえず死体のクローズアップから始まると言う「いかにも猟奇殺人物」なオープニング。オーソドックスな始まり方は逆に大外れにはならないだろうと言う安心感を見てる側に抱かせる(俺はこの手の物を見過ぎなのか?)。
 とりあえず「山を舞台にした刑事アクション物」というだけで個人的には結構ツボなので、どことなくチープな地味さ加減、刑事物の定番のキャラ設定の二人の地道な捜査のシーンも含め、それなりに前半、楽しんではいたのだ。
 が、物語が進み、犯人像があきらかになるにつれ、その手垢の付いた犯人の人物設定や、意外性のなさや、実は××だった、といういかにもパターンなオチだったりとか、犯人が主人公二人に対抗するには役不足だったりとかするのを見て……なんか寂しくなってしまった。
 クライマックスもあっさりしたもので、淡白だな〜と思いながら見てました。
 「土曜ワイド劇場」チックやな〜(なんとなくね)。
 良くも悪くもフレンチな感じ。さっぱりしてました。
 とりあえず監督はハリウッド映画とTV好きの若い監督であるな、と。普通に良く出来てた見やすい映画でした。最初からそう言う映画を見るつもりで行ったのでそれはそれで良いのですが。
 最初から70点くらいの映画に違いないと思って、まさしくそれくらいの映画でした。「山を舞台にした刑事物」を見たいと言う希望は叶えられたので、それなりに満足はしております(でもちょっと不満は残る)。
 主人公たちの人物像に迫って行く訳でもなく、あくまでも二人は「事件を捜査する刑事」に過ぎないので、そんな彼らに激しく感情移入すると言う感じでもなく、のんびりとした感じで見てました。そう言うのも「たまには悪くない」かも。
 
 フランスってどう考えても平和な国に違いないと思いました。と思っちまうのは、普段刺激の強い映画を見過ぎてるせいだろうな。監督はとりあえず、黒澤清の「蛇の道」でも見て出直して来て欲しい。ま、水準作ではあるのだろうけど、わし的には物足りなかった。好きな雰囲気ではあったけど、ね。
 「魂を揺るがすような熱さ」か、「心臓も凍るようなヒリヒリした冷たさ」どちらかがないと。ま、個人的意見ではありますが。
 逆に言うと癖がない分、誰にでも楽しめる。手作りな感じは好きでした。こじんまりとした刑事アクション物を楽しみたい方に……(☆☆☆)

('01/1月劇場公開)
('01/2/8書き下ろし)

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