ケイ国王の映画感想文21 VOL.19

ケイ君のビデオ観賞記21その八(「クラークス」)

「クラークス」(監督/ケヴィン・スミス 出演/ブライアン・オバロラン ジェフ・アンダーソン)

 1994年カンヌ国際映画祭 ヤングシネマ賞受賞
 1994年サンダンス・フィルム・フェスティバル ドラマ部門フィルムメーカー賞受賞
 1994年ドーヴィル国際映画祭 観客賞受賞

 
「チェイシング・エイミー」、「ドグマ」のケヴィン・スミス監督のデビュー作。
 
 ニュージャージーの田舎町のコンビニを舞台に、主人公のコンビニ店員の「ある特別な一日」を描いたモノクロ93分の作品。ジャンルはコメディが適当だと思われます。
 
 映画学校を卒業したスミスが、映画学校時代の仲間と共に、自分の働くコンビニの閉店後の時間を利用して、撮影、編集したこの作品(余談〜劇中、壊れて開かないコンビニのシャッターの設定は、閉店後の撮影なのをカバーする為に作った苦肉の策)はサンダンス映画祭を含めたインディペンデント系の映画祭で、審査員と観客の熱狂的な支持を受け、様々な賞を受賞。’94年の米での劇場公開時も若い観客の口コミでスマッシュヒット。ロングランヒットを記録し、夢見る映画青年だったケヴィン・スミス監督は今ではベン・アフレック&マット・デイモンの人気者二人を起用して全米公開された「ドグマ」を撮るまでに成長している。
 
 で、見終った後の感想。
 
 「『クラークス』はそのケヴィン・スミスの才能が凝縮された原石のような、目にもまばゆい最高のデビュー作品である! その輝きは数年後経った今見ても色褪せる事はない!」

 とぼけた間と魅力的なキャラクター、短いエピソードの積み重ねで最後まで飽きさせない。’94年の映画だが最近ようやく日本で劇場公開され、ビデオも最近になってようやく発売。で、今回やっと観賞する事が出来たので、「満を持して」と言う形で観賞させて頂いたのですが……いやはや、めちゃくちゃ面白かったです! そしていい青春映画だと思います。モノクロの映像も実にいい感じ。実に僕好みの作品でした。んむ。

 ・スケッチ風に描かれた店員と客の抱腹絶倒のやりとり

 ・今時の若者の立ち話を盗み見してるような、隣のビデオ屋店員と主人公の、徹底的におバカで、しかし、しがない今の状態にふと思いを馳せる主人公達の心情がにじみ出てくる生きたセリフの数々。

 ・別れた恋人と今の恋人との間で揺れ動く監督自身の経験が垣間見えるような、恋愛話のエピソード

 ・監督自身が演じるキャラクター、「サイレント・ボブ」の馬鹿話(「サイレント・ボブ」はその後の作品、「モールラッツ」、「チェイシング・エイミー」、「ドグマ」と監督の今までの全作品に登場。ファンには絶大な人気)。 
 たとえば……「スターウォーズ」オタクのボブが、「スターウォーズ」の1(つまりエピソード4ね。ややこしい)のラストで帝国軍のデス・スターが破壊されるのは納得行くが、「ジェダイの復讐」(エピソード6)で建設途中の新デス・スターが破壊されるのは納得いかない、と言い出す。
 なぜならロボットに複雑な建設工事は出来ないだろうから、多数の民間の作業員が当時デス・スターの建設現場にいた筈。その罪のない現場の兄ちゃん達が戦いの巻き添えを食うのは納得が行かない……と自説を展開させる「サイレント・ボブ」……最高!
 
 全編そんなノリが爆発しています! この感覚を共有したい人は是非観賞の方を! お薦めです。

(☆☆☆☆)


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('00・8月劇場公開)
('01/4/26書き下ろし)