「ブルワ−ス」(監督・主演/ウォーレン・ベイティ)

 人の紹介で見ました。アメリカの上院議員選挙戦に出馬中の現役の議員ブルワース(ベィティ)。徹夜続き、ご飯も喉を通らない選挙戦の大詰めで、突然何かがブルワースの中で弾ける。だらだらしたやる気のない、スポンサーのご機嫌伺いの「どこにでもいる代議士」だったのだが、ほとほといろんなものに「うんざりしてしまった」。いわゆる選挙に受かるための耳障りのいい綺麗事を言うのはもうやめだ! 次の日からまるで、ビートたけしか、内田裕也を彷彿とさせるような、超本音、超毒舌の政治家に生まれ変わる! アゼンとする参謀達! しかもブルワースは自分の死んだような毎日を変えるため、ある仕掛けを自分に仕掛けていた。ブルワースの本音トークはユダヤ系アメリカ人、黒人と言ったいわゆる弱者とされてる人にも容赦ない。「弱者の立場を利用して不当に受けている恩恵。または、受けている差別を逆利用して新たに得た権力を、不当に利用するやり方」をとぼけた表情でばんばん非難するブルワース。いわゆるウーマンリブにも辛辣だ(かなり強烈な内容)。選挙演説は全部ラップで(60歳過ぎたベイティがラッパーの恰好してやるんですわラップを)。今までまったく目立たない存在だったブルワースは、一躍人気者に。そして……これ、ウォーレン・ベイティ自身が企画、製作、企画、脚本、監督、主演、全部やってるんですわ。すごいパワフルだよなあ。そして、若い! 普通これくらいの大スターでベテランで地位も名誉もあれば、もう落ち着いてもいい頃でしょ? それをこんな政治的にもきわどい題材でしかも面白い映画を作ってみせる。素晴らしいですわ。ハリウッド批判も入ってたんで、アカデミー作品賞にはノミネートされなかったけど、それ以外の色々な批評家の選ぶ作品賞を色々と貰ってる作品。ラディカルだなあ〜。お勧め!(☆☆☆☆)
('99・6月劇場公開)→ビデオでの観賞

'00・4月 メール・掲示板機能付きFAX「mojico」掲示板にて初出
'00・12/7 加筆修正

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