「シックス・センス」(監督/M・ナイト・シャマラン 出演/ブルース・ウィリス)

 見て参りました。いい映画でした。ただ、聞いて下さい(大した話じゃないけど)。この映画、ドンデン返しがあるじゃないですか(結末に触れるつもりはないので見てない人ご安心を)。そのシーンに差し掛かった時、隣りに座っていたカップルの男が、思わず「※※※※※※※」←(ドンデン返しの内容)を口に出してつぶやきやがった(驚いて思わず口にしたんだと思う)。僕がそのドンデン返しに気がつく0.5秒前。
俺「(キョトーン)……」。
《驚く前に内容を言われた――このアホカップルの男の口で! 監督がお前にナレーション頼んだんか! 俺は映像を見てショックを味わいたかったのに!》 
 男の胸倉を掴み往復びんたを百回かまし(勿論、頭の想像の中で)、劇場を出た。同情してくれ!(見た人ならこの悲劇わかるよね) だから、この映画のドンデン返しをもし普通に見てたら、凄く驚いたのか、感心はしたけどそうでもなかったのか、未だに判断が付かない……凄い丁寧に作ったいい映画なんですよ。きめ細やかな演出で、大きなハッタリやこけおどしのCG等をほとんど使う事なく、じわじわと観客をラストまで引っ張っていく。子役の子、上手いね! ブルース・ウィリスもいつになく落ち着いた物腰で大人の演技を見せてくれる。やっぱりあの物語を考えついた作者は凄いと思うし(小説では使えない手法である)、この設定から、普通のホラーと思わせて(普通のホラーが悪いと言ってる訳じゃないよ)、人間ドラマに持っていった所も凄い。最近ハリウッド製でじわじわとした演出の映画ってなかったよね(ガーッとした映画は多かったけど→もちろんそれが悪いって言ってる訳でもない)、長編二本目くらいのこのインド国籍の新人監督の手腕には驚きを隠せない。実は泣かせるシーンが二カ所くらいあって(びっくりした? 泣ける映画だぜこの映画)、僕個人としては(ちょっときつい言い方だが)泣かせる為だけのシーン・演出かなと思ってしまった部分もある(少数意見かな?)。しかし、そういう部分を補って余りある素晴らしい映画の構造と演出……今年必見の映画の中の一本と言って置きましょう。それだけに、全ての演出がラストのドンデン返しに集約していくと言うあの構造だけに……あのカップルの男のアホ! 吠える男Kでした。(いつもの☆評価は今回は保留で……)
('99・10月劇場公開)

'99・11月 メール・掲示板機能付きFAX「mojico」掲示板にて初出
'00・12/7 加筆修正

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