「MI:-2」(監督/ジョン・ウー 出演/トム・クルーズ)

 「ミッション・インポッシブル2」こと「MI:-2」、面白かった!  いわゆるリアルさよりもエモーショナルなシーンと画(え)になるシーンを優先するハリウッドエンタティメントの王道を行く作品です。本来隠密行動、もしくは地味な活動を行なう筈のスパイが「派手な大活躍」をする時点で「荒唐無稽」な訳ですから、こういった「スパイアクション物」は開き直って派手に無茶苦茶やるべきなんです。そう言う意味では「スパイ大作戦」の正しいリメイクですね。あっと驚く展開、そんなアホな! と何回客にツッコませるか、みたいなそう言う部分が正しいスパイアクション物ではないかと思う。監督ジョン・ウー(「男たちの挽歌」「フェイス・オフ」)はそう言う意味でまさにうってつけの人材かも知れない。
 ジョン・ウー節も爆発してました(「横っ飛び撃ち」、「二丁拳銃」、「スローモーション」、「鳩」「ダンスシーンへのこだわり」)。また、ギリシャ神話をモチーフにするのもこの人の特徴です。
 今回ウーは単なるスパイ物にせず、男女の愛憎、ラブストーリーを中心に織り込むと言う手法を採った。ある女性を巡って男と男が感情のぶつけ合うという、闘いのモチベーションを正義とか使命とかにせず、男と女の愛情のもつれ、人間臭い感情を爆発させて闘うという所に最終的には持っていく。ジョン・ウーの真骨頂ですね。だから、荒唐無稽な内容でも観客が入り込んでいける。そう言う意味で僕は「1」より「2」のが好きですね。非常に良く出来た映画だと思う。
 CGに頼らない姿勢も素晴らしい! 本物の血の通った、それでいて画的な派手さ、美しさ、楽しさを優先させたアクションシーン。トム・クルーズ頑張ってました。で、やっぱりこの人、かっこいい! 格闘シーンも殆ど吹き替えなしでやってたんですが、ここでワンポイントチェック! この映画トム・クルーズのほれぼれするタックルが見れます。ヒクソン・グレイシーもびっくり。トムさんが学生時代はレスリングをやっていたのは一部では有名。素晴らしいレスリングタックル! 格闘技ファンはその辺チェックしてみてね(そんなふうにこの映画を見てるのは俺だけか)。全体的にも新日本プロレスJrヘビー級の試合を彷彿させるような「魅せる格闘シーン」になってます。要チェック!
 先程も書きましたがトム・クルーズと女泥棒(タンディ・ニュートン〜「シャンドライの恋」に出てた人……「シャンドライの恋」見てないけど)のラブストーリーは女性受けするでしょう。俺もトムに抱かれたいと思ったもん(なんでやねん)。あと、アンソニー・ホプキンス(「羊たちの沈黙」レクター博士役でおなじみ)もカメオ出演(余談ですが「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」は、どんな出来上がりになるんだろう。楽しみ)。トムさんをもりたてております。この映画の製作者でもあるトム・クルーズはこのシリーズ、毎回監督を変えて継続させたいようですね。今度は誰に監督させるんだろう? ま、それも楽しみであります。
 ジョン・ウーの次回作も楽しみですね。こんどは盟友チョウ・ユンファと組んで「キングの身代金」(黒沢明の「天国と地獄」の原作。と言うことは映画としては「天国と地獄」のリメイクになるわけだ)をやるとの事。どんな感じになるんだろう。期待と不安両方あり。と言う事で……(☆☆☆1/2)
('00・7月劇場公開)

'00・7月 メール・掲示板機能付きFAX「mojico」掲示板にて初出
'00・12/7 加筆修正

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