「野生の夜に」(監督・出演/シリル・コラール 出演/ロマーヌ・ポーランジェ)

 AIDSの合併症で亡くなったコラール自身が監督・出演した遺作。当時の各賞を総なめにした作品。
 バイセクシャルでHIV感染者のカメラマンの主人公(コラール)がある日写真モデルの女性であるローラ(ロマーヌ)に激しく恋をし、自分がHIV感染者だと言い出せぬまま、体を重ねてしまう・・・
 同じフランス映画の「ベティ・ブルー」を思い出す。激しい恋愛に呑み込まれ、心のバランスを崩し壊れて行く女性を演じるロマーヌの存在感! そして死と言う逃れられない運命を自覚しそれでも生きて行くしかないと言う結論に達する主人公=コラールの姿には心を打たれる。人間は病気になってなくても、いつ死ぬか分からない。自分の死が目の前に見えた時、自分はどう言う行動をするのであろうか・・・
 闘病記ではなく、恋愛物だったのが良かった。それにしてもフランス映画にこのようなパワフルな破滅型恋愛映画の傑作が多いのは、なぜだろうか?

 この作品を薦めてくれたのは仲谷かおりさんである。ありがとう!(☆☆☆☆)

('99・2月劇場公開)→00'12月ビデオでの観賞

'00・12/24 書き下ろし

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