素晴らしいレーシングフォーミュラの世界にようこそ

乗り手から見る、景色とその思い

もう30年にも前の話ですが(今は、50才)当時、大学生だった兄と、

私は、プラモデルが好きでよく作りました、というより、よく作ってもらいました。

飛行機から始まり、船も戦車もやりましたが、兄が作るそばから遊んで壊す、ハカイダー

でした。  

三つ子の魂100までと言いますが当時も今も、兄は作る、直す、工夫する(設計)の

道に進み私はと言えば、寝る、遊ぶ、食うが基本で最後に、走る(エンジン付です!)

にのめりこみました。  

きっかけはプラモデルですが、すぐに兄は手を加えてワークスセリカRやカローラレース

仕様を作り(本当によく出来ていた)やがて武蔵小杉(東横線)にサーキットが出来ると

かよいはじめすぐにフォーミュラの美しさを理解し?今度は雑誌でみる実車のさらなる

神々しさに絶句し、われら兄弟はここで天命を知るのです・・・・・後は多少の曲折、

脱線、悪乗りを経て、実車版フォーミュラの創作に突き進むのであります。

   

あふれる両親の愛情(放任とも言う)は別にして、資金集めはそれなりに働きました、

ここが兄のすごい所、夢を形にするためにバイトにあけくれた10代だったと思います。

あとはねてもさめてもフォーミュラカー一辺倒、子供部屋にフレームが置かれスリック

が積まれ、アルミ板、パイプ、製図版・・・・寝るところはすぐになくなりました。当時

私はよく一人感慨にふけっていました、こんな部品やら、あんな部品やらがどう

やって車になるのか、どうつながるのかわからないのです(実は今でもわからない!!)

たくさんのひとの力は兄に働きましたが、実質的にすべてを兄はひとりで考え、作り、

そしてそれは有る日突然地面に降りました、その日その時ビーナス誕生のように車が

完成し、スタンドが外されたときの感動は言葉では言い表せないほどの感情でした。

多分兄が思っている事と必ずしも同じではない事、こんなほんもののレーシングカー

(当時私の就職先はベルコレーシングでレーサーは見慣れていますしかしそれは置物として

見慣れているだけで、自分が乗って走るなどとても想像しにくい別物です)本当に自分に

乗れるのかいな!というのが本音です。

車の完成に酔う時間はなく、初レースは以外に早くやってきました、そうです翌日の土曜日、

初めての筑波です(コースは見たことがあるが、パドックははじめて!)まだだれもいない

筑波の早朝パドックに止めた愛車の姿は、またまた感動ものでした(サーキットには

フェラーリロールスも似合わない!、純粋なレーサーのためにある場所だと思うのです)。

はじめての筑波、はじめてのフォーミュラ、はじめての右シフト・・・・明日はレース・・・・

30年前のことですから、おぼえていないと思うでしょう? 

 ところがそうではないのです忘れられないのです、その直進性、操作、風、感触、自分

との対話・・・・その強いインパクトは、自分自身が、弾丸になって風を切り分けている

ような感覚です。

そしてレース当日・・・・とても低い視点、分度器のような形をした視界です、底辺は地面

そのものが1コーナーに向かって黒々と連なり、ひだりはスタンド、右はピット高い空の

ひろがりに、おもわずさらに上空を見上げる開放感とあこがれのレーサーに取り囲まれる

この不安感、自分との対話、すこし遠くて、かたいクラッチペダル、

足をつらしてなるものかとけいれんぎみになりながら得意のスタートした、したつもりだった

のだが、高鳴るエンジン音動かない車、そうですシフト入れ忘れの大失敗をしてしまいました。

後はきゅうに冷静さをとりもどし走り出すのですが、なにせ何も知らない赤ちゃんレーサー

その動き、加速、爆音、コーナー速度に見るもめずらしおのぼりさん状態です、結果は

聞かないでくださいまし! 

レーシングカーのドライビングに関する考察

フォーミュラカーのドライブは、乗用車に比べれば、バイクに近く、どんなタイヤをはいて

いるにせよ、その操縦性は素直で姿勢変化は少なく、軽い操作と、強い直進性に守られた

とても、爽快な乗物です。

数少ないレーサー体験を思い出すとき、比較しやすい例として80年代モトクロスバイクの

メーカー毎の操縦特性の違いを例にします。

ホンダ=パワーレスポンスが鋭く、ハンドリング軽く、おおむねオーバーステア上級者向け

ヤマハ=パワーはフラット、直進性高く重めのハンドリング、強いアンダーステア

スズキ=パワフル、かつ軽めのハンドリング、平均的優等生なニュートラルステア

カワサキ=ダイレクト感のあるパワー、軽めのハンドリング、大きな振動、オーバーステア

当時のバイクは、高い生産管理により、個体差が無くほぼ上記の操縦性だったような私の主観です


やはりひとそれぞれ、体力、技術、気力により好き嫌いはあると思うのですが、ことフォーミュラ

の操縦性に向いているのはヤマハの特性と思うのですが、私が人から借りた車両での体感は、トッ

プクラスはホンダタイプ、市販平均タイプはスズキ、カワサキは愛好家の手作りバギー風でしょう

か?

なにしろフォーミュラは自分次第、どんな操縦性も乗り手のお好み次第で変化する事が可能です。

変化できないのは、そのフォーミュラの特性か、乗りにくくても速いから許されるのか、

もっと直接的原因として、ドライバーの要求度が低い場合と、デザインの特性上からくる限界

なのでしょうか?  私はどんなに細かいことも、デザイナーである兄に報告し、報告し、報告

します。   

ほとんどは自分のボキャブラリー不足からくる意思伝達方法に問題があり, 頭の整理がつき、正

確に改善をお願いすれば、本当に乗りやすい手足のように扱える車になります。

さあそれでは筑波サーキットに、コースインしましょう!

パドックに並んだフォーミュラ達、各自がその思いを吐き出すかのように高鳴る空ぶかしの、連鎖

自分の意思、自分のエンジン音を確かめてトルクを感じゆっくりとクラッチをつなぎます

そう、練習走行では、ハードなミートはさけ、スタートを感じたらアクセルをいれます

ピットロードでは、最終的な心臓の鼓動調整と車両の振動を感じるためにゆっくりと左右にステア

なんのストレスも異音も無いのを確認後、ピットを通過していきます、人身+物損事故に充分注意

しつつのフル加速、ひとたび加速が始まったのなら、理性、常識、表面意識は遠のき、頭よりも

先に、手が動き出します。

ピットが切れたら、少しの登りを感じつつトルク感を残しながらイン側をキープ定常円旋回しつつ

立ち上がり区間手前で、確実にアクセルをいれる、さあ本線よりの後続車がいないのをじっくり

と確認後フルスロットルしアウト側にラインを取りはじめる、この時点で躊躇、ためらい、不安

はあってはならないのだ、見た目よりもつよい下りを直線的にカット、低速ではあるが直進性を

確認(まっすぐはしっているか?)しつつ、左第一ヘアピンへの進入位置を決める、強く、強く

しかしロックはさけつつクリップを目指す。 ここは曲率が強く、絶対速度も低いのでいかに

ロスなくスムースに立ち上がれるかが大切、左のアウトにはらみ、すぐに右への切り替えしとなっ

ていくがっ、ここはコーナーと考えず、次のダンロップ下左コーナーへ向けてのつなぎ区間と思っ

ている、そしてどんどん加速、ここは筑波の中では中速コーナーであるため、ステア特性を確認し

つつゆるやかな軌跡を描きながら次のヘアピンへの進入ラインを定めていく、ブレーキ、シフトダ

ウン、強いブレーキング時のステア特性を確認しつつ充分に減速し、ヘアピンを通過(スピンの可

能性が唯一高いコーナー)加速重視のライン取りでストレートにつなげていくこととする。

少しの時間の最大加速、シフトアップ、また加速、すぐに課題は目前に迫ってくる・・・・

ほそく、ゆるやかな最終コーナーは進入がすべて、コース中最大の遠心力に耐え、グリップ感を

感じつつストレートに向けた加速を加えていく、コーナーが終了しストレートへの進入体制が

定まるころには、グリップの余裕はまるで無いがリズム感で通過、短いストレートを駆け抜けてい

く事となる、何の不安も無い直線登り、充分ひきつけてから、つよいブレーキで速度をおさえ

シャープに切り込んで1コーナーへの進入となる、目で入力、足裏で出力、意識を無くして呼吸

を押さえ走る点になりきることとする、サーボモーターのように手足を使い、速度センサーのよう

にグリップを感じる、継続の作動、変化への感応、集中への自戒、ピットへの誘導サインがでて

私の頭のメインスイッチを兄が切るまで、饗宴は止まらない、と言うこととなるのです。

もし貴方が、レーシングカーに興味を持ち、あふれる思いに胸を焦がしているなら、走り続ける

ことのみに視点を置いたフォーミュラカーの性能をぜひ味わってみてください。私は金がないので

レース中心の生活は出来ませんが、好きなもの同志、集い、走らせて大いに人生を謳歌しようでは

ありませんか!   全国のフォーミュラカー好きが集合したら楽しいですネ!・・・・    

続く