2011年8月6日

 「かながわ定時制通信制教育を考える会」は7月31日、神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)に対する意見書を会代表中陣唯夫名で発表しました。以下に、その「意見書」を紹介します。


2011年7月31日

神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)に対する意見書

希望する課程の高校に入学でき、「15の春を泣かさない」入試制度に変えましょう

「かながわ定時制通信制教育を考える会」代表 中陣 唯夫



 神奈川県教育委員会は7月4日、神奈川県公立高校の入試制度を改善するために「神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)」(以下、「方針(案)」)を公表しました。この「方針(案)」に対して、「かながわ定時制通信制教育を考える会」として、意見を述べたいと思います。

 私たち「定通教育を考える会」は、現行入試制度が導入される際、また学区が全県一区に拡大される際に、それぞれ「意見書」を提出してきました。(「『15の春を泣かさない』入試制度の導入を考えましょう」2002年、「学区を撤廃し受験競争を激化させるのではなく、深刻な不況下自宅から近い、希望する高校に入学できる入試制度と学区のあり方を考えましょう」2003年。ともに、本会ホームページに掲載)

 しかし、私たちの意見は取り入れられず、2004年度より現行の入試制度となって以降、全日制高校への進学率が年を重ねるごとに低下し、前期、後期、二次など何回受検しても希望する課程の高校に入ることができない子どもたちを生み出す事態となっています。


県自らが約束した全日制高校進学率向上(93.5%以上)を達成できる入試を

 「方針(案)」は、その前書きで「『県立高校改革推進計画』に基づく施策を展開してきたが、・・・・・・・・これまでの取組みの成果及び課題について検証を行い」と記し、「今後の入学者選抜制度の改善について検討を進め、・・・・・・方針(案)として策定しました」と述べています。「県立高校改革推進計画」(1999年11月)では、「計画進学率は、現在、93.5%としていますが、全日制の高校への進学希望等を考慮し、今後も段階的に引き上げていきます。(平成12年度は、94%にします。)」とされていました。それが、現行入試制度の下で88.2%(2010年度)と全国最低水準にまで低下してしまい、全国一位で定時制や通信制への進学率が高くなっています。

 こうした問題点について、「方針(案)」はまったく触れていません。県自らが県民に約束した全日制高校進学率の向上が達成できない理由は、公立全日制高校の入学定員を公立中学校卒業者数の60%に限定しているためです。入学定員の問題を十分検討したうえで、入試制度の改善策が立てられるべきです。入学者選抜制度の改善と入学定員の問題は関連しているのであり、それはまったく別だとする県の態度は県民の理解を得ることはできません。


希望する課程の高校に入学できる入試を

 「方針(案)」は「改善の基本的な考え方」において、「生徒自らの希望に基づく志願を確かなものにするために、・・・・・・全課程同日程の『共通選抜』(仮称)を設定する」と述べています。「希望に基づく志願」だけが、子どもたちや保護者の願いではありません。子どもたちや保護者、県民が強く願っているのは、希望する課程の高校に入学できること、すなわち全日制を希望した子は全日制に、定時制を希望した子は定時制に、通信制を希望した子は通信制に入学できることです。

 中学3年生の秋に行われる進路希望調査では、全日制希望が91.4%、定時制希望が1.8%、通信制希望が1.1%です(2009年10月)。それが、実際の進路状況(2010年3月)では、全日制が88.2%、定時制が4.2%、通信制希望が4.5%であり、3.2%の子が全日制に入れず、また、何人かの子が定時制や通信制に入れなかったと思われます。つまり、全日制に入学できなかった子が定時制や通信制にまわってくるため、本来定時制や通信制に行きたかった子が入学できなくなっています。神奈川県ではまだ、「15の春を泣かす」入試が行われています。


夜間定時制や通信制に調整弁としての役割を負わす「定通分割選抜」に反対します

 私たちは、「方針(案)」にある全課程同日程の『共通選抜』には賛成しますが、共通選抜の後に「定通分割選抜」を設定することには強く反対します。なぜ、夜間定時制(県立川崎と厚木清南を除く)と通信制だけに、今回問題が多いということで廃止となった複数回受検の入試制度が残るのでしょうか。なぜ、こうした夜間定時制や通信制だけが、初めから「共通選抜」で入学定員の80%しか募集できず、必ず2回目の入試をせざるを得ないのでしょうか。80%に募集定員が抑えられることにより、不登校の子や働きながら定時制や通信制で学びたいと希望している人には、枠が狭められ厳しい入試になります。1回目の「共通選抜」で不合格となった場合、次の「定通分割選抜」では、全日制を不合格になった子どもたちが殺到するため、希望する定時制や通信制に入学できないことが予想されます。

 県教委は、「定通分割選抜」を設定する理由を、「公立高校における学びを幅広く提供するために」と記しています。しかし複数回入試を、全日制や昼間定時制ではなく、夜間定時制(県立川崎と厚木清南を除く)と通信制だけに押しつけるのは、こうした定時制や通信制に対して、全日制を不合格となった子どもたちの進路の調整弁としの役割を負わせるものです。また、また定時制のなかでも、昼間定時制やフレキシブルの定時制(「方針(案)では、これらの定時制は多部制定時制とされている)と夜間定時制を区別し、多部制定時制以外の夜間定時制を差別しています。

 「方針(案)」にある「学びを幅広く提供するために」というのなら、中学3年生の進路希望調査の結果からみて、全日制の一部や昼間定時制にも複数回受検を残すべきです。

 私たちは、全日制、定時制、通信制の全課程の高校が同日に、差別なく募集定員100%の入試を行い、入学定員を満たさなかった学校が二次入試を行うことを強く求めます。それが、初めから定時制や通信制で学びたいと思っている子どもたちと保護者の願いが叶えられる入試であり、初めから調整弁となる課程や学校をつくらない入試です。

私たちは、
○公立全日制高校の入学定員枠を公立中学校卒業者数の62%以上にすることを求めます。
○「定通分割選抜」ではなく、全課程の高校が募集定員100%の「共通選抜」を求めます。

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