[想い出]

2人はいつも一緒というわけではなかった。
古いアルバムの中を見ても2人一緒に写ってる写真は数えるほどしかない。
だけど2人には忘れられない想い出が…

「クラウドも一緒に行こうよ」
1人の少女が少年をせかす、しかし少年は渋い顔をしながら動こうとしない。
「でも父さんと母さんがあそこはダメだと言っている」
「ティファ!こんな腰抜けほっとけよ」
他の子供達は彼の事を馬鹿にする、親の巾着、良い子ぶり、と
「じゃ、また今度ね」
例外的にティファと呼ばれた少女はこの少年に気遣う。
彼女は誰に対しても平等な正義感あふれる性格である。

「おっかしいなぁ」
太陽が西へと傾きかけた時子供たちは道に迷った事に気が付いた。
ここは深い森の中、助けは呼んでもこないだろう。
つまり自力で状況を打開しなければならない。

ガサガサガサ!

「熊!」
不安な心は草木がこすれる音に異常反応させる。
1人の少女を除いてみな半べそをかいている。
ここらへんいったいにモンスターはいないが、お腹を減らした動物がでないわけではない。

「大丈夫!みんな落ち着いて、風が吹いただけよ」
皆の落ち着きを取り戻すのはいつもティファという名の少女の役割だった。
本当は彼女もすごく怖いし泣きたいと思った。
しかし自分が取り乱したら皆が不安になる、彼女はいつもそのような責任感や使命感を持っていた。

道に迷ってかた約3時間が過ぎ、あたりはすっかり暗くなってしまった。
もう帰る事はほぼ不可能である。
皆、夜が近づくにつれ徐々に不気味になっていく森に恐怖を覚えた
しかし人間恐怖に埋もれていようが、どんな状況下にあろうが腹は減る。
もう動けないとだだをこねる子供たちもでてきた。
食料などもちろん無い、かといって食べられそうなものは近くに何も無い。
お腹へったよ、など言う体力すら徐々に失い、一同は静かになった。笑顔はとっくのとうに消えている。

ドサッ!
突然少年達の目の前にでっかい袋が落ちてきた。
何者かいるのだろうか?罠かもしれない。
少年達は動揺し、結局ティファが代表で袋を開けた、その中には大量のお菓子が入っていた。
「すごーい!」
警戒していた子供たちがいっせいに袋に群がった、ティファはそれを静止し
「待って!毒が入っているかもしれない」
彼女がまず毒見と言う形で一粒のキャラメルを口に入れた。なんの変哲もないただのキャラメル
どうやら彼女の考えすぎだったようだ。
彼女の様子をしばらく見て、安全を確認した少年達は夢中で菓子をほおばった。

ガサガサガサ!
草の葉のこすれる音と共に現れたのは最大限まで膨らんだボムだった。
こちらから刺激しない限り危害を加えられる事はない。
しかし少しの衝撃で爆発、万事休すだろう。
「みんな動かないで、大丈夫よ」
しかしティファの声は動揺した少年達にあまり届かず、彼らは慌てふためいている。
わけのわからない声をあげながら走り出すもの、何故かお菓子を口いっぱいほほばり喉を詰まらせむせるもの。

・・・ドカッ!・・・
1人の少年がボムに体当たりをしてしまった。
ボムはさらに膨らみ・・・もう破裂するという瞬間
何処からともなく発せられた凍てつく冷気によってボムは氷漬けとなった。

「誰!?」
ティファは叫んだ。
冷気を放ったものは自分達を助けたのではなく、単なる新たなる敵かもしれない。
いやむしろその可能性の方が高いだろう。
しかし20分たっても何かが現れる気配はない。
とにかくこれで助かった・・・少年達は大きくため息を吐いた。
そして気が付くと完全な夜へとなっていた。

「寒いよ〜寒いよ」
少年達は新たなる難題に体を震わせた。
こればっかりはどうしようもない、ティファはスクっと立ち上がりこう言った。
「私が助けを呼んでくる!みんなはここで待ってて」
何人かの少年は最初制止したが、彼女は一度やると言ったらなんの意見も聞かない性格
結局止めるものはいなくなった。

暗い森の中1人、本当はすごく怖い。
しかし彼女は怖がっている暇はない、皆を助けるという使命感が彼女を支えていた。

ガサガサガサ!
「!!!!!!」
葉が擦れる不気味な音、またボムか?いや違う、かすかの星の光で見えた影は人間のものだった、足音もする。
「誰!?」
モンスターとはいえ自分に危害を加えないとは限らない。
しかし足音は次第に遠ざかっていき、消えた。

ようやく村に着くと、村人達が総出で捜索活動を行っていた
1人の男がティファの姿を見つけると、大声で"おーいいたぞ!"と叫んだ。
彼女の両親は泣き、彼女もまた泣いた。
森で待っているはずの少年達はすでに救助され、残るは彼女1人と・・・
「クラウドはまだ見つからないのか!?」
森には行ってないはずの少年1人だった。
霧が出始めたため、結局その日の捜索は打ち切られ、村人は寝床へとついた。

ようやく皆が寝静まった深夜、1人の少女は心配で眠れず、親の目を盗んで外へと出た。
外に出ても気分はあまり晴れない、彼は何処にいるのだろう。食事はしたのだろうか?
オリオンが輝く空をみながら彼女は涙をこぼした、正確に言うと自然と涙がこぼれた。

「何泣いてるんだ?」
自然と視線を降ろした先にはクラウドがいた。
「クラウド!」
「静かにしろ、皆が起きたら大変だ」
口に指をあて静かにしろという合図を加えながら言う彼をティファは凝視した
「どうした?何か俺の顔についているか?」
「葉っぱ」
「あ!」
なるほど、クラウドの顔には葉がたくさんついている。
枝のようなものでつけたような傷も見え、さらに真っ黒である。
「・・・誰にもいうなよ、後をつけてきたなんて」
「ありがとう」

彼女は少年の頬にキスをした

〜完〜


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〜あとがき〜

クラエアの自分がクラティにチャレンジ!!何でもためしてみたいお年頃(何
でもあんまり忘れられない想い出って感じじゃないっすね(汗)お粗末様ですた〜