[秘密] …ちゅんちゅんちゅん… 小鳥のさえずりが一日の始まりを告げる 「ふわぁぁぁ〜」 大きなあくびと共に目を覚ました彼女の名はエアリス 「これでよし、美人さんだぞ」 鏡に映る自分の姿にひとりうなずき、渡り廊下の向かいにある部屋へと向かった 「クラウド入るよ」 中からの返事をまたずに彼女はドアを勢いよく開けると 「誰が入ってきていいと言った?」 彼は不快感をあらわにしたが、実はこれ、本心ではない 「綺麗なお花がある場所見つけたから、一緒に行こうと…」 彼は彼女の言葉を遮るかのように冷たく言い放った 「この前好きだって…」 彼女は無言で部屋から出て行った、目に少し涙を浮かべながら 背中が寂しそうだった 「これでいいいんだ、これで」 そうつぶやいて彼は残りのコーヒーを飲み干した …数分後… 再び突然ドアが開いた 「部屋に入る時は俺の許可を得てからと言ったはずだ」 「大変なの、エアリスが何処にもいないの!」
エアリスは追われの身、いくら勇敢な彼女でも一人で外を出歩く事は自殺行為に等しい 「少し探してくる」 (エアリスは花の綺麗な場所にいる) しかし花の綺麗な場所など何処にも無い 「おかえりなさいクラウド」 彼は一瞬耳を疑った。 「なんで…」 彼女に背を向け部屋へと戻ろうとした…刹那 「ありがとう」 彼女がその質問には答えずに 「ねぇこのお花綺麗でしょ」 指差した先には1輪のタンポポがあった 「秘密だよ」 大きく彼は深呼吸をして 「秘密は守ろう」 〜完〜 〜あとがき〜 管理人が約一年ぶりに手がけた作品なんですが、どうでしたでしょうか?
可憐で繊細な容貌はまさに花という例えがよく似合う
ベッドから起きると彼女はお気に入りの服に着替え、鏡台の前に座り入念に化粧を始めた
彼女は普段化粧などしない、今日は特別だった
彼は片手にコーヒーを持ちながら窓の外を眺めていた。何か思いつめているかのように
多くの友人や親類達が死ぬのを見てきた彼は、仲間と必要以上に親密になる事を避けていた
それだけ別れが寂しくなるから、もう悲しむのは嫌だから
「花は嫌いだ」
「あれは社交辞令だ、悪く思わないでくれ」
「…………」
彼は振り向く事すらせずに、あさっての方向を向きながら不平を洩らした
開いたドアの先にいたのはティファ、青くなった顔と切れた息が非常事態である事を告げていた
その事はメンバー周知の事実であるし、何より一番それを解かっているのはクラウドだった
「ちょっと待って、心当たりあるの?」
しかし彼はその質問には答えず、身支度をするや否や鉄砲玉のように飛び出していった
確証があるわけではないが、そう彼は確信していた
彼は彼女の足で行けそうな所をくまなく探した
けれども見つかるのは枯れた花など、到底綺麗とはいえないものばかり
彼は途方にくれ、宿へと帰った。遺憾で胸をいっぱいにしながら
だが現実はここにある、彼女はここにいる
「なんでって、わたし朝からずっとここで」
「そうか、変な事いってすまなかったな」
「あんたに礼なんて言われる覚えは無い」
「一日中探し回ってくれて」
「まさか…わざと」
よく見ないとわからない、影にひっそりと
「は?」
「こんな綺麗なお花がここにある事」
「いったはずだ、花は嫌いだと…でも」
「でも?」
FF7の時間軸でいうと序盤(ミッドガル神羅ビル脱出直後らへんだと思う)
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