いつか帰るところ
M・D・R サマ

あれからいったい何ヶ月たったのだろうか?

ひとりでスラムの教会にいるクラウドが思う。
ホーリーとメテオの衝突のあと、仲間とは別れ別れとなり、クラウドはずっとこの教会にいる。
ミッドガル全体はメテオの影響で破壊しているところが目立っているがこの場所は
不思議なことに衝突前と何の変わりのないままだった。
そしてこの場所でずっとエアリスを待っている。
また再会するために......。あの時、言いそびれた大切な言葉を伝えるために......。

目の前の花を見ていると、あのころが昨日のように思える。
みんなと世界を回ったとき、セフィロスを追っていたとき、そしてエアリスと一緒にいたとき。
いろいろなことを思っていると不意に恐ろしいことも思う。

.....もし、エアリスと二度と会えなかったら?

クラウドは頭を振る。
「そんなこと...考えてはいけない。」
そのとき、自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
(クラウド.....)
とっさに振り向くが誰もいない。
だが、自分を呼ぶ声がまた聞こえたと思ったらいきなり視界が真っ暗になった。
「!?」
「あはは、ひっかかった〜」
手を取り、声のする方向を見た。
「エ、アリス.....?」
「そうだよクラウド、私だよ。」
しばらくクラウドは目を疑った。これは夢ではないかと。
しかしこの手の暖かさは生きてるものの証。
「んっもうクラウドったらぁ〜!こういうときは”おかえり”って言っ.....」
その先を言う前に、クラウドが抱きしめてきた。
「おかえり....エアリス。会いたかった.....。」
「クラウド...。」
そして二人はしばらく抱き合ったままだった。
「うれしい......ずっと、ずっと待っててくれたんだね。」
「ああ......」
クラウドは、軽くうなずく。
「でもどうして......エアリス.....。」
「生きてるかって?」
「話せば長くなるけど......いいよね?」
そしてエアリスはゆっくりと話した。
「私だったんだよ。クラウドと会った後、メテオが星に近づきすぎてホーリーが逆効果になってたときに、
ライフストリームを誘導していたのは......。」
「あのあと、私は星の中で祈ったんだ。またクラウドやみんなと会いたい.....って。
するとね、星たちが答えてくれたんだ。”大切な人のところへ行きなさい”って。」
少し間をおき、また話し出す。
「そうして私は生まれ変わった.....。」
「でも、昔のエアリスのまま....!」
そのときクラウドはあることに気がついた。

......濡れてる!?

「わかった?生まれ変われたのはいいんだけど体はあの湖に沈めたときのまま、はじめは”ひっど〜い”なんて思ったけど
”ああ....でもこれが星たちのやさしさなんだな”って」
そしてずっと抱きしめていた手を離し
「ごめん.....。俺、聞いてばっかりで.....。」
「じゃあ、今度は私が聞くほうになってあげるね!あれからみんなはどうしたの?」
「誰から聞きたい?」
するとエアリスはしばし考え
「ティファ!あれからどうしたの?」
「ティファは、今また酒場をやってる。確か店名は”セブンスヘブン”のままだったと思う。」
「へ〜ぇ。じゃあバレットは?」
「今エルミナさんと一緒に暮らしてる。親バカらしいが男手ひとつあって、良いって言ってたな。」
「お母さんと暮らしてるんだ!じゃあレッド13は?」
「あいつ、コスモキャニオンに戻って星命学の勉強をしてる。彼女ができたとか言ってたな。」
「へ〜、一度会いに行かなきゃね!」
「ああ、そうだな。」
「んじゃあ、ケット・シーは?」
「あいつは確かスラムの人をジュノンに移動させて大変だったとか言っていた。しかもなぜか市長にもなって....。」
「確かにミドガルズオルムが厄介だったのかもね。ユフィは?」
「まだマテリアハンターをしてる.....。いいかげんやめればいいのに。」
「あははは、ユフィらしいや。じゃあヴィンセントは?」
「あいつは......わからない。もしかしたら神羅屋敷で眠ってると思う。」
「そっか。シドは?」
「ああ、シエラさんと結婚したよ。どうやら亭主関白らしい。」
「へ〜!.....でも」
「でも?」

「みんなにも会いたいと思ってたけど、一番あなたに会いたかった。ここであなたと会えてよかった。
だってここが私たちのいつか帰るところなんだから......。」

「エアリス.....。」
「なあに?」
やっぱりあのことを伝えるのは恥ずかしいのか、少し顔が赤くなる。
「俺...ずっと.....。」
クラウドの口から出た言葉にエアリスは涙を流し、もう一度ぎゅっと抱きしめ
「....はい。」
とクラウドの胸の中でつぶやいた

クラウドはあの時、私にこう言ってくれた。

『エアリスのことが好きだ。ずっと俺のそばにいてくれ。』

って。
だから私、ずっとあなたのそばにいるよ。

END

NOVEL一覧に戻る 総合トップに戻る 

うーんいい話ですな/// ラブラブですな
M・D・Rさん素敵な小説ほんとうにありがとうございました♪
いつか帰るところ… エアリスが帰るところはやっぱクラウドしかないでしょう