生地について
     化学繊維以外の天然繊維(綿 麻 絹 毛織物など)は、地のしが必要です。地のしとは家を建て
     る時の基礎工事のようなものと考えてください。
     生地の種類によってやり方は違いますが、一般的に綿や麻などは、水かぬるま湯に数十分間
     漬けておきます。皺を伸ばして陰干ししてください。
     生乾きのときに、広い場所を使って裏からアイロンをかけてください。
     ただアイロンをかけるのではなく、縦地と横地が曲がらないようにきれいに掛けてください。
     このときつけた生地のくせが、消えなくなってしまう事もありますので、慎重にお願いします。
     絹は裁断する前に、かるくアイロンをかけるといいでしょう。生地によってはそれだけで少し縮
     むものもあります。ただ水洗いの可能な絹(タイシルクなど)は、綿と麻のやり方で大丈夫です。
     毛織物の地のしは大変難しいので、私は生地を買ったお店にお願いしています。
     なぜ地のしが必要なのかという事ですが、洋服を買ったあと1度洗濯したらつんつるてんに、
     なってしまった経験はありませんか?そういうことをなるべく避けるという事、そして地の目を、
     正すという目的があります。(地の目については、あとで説明します。)
     そんな面倒なことは嫌という方も多くいらっしゃると思いますが、この段階で色落ちする生地か
     そうでないかも判断できます。ぜひお試しください。

アイロンについて
     アイロンは本当に苦手という方、結構多いです。
     生地によって温度もやり方も変えなければいけないので、大変だと思いますが、失敗のないよ
     うにあて布をいつも用意して置くことをお勧めします。
     私はいつもシーチングを使っています。毛織物の場合は同じ生地のハギレを使います。
     蒸気を使っただけで色が変わったり、そこだけ縮んでしまうこともありますので、ハギレで試し
     てからの方がいいですね。裏から掛ける事も、忘れないでください。
     ウール100%のサマーウールは、ほんとに難しいです。
     できる事ならやりたくない生地の代表格かも!それからベルベットも!

裁断について
     パターンの用意ができたら裁断です。
     この時に生地のところで書きました地の目がでてきます。
     地の目とは、生地の縦地の線と横地の線の事を言います。
     地の目を正すとよくいいますが、生地によっては曲がって織られているものがあります。
     平織りの生地などは目で曲がっているか分かりますが、そうでない生地は横糸を抜くか、裂い
     てみると分かります。織りの段階で地の目が曲がってしまった生地は、元に戻らないので、要
     注意です。私なら買いません。(スカートを作って失敗した経験があるので)
     生地を裁断するときは、必ず角が直角の台を使って裁断してください。
     台のない方は、直角の紙の上でもいいでしょう。これは絶対に必要です!。
     まず縦地の生地の方を、台に沿って合わせてみましょう。割と縦地はまっすぐいくと思います。
     少しづつピンで止めていくとずれません。それから横地を台に沿って合わせていきます。
     その時生地が直角にならないようでしたら、地に目が曲がっている証拠です。
     バイヤス(縦地と横地を45度で結んだ線)方向に生地を伸ばし、アイロンをかけて直しましょう
     縦糸と横糸を直角にしてあげれば、地の目はOKです。
     テクニックも要りますので、大変かと思いますが、挑戦してみてください。
     どうしても直らない場合は、なるべく直角に近づけながら、裁断してみてください。
     ニット素材は横地が曲がっている場合が多いので、あまり神経質に考えない方がいいでしょう
     私は、縦地だけは地の目を通すようにしています。

仮縫いについて
     仮縫いをするのであれば、縫い代を多めに付けておきます。
     不安に思える場所は、特に多めに縫い代を付けておいてください。解いてアイロンを掛け直し
     たら、丈が短くなっていたということは、よくあります。 
     仮縫いも慣れるまでは難しいと思います。ただ単純に考えれば、きつい所は出して、ゆるい所
     は減らせばいいわけですが、簡単にはいきません。実際にたくさんの仮縫いをしてみると、少し
     づつやり方が分かってきます。色々な体型の人を見てきましたが、左右同じ体型をしている人
     は、少ないですね。その場合は左右違う補正パターンを、作らなければいけません。
     その人の体型に合ったパターンを作ることが、洋服の1番難しいところかもしれません。

パターンについて
     パターンには、縫い代付きと縫い代なしのパターンがあります。
     慣れているパターンを使った方が良いと思いますが、私は縫い代付きを使っています。
     最初は縫い代なしで作っていましたが、慣れれば縫い代付きの方がやりやすいようです。
     パターンが完成したら、必ずトレーシングペーパーでパターンの寸法合わせをしてください。
     ダーツはたたんだ状態がどうなっているかを、必ずトレーシングペーパーで見てください。
     その後に、縫い代を正確に付けるという事は、絶対に必要です。なぜなら縫い代を基準に
     ミシン縫いをするからです。
     パターンの縫い代は出来上がった状態のことを考えて付けて下さい。
     合印はポイントになるところに付けて下さい。たとえば、バストライン、ウエストライン、
     ヒップライン、袖ぐり、ダーツ位置、前中心、後ろ中心などです。
     いせは、どこからどこまでいせを入れたいのか分かるように、合印を入れてください。
     企業のパターンでもいいかげんなパターンは結構ありますが、パターンが正確だと縫う時に
     楽だと思います。

ミシンについて
     ミシンには、家庭用と職業用と工業用の3種類がありますが、私は職業用を使っています。
     慣れているミシンを使うことが一番いいと思いますが、あまり使わない機能がたくさんあるミシン
     よりも、シンプルで「どんな生地でも普通に縫える」ということを重点に考えています。
     ミシンで一番困るのは、糸調子がうまくいかないことでしょうか。
     最初にボビンケースの調子を見るときに、一番簡単な方法を説明します。
     ボビンケースにボビンを入れ、糸を引き出し、糸を持ってボビンケースをぶら下げてください。
     そのままボビンケースが下に落ちてしまう場合は、緩すぎます。少しきつくしましょう。
     上下に少し振ってもボビンケースが動かない場合は、きつすぎます。少し緩めてください。
     一番いいのは、少し振ったときに、ボビンケースが少しづつ下に下がっていく感じがベストです

縫い方について
     生地によって縫い方が違ってきますので、その都度ためし縫いをしてみましょう。
     ニットを縫う時は、ニット用のミシン針に変えた方がいいと思いますし、特殊な生地は、それ用
     の押え金がありますので、その都度変えてください。
     生地によっては、どんどん縫いこまれてしまう物もありますので、気を付けましょう。
     バイヤス裁ちのスカートなどは、かなり垂れてしまいますので、吊るした状態で、両方の生地を
     合わせてピンでとめてください。合印があっても無視してください。少し吊るして置いた方が、
     いいでしょう。レースの生地も伸びやすいので、垂らして置いてください。
     バイヤスを縫う時は、縫いこまれやすいので、縫う位置を調節してください。
     2枚の生地を縫う時は、下になる方が、いせが入りやすいので、その事を頭に入れて置いて
     縫ってください。

手縫いについて
     ミシンを使わない箇所は手縫いになりますが、手縫いは表の生地にひびかないようにする事が
     重要です。ファスナー付けは高級な生地になりますと星止めをしますが、星止めも規則正しく
     あまり目立たないように手縫いしてください。すそのまつりは、奥まつりをしますが、
     きつく糸をひっぱって縫うと、表にひびきますので、気を付けてまつってください。
     裏は見えないと思っていい加減に縫うと、出来上がった洋服は、美しくありません。
     一つ一つの作業をきれいにして仕上げていけば、 本当に満足する洋服が出来るでしょう。

シルエットについて
     一枚の洋服を仕上げるという事は、「デザインを考えて生地を選び、パターンを作って裁断して
     それをミシンで縫う。」という事ですが、出来上がるとそれだけで満足してしまう傾向があります
     「自分で作った洋服は自分自身をより良く見せてくれるだろうか?」という事を考えてください。
     背が低い人は、少しでも背が高くみえるように、太っている人は、少しでも痩せてみえるように
     自分自身の体型をカバーして、さらにきれいに見える服を作りたいものです。。
     デザインも重要ですが、パターンの作り方によって若く見える服になったり、老けて見える服に
     なったりしますので、気を付けましょう。
     どんなに高級な服を身に着けていたとしても、姿勢が悪ければせっかく身体に合った服も
     台無しです。自分自身も含めて気を付けたいと思います。