重力と電気

H. ワイル


The Principle of Relativity (DOVER 出版) 収録の "Gravitation and electricity," by H. Weyl(*)
(Translated from "Gravitation und Elektriticitat," Sitzungsberichte der Preussischen Akad. d. Wissenschaften, 1918.) から、訳 片山泰男
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Riemann(+) によれば、幾何学は、次のふたつの事実に基づいている:ー

1. 空間は3次元連続体である。 ーその点の座標は、それゆえ、$x_1, x_2, x_3$ の3つの座標値によって整合的に表現できる。

2. (Pythagoras の定理) ー ふたつの無限に近似する点間の距離 $ds$ の 2 乗、 \[ P= (x_1, x_2, x_3) と P'= (x_1 + dx_1, x_2 + dx_2, x_3 + dx_3) \tag{1} \] は、(どの座標が採用されても)、次の相対的座標値 $dx_μ$ の 2 次形式である:ー \[ ds^2 = Σ_{μν} g_{μν} dx_μ dx_ν, (g_{μν} = g_{νμ}) \tag{2} \] これらの事実の2番目は、短くいえば、空間が計量的な連続体であるということである。近接作用の物理学の精神に完全に従って、 我々は、Pythagoras の定理が距離が無限に小さいときにだけ、厳密に有効であると仮定する。

特殊相対論は、時間 が空間の3つの座標と同じ足場にたつ4番目の座標として付随すること、 そして、物質的事象の情景、世界 は、それゆえ、4次元の計量的連続体 であることの発見に導いた。 そして、そのため、2次形式 (2)、それは世界の計量的特性を定義するが、必ずしも 3次元空間の幾何学の場合のように 正とは限らず、添字の慣性 3 をもつ(++)。

(*) 角括弧 [] の脚注は、著者による後の付加。
(+) Math. Werke (2nd ed., Leipzig, 1892), No. XII, p. 282.
(++) それはいわば、もし、連続体の特定の点において、$ds^2= ±dx_1^2 ±dx_2^2 ±dx_3^2 ±dx_4^2$ であるように座標が選ぶなら、 どの場合も、3 つの符号が + で、ひとつが - である(逆もある)。


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Riemann 自身、この 2 次形式が物理的現実とみるべきことを指摘することを失敗しなかった。例えば、遠心力のなかには、 物質に現実の効果を与える原因として、そして物質は、それゆえ、恐らくそれに反応することを、それが明らかにするから。 そのときまで、全ての幾何学者と哲学者は、空間の計量特性が空間自身に属するとみなしてきた、それが格納する物質とは独立に。 それは、このアイデアに上にある。それは、Riemann が彼の日に成し遂げることは、全く不可能であった。 Einstein が我々自身の時代に、Riemann とは独立に、彼の一般相対論の壮大な建造物を立ち上げたことは。 Einstein に従えば、重力 の現象には、また幾何学的な理由を置かなければならない。そして、それによって物質が測定に 影響する法則とは、重力の法則以外の何者でもない: (2)の $g_{μν}$ は、重力ポテンシャルの成分を構成する。 重力ポテンシャルがこのように不変量の2次の微分形式によって構成されている一方、電磁現象 は、$φ_μ$を成分とする 4 元ポテンシャルによって支配され、その成分は、一緒になって不変量の 線形の 微分形式 $Σφ_μ dx_μ$ を組み立てる。 しかし、いままで、このふたつのクラスの現象、重力と電気は、互いに分離して並立している。

Levi-Civita(*)の後の仕事、Hessenberg(+)、そして著者(++)は、全く平易に次のことを示す。もしそれが自然に合致すべきなら、 その上に Riemann 幾何学の開発が基づかなければならない基本的概念は、ベクトルの無限小の平行移動であることを。 もし、P と P* を曲線によって結ばれた任意の 2 点とするなら、P にある与えられたベクトルは、それ自身に平行にこの曲線に 沿って P から P* まで動かすことができる。しかし、一般的にいって、この P から P* までのベクトル移動は、積分可能でない。 それはいわば、P* に到着したベクトルが、移動の旅行が沿う経路に依存するのである。その積分可能性が得られるのは、Euclid 的な "重力のない" 幾何学においてだけである。先に言及した Riemann 幾何学は、有限幾何学ー私の見る限り、何も実体的根拠のない、 にはまだ残差の要素を含むのである。

(*) "Nozione di parallelismo ...", Rend. del Circ. Matem. di Palermo, Vol. 42(1917).
(+) "Vektorielle Begründung der Differentialgeometrie," Math., Ann. Vol. 78(1917)
(++) "Space, Time and Matter", (1st ed. Berlin, 1918), §14.


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それは、表面の理論のなかで、この幾何学の偶然的原因によるとみられる。2 次形式 (2) は、我々に比較することを可能にする。 その長さに関して、同じ点のふたつのベクトルだけでなく、任意の 2 点にある同様なベクトルについても。 しかし、本当に無限小の幾何学は、1点から最初の点に無限に近い別の点への長さの移動の原理だけであると認識しなければならない。 これは、我々に、長さを点から別の点に有限の距離の移動の問題を積分可能と仮定することを禁止する。さらに、特に方向の移動の問題 としては、積分可能でないことが証明されている。 そのような仮定が偽であることが認識されているから、ある幾何が出現して、それが世界に適用されたとき、 重力現象だけでなく、 電磁場の現象をも、 驚くべき仕方で説明することになる。現在、形をとる、その理論に従えば、現象のふたつのクラスが同じ源から湧き出し、 そして、事実、 我々は、重力から電気性のどの任意の分離も行うことが一般に不可能である。 この理論では 全ての物理量は、世界の幾何のなかで意味をもつ。 特に、物理的効果を示す量は、同時に純粋な数として現れる。その理論は、その不可欠の要素が曖昧さなしに定義される世界法則を導く。 それは我々に、世界がなぜ 4 次元をもつかも、ある意味で理解することさえ許すのである。 私はいま、全ての最初に、Riemann の改正された幾何学の構造のスケッチをその物理的解釈のいかなる考えも伴わずに与える。 その物理学への適用は、そのとき自発的に続くであろう。

与えられた座標系のなかにおいて、点 P に無限に近い P'の相対的な座標 $dx_μ $は、ー(1)を見よー 無限小変位 PP' の成分である。 ひとつの座標系から別のものへの移行は、確定した変換の定式によって表される。 \[ x_μ= x_μ(x*_1, x*_2,...,x*_n) μ= 1,2,..,n \] それは、ふたつの系のなかの同じ点の座標の間の関係を決定する。そのとき、点 P の同じ無限小変位の $dx_μ $と $dx*_μ $の間には、 我々は、変換の線形定式をもつ。 \[ dx_μ = Σ_ν α_{μν} dx*_μ \tag{3} \]


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ここで、$α_{μν}$ は、点 P の微分 $∂x_μ/∂x*_μ$ の値である。各座標系が参照する点 P の反変ベクトル x は、その成分として 既知の n 個のξ^μをもつ。その他の座標系への移行には、無限小変位の成分の変換 (3)と、正確に同じ方法で変換される。 点 P におけるベクトル全体を点 P のベクトル空間という。1番目に線形又はアフィン、すなわち、点 P のベクトルにある数を掛け、 ふたつのそのようなベクトルを加算して、つねに点 P のベクトルができる;そして、2番目に、計量的、すなわち、対称的な双線形 で (2)のスカラー積に属するもの、

x.y = y.x = Σ_μν g_μν ξ^μ η^ν

が不変的に成分$ξ^μ, η^μ$をもつベクトル$ {\bf x}$ と ${\bf y}$ の各対に割り当てられる。我々は、しかしながら、この形式が正の比例係数 についてだけ決定でき、任意性を残すとする。空間の点の座標が座標値 $x_μ$ によって表現されるとき、その $g_{μν}$ は、点 P の 計量特性によって決定されるが、その程度は、それらの比例性までである。また、物理的センスでいえば、直接の実体のある意味を もつものは $g_{μν}$ の比率だけである。なぜなら、方程式、 \[ Σ_{μν} g_{μν} dx_μ dx_ν = 0 \] は、P が P から発する光信号によって到達する無限近傍の点によって与えられる原点であるとき満足するからである。 解析的目的のために、最初に、我々は確定した座標系を選ばなくてはならず、次に、各 P 点に $g_{μν}$ に授けられた比例の任意係数 を決定しなければならない。その定式に従って出てくるものは、不変性の2重の特性をもたなくてはならない:それらは、座標の任意 の連続の変換に関して不変でなければならない。そして、位置の任意の連続関数を$λ$として、$g_{μν}$ を $λg_{μν}$ に代えても、 それらは不変に保たねばならない。不変性の 2 番目の特性の不測の発生は、我々の理論の特質である。


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もし、P, P* が任意の2点であるとき、そしてもし、P 点の各ベクトル ${\bf x}$ に P* 点の x* が次の方法で割り当てられるとき、すなわち、 一般に、ax が ax* になり、x + y が x* + y* になるように (a は、任意に割り当てられた数)、そして P 点での零ベクトルは、P* での零ベクトルだけに対応するとき、そのとき、我々は P のベクトル空間のアフィン又は線形の複製を P* のベクトル空間にもつ。 この複製は、全てのベクトル x, y の対について、P* 点のベクトル x*, y* のスカラー積が P の x, y のそれに比例するとき、 特に近い類似性をもつ。(我々の見方では、客観的な意味をもつ類似複製は、このアイデアだけである;以前の理論は、合同複製という、 より確定的な概念を許した。) 点 P から隣接点 P' へのベクトルの平行移動の意味は、ふたつの公理論的仮説によって設定される。

1. 点 P から隣接点 P' へのベクトルの平行移動によって、P のベクトル空間の類似の像が P' のベクトル空間上に作られる。

2. もし、$P_1, P_2$ が点 P の隣接点であって、P の無限小ベクトル $PP_2$ が、$P_1$ への平行移動によって、$P_1P_{12}$ に変換され、 一方、P の $PP_1$ が $P_2$ への平行移動によって、$P_2 P_{21}$ に変換されるならば、そのとき、$P_{12}$ と $P_{21}$ は、一致する。 すなわち、無限小平行移動は、可換である。

仮説 1 が平行移動はベクトル空間の P から P' へのアフィン移調であるというその部分は、解析的に次のように表現できる: $P= (x_1, x_2,..., x_n)$ にベクトル $ξ^μ$ があって、それが変位の変換によって、$P'= (x_1 + dx_1, x_2 + dx_2,..., x_n + dx_n) $ 点の$ξ^μ + dξ^μ$ となる。その成分は、$ξ^μ$ と線形関係にあって、 \[ dξ^μ = - Σ_ν dγ^μ_ν ξ^ν \tag{4} \] 仮説 2 は、$dγ^μ_ν$ が線形の微分形式であることを教え、 \[ dγ^μ_ν = Σ_ρ Γ^μ_{νρ} dx_ρ \] その係数は、対称性をもつ。 \[ Γ^μ_{νρ} = Γ^μ_{ρν} \tag{5} \] もし、P のふたつのベクトル、$ξ^μ, η^μ$が平行移動によって、P' の$ξ^μ + dξ^μ, η^μ + dη^μ$ に変換されるなら、


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そのとき、上の 1 の下に述べられる類似性は、アフィン性を超え、 \[ Σ_{μν} (g_{μν} + dg_{μν}) (ξ^μ + dξ^μ) (η^ν + dη^ν) \] が次の式に比例すべきことをいう。 \[ Σ_{μν} g_{μν} ξ^μ η^ν \] もし、我々が比例性の係数を求めるなら、それは 1 から 1 + dφ に無限小異なり、そして、次の式によって通常の方法で添字を減らし、 \[ a_μ = Σ_ν g_{μν} a^ν \] 次を得る。 \[ dg_{μν} - (dγ_{νμ} + dγ_{μν}) = g_{μν} dφ \tag{6} \] これから、dφ が線形微分形式であることが出てくる。 \[ dφ= Σ_μ φ_μ dx_μ \tag{7} \] もし、これが既知で、式(6) または、 \[ Γ_{μ, νρ} + Γ_{ν, μρ} = {∂g_{μν} \over ∂x_ρ} - g_{μν} φ_ρ, \]

は、対称性の条件 (5) と一緒になって、$Γ$ の量を明白に与える。 空間の内部計量接続は、(2)の2次形式以外に、(7)の線形式にこうして依存している。 ー$g_{μν}$ は、比例性の任意の係数について以外、決定される(*)。

(*) [私は、いま、この構造を次の点において修正した。(参照、"Raum, Zeit, Materie" 1921, §§13, 18 最終提示 ed. 4) (a) 仮説 1 と 2 の代わりに、平行移動が満たすべき、現在、ひとつの仮説がある: 点 P にひとつの座標系があって、 それを採れば、P に無限に近似するどの点への平行移動も P の全てのベクトルの成分が変化しない。この仮説は、 平行移動の本質を特徴付け、ある移動がそれに関係してベクトルを "変化なし" に残すこと正しく明言する。 (b) 単一の点の計量にはそれに従って、P の全てのベクトル $x = ξ^μ$ に付属するある地域があり、ふたつのベクトルが 同じ尺度数 $l = Σ g_{μν} ξ^μ ξ^ν$ をもち、そのときに限り、それらが同じ地域を定義するような種類の地域がある。 それをいま、P とその近傍点の計量的な関係に含めなければならない:合同移動によって、点 P の地域は無限近傍点 P' の確定した地域に交じり込んでいる。もし我々が地域の合同移動の概念の必要を作るなら、それは、いま成した仮説 (a) の下でのベクトルの平行移動の概念に類するものである。この課程(そのなかで地域の尺度数 l が dl だけ増加する)は、 次の式で表現される。
\[ dl= l dφ; dφ= Σφ_μ dx_μ \]

これらの環境のなかで計量と計量的結合は、"アフィン"結合(平行移動)を曖昧さなしに決定する。ーそして実際、私の 現在の空間の問題への視点に従えば、これが最も基本的な幾何学の事実であるー 一方、文章のなかで与えられた提示に 従えば、与えられた計量のもとで平行移動によって任意に残るものは、線形の形式の $dφ$ である。 ]


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もし、我々が座標系を変更せずに、$g_{μν}$ を $λg_{μν}$ に置き換えるなら、量 $dγ^μ_ν$ は変化せず、$dγ_{μν}$ は係数$λ$と思われ、 そして、$dg_μν は λdg_μν + g_μν λ $となる。式 (6) は、そのとき、$dφ $が次式になることを示す。 \[ dφ +{dλ \over λ} = dφ + d(log λ) \] 決定されずに残るのは、それゆえ、測定単位の任意選択によって設定されるべき、線形形式 $Σφ_μ dx_μ$のなかの比例係数 ではなく、付加的な全微分のなかの本来的な任意の要素である。なぜなら、幾何学の解析的な表現、 \[ g_{μν} dx_μ dx_ν, φ_μ dx_μ \tag{8} \] は、次式と同じ足場に立つからである。 \[ λ.g_{μν} dx_μ dx_ν, φ_μ dx_μ + d(log λ) \tag{9} \] ここでλは、任意の正の位置の関数。それゆえ、次の成分をもつ反対称テンソルのなかには不変の重要性がある。 \[ F_{μν} = {∂φ_μ \over ∂x_ν} - {∂φ_ν \over ∂x_μ} \tag{10} \] すなわち、式、 \[ F_{μν} = dx_μδx_ν = {1\over 2} F_{μν}Δx_{μν} \] は、P 点でのふたつの任意の変位、dx と δx に双線形的に依存する。より正確には、これらふたつの変位によって定義する、 $Δx_{μν} = dx_μδx_ν - dx_νδx_μ$ を成分にもつ表面要素に線形に依存する。これまで開発した理論の特別な場合、 そのなかで原点の長さの単位を任意に選ぶ場合、空間の全点への平行移動によって通過した経路に独立であるような仕方で 自身変換されることを許す。ーこの特別な場合は、$φ_μ$が消滅するような方法で $g_{μν}$が絶対的に決定されるときに起きる。 $Γ^μ_{νρ}$ は、そのとき、Christoffel の3添字記号に外ならない。この場合の生起の必要十分な不変量の条件は、テンソル $F_{μν}$の恒等的消滅にある。


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このことは、自然に、世界幾何のなかの$φ_μ$が4元ポテンシャルであり、$F_{μν}$ が電磁場である、という解釈を示唆する。 なぜなら、電磁場のないことは、Einstein の理論の有効性の必要条件であり、それは、現在まで、重力だけの現象を説明する。 もし、この見方が受け入られるなら、電気的な量が、確定した座標系のなかのそれらの数による特徴付けが測定の単位の任意 選択に依存しない性質であるということが見られるだろう。事実、測定の単位と次元への疑問のなかに理論の新しい方向がある に違いない。これまで量を次のように話した、例えば2階のテンソルは、各座標系のなかで、任意の測定単位を選択した後、 もし単独量が行列$α_{μν}$を決めるならば、これらの数が、ふたつの任意の無限小変位の不変量の双線形型の係数をなすと。 \[ α_{μν} dx_μ dx_ν \tag{11} \] しかし、ここで我々はテンソルを次のように話す。もし、座標系を基づいて、$g_{μν}$ に含まれる比例係数の確定的な選択の後、 成分$α_{μν}$ は、座標変換において式(11)が不変に残り、しかし、$g_{μν}$が$λg_{μν}$に代ったとき $α_{μν}$は、 $λ^e α_{μν}$になるような方法で、曖昧さなく決定される。我々はそのとき、テンソルが重み $e$ をもつといい、又は、 線要素 $ds$ に次元 "長さ= l" を帰して、それが次元 $l^{(2e)}$ をもつという。重み 0 のテンソルだけが絶対的に不変である。 成分として $F_{μν}$をもつ場のテンソルは、この種類である。(10)によってそれは次の Maxwell 方程式の第1番目の系を満たす。 \[ {∂F_{νρ} \over ∂x_μ} + {∂F_{ρμ} \over ∂x_ν} + {∂F_{μν} \over ∂x_ρ} = 0 \] 一度、平行移動のアイデアが明確にされると、幾何とテンソルの計算は、困難なく打ち立てられる。


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(a) 測地線 ー 点 P とそこにベクトルが与えられるとき、P からこのベクトルの方向の測地線は、ベクトルをそれ自身 の方向に、それ自身に平行に、連続的に動かすことによって与えられる。適切なパラメタ$τ$を使って、測地線の微分方程式は、 \[ {d^2x_μ \over dτ^2} + Γ^μ_νρ {dx_ν \over dτ }{ dx_ρ \over dτ }= 0 \] (もちろん、それを最小の長さの線として特徴付けることはできない。なぜなら、曲線の長さをいうのは意味がないからである。)

(b) テンソル計算 ー 例えば、成分 $f_μ$ の1階重み0の共変テンソル場から微分によって2階のテンソル場を導くのに、 我々は、不変量 $f_μξ^μ$ をなす P 点の任意のベクトル$ξ^μ$の、座標 $x_μ$の P から、座標 $x_μ + dx_μ$の隣接点 P'へのそれ 自身に平行に沿うシフトの移動によって起きる(不変量の)無限小の変化の助けを呼ぶ。この変化に、我々は、次式を得る。 \[ {∂f_μ \over ∂x_ν} ξ^μ dx_ν + f_ρ dξ^ρ = ({∂f_μ \over ∂x_ν} - Γ^ρ_{μν} f_ρ) ξ^μ dx_ν \] 右辺の括弧のなかの量は、それゆえ、階数2重み0のテンソル場の成分である。それは、f から完全に不変の仕方で形成された。

(c) 曲率 ー Riemann 曲率テンソルに類似するものを構成するために、上で採用された点 P, P_1, P_2, P_12= P_21 によって作られる無限小の平行四辺形の図から開始しよう。もし、我々が点 P のベクトル ${\bf x}= ξ^μ$ を、それ自身に平行 P_1 へ、そしてそこから P_12 へ移動する。そして次には、Pから P_2 そして、そこから P_21 へ動かす。そのとき、P_12 と P21 は 一致するから、その点で得られたふたつのベクトルの差Δx を形成する意味がある。それらの成分について、我々は次を得る。 \[ Δξ^μ= ΔR^μ_ν ξ^ν \tag{12} \]


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ここで、$ΔR^μ_ν$ は、移動されたベクトル${\bf x}$ に独立であって、一方、ふたつの変位、PP_1= dx_μ, PP_2= δx_μ によって 定義される面積要素に線形に依存する。こうして、 \[ ΔR^μ_ν= R^μ_{νρσ} dx_ρ δx_σ = {1\over 2} R^μ_{νρσ} Δx_{ρσ} \] 曲率の成分 $R^μ_{νρσ}$ は、P の場所だけに依存し、次のふたつの対称性の特性をもつ。 (1)最後のふたつの添字ρとσの交換 において符号を変える。(2)もし、我々が$νρσ$の周期的交換をして適切な成分を足し込めば、結果は 0 になる。添字$μ$を桁下げ すると、我々は、階数4重み1の共変テンソルの成分 $R_{μνρσ}$ を得る。計算することさえなく、我々は、$R$ が不変の仕方で ふたつの部分に自然に分かれることをみる。 \[ R^μ_{νρσ} = P^μ_{νρσ} - {1\over 2} δ^μ_ν F_{ρσ} ( δ^μ_ν = 1 if μ= ν; = 0 if μ≠ν) \tag{13} \] その最初の $P^μ_{νρσ}$ は、添字ρσだけでなく、μνについても反対称である。そこにおいて、方程式 $F_{μν}= 0$ は、 電磁場のない空間を特徴付け、すなわち、そのなかで長さの運搬の問題が積分可能である。方程式、$P^μ_{νρσ}$ = 0 は、 (13) が示すように、重力場のない不変の条件である。すなわち、方向の運搬の問題が積分可能である。 Euclid 空間だけが、 電気と重力からともに自由な空間である。

(12) のような各ベクトル x にベクトルΔx を与えるのに、線形のコピーの最も単純な不変量は、その spur(拍車,刺激)" であり、 \[ {1\over n} ΔR^μ_μ \] このために、(13)によって、現在の場合に、次の式を得る。 \[ -{1\over 2} F_{ρσ} dx_ρδx_σ \] それは、既に出会ったものである。 $-{1\over 2} F_{ρσ}$ のような、テンソルの最も単純な不変量は、"その大きさの2乗" である。 \[ L= {1\over 4} F_{ρσ} F^{ρσ} \tag{14} \] L は明らかに重み-2の不変量である。なぜならば、F が重み2であるから。もし、$g$ を $g_{μν}$ の負の行列式として、さらに、 \[ dw = \sqrt{g} dx_0 dx_1 dx_2 dx_3 = \sqrt{g} dx \]


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が無限小の体積要素の体積のとき、Maxwell 理論が電気的な作用量に支配されることは知られるが、それがこの最も単純な不変量 の積分 $∫L d$ に等しい。選択する領域をどこまでも広げ、そして実に次の意味で支配される、$g_{μν}$と$φ_μ$のどの変化も、 世界領域の境界で消滅するなら、我々は次式をもつ。 \[ δ∫L dw = ∫(S^μ dφ_μ + T^{μν} δg_{μν}) dw \] ここで、 \[ S^μ= {1\over \sqrt{g}} {∂(\sqrt{g} F^{μν}) \over ∂x_ν} \] は、一般化された Maxwell 方程式の左辺 (その右辺は、4元電流の成分である。) である。そして、$T^{μν}$ は、電磁場のエネルギー 運動量テンソルをなす。L は重み-2の不変量であるから、そこにおいて、n 次元幾何学の体積要素は、重み ${1\over 2}n$ の不変量である から、その積分は、次元 $n= 4$ のときにだけ重要性がある。このように、我々の解釈において、Maxwell 理論の可能性は、4 次元の 場合に制限される。4 次元の世界のなかで、しかしながら、電磁気の作用の量は、純粋の数になる。にも関わらず、その量の大きさ 1 は、伝統的な c.g.s 系の単位のなかでは、観測によって試験されるべき物理的問題 (例として、電子)が我々の理論のもとに計算 されるまでは、確認できない。

いま、幾何学から物理に移り、我々は、先駆の Mie の理論(*)に従って、自然の全ての法則が確定的な積分的不変量、次の作用の量 の上にあると仮説しなければならない。 \[ ∫W dw= ∫W dx , W = W √g \] 現実の世界が、他の全ての可能な4次元計量的空間からそのために区別されるものは、その領域のどの部分においても含まれる作用量 が、問題の領域の境界において消滅するようなポテンシャル $g_{μν}, φ_μ$の変化に関して、停留値であると仮想されることによる というような方法で。

(*) Ann. d. Physik, 37, 39, 40, 1912-13.


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$W$ という作用の世界密度は、重み-2の不変量でなければならない。作用量は、どの場合も純粋な数である;このように我々の理論 は、同時に世界の原子的な構造を、現在の視点が最も基本的な重要性を与える作用量子までも、説明するのである。$W$ に対してでき る最も単純で自然な推測は、 \[ W= R^μ_{νρσ} R^{νρσ}_μ = |R|^2 \] このためには、我々はまた、(13)によって、次式をもつ。 \[ W= |P|^2 + 4 L \] (ここの多分、最初の項に電気的な項を加算するに伴う係数4、以外のどれも疑いをもつことはないであろう。) しかし、作用量の 特定化なしにさえ、我々は作用の原理からある一般的な結論を引き出すことができる。なぜなら、我々は、Hilbert, Lorentz, Einstein, Klein, そして著者(*)による研究に従って、物質(エネルギー運動量テンソル)保存の 4 つの法則が、座標の変換に関して 作用量の不変性 (4 つの任意関数を含む) に結合している。そのようにそれと同様な方法で、電気性の保存法則は、"測定による不変性" [(8)から、(9)への変化] と結合している。それは、ここで初めて出現する、5 番目の任意関数を導入する。後者自身が、エネルギー 運動量の原理と関係する仕方は、私には、これまで、確認の問題があり得る、純粋思索的な事項のなかにあるーここで出す理論に 有利である、最も強く一般的な議論であると思える。

考慮中の世界領域の限界において消滅するいかなる変化においても、我々は次式をもつ。 \[ δ∫W dx = ∫(W^{μν} δg_{μν} + w^μ δφ_μ) dx, (W^μν = W^νμ) \tag{15} \]

(*) Hilbert, "Die Grundlagen der Physik," Göttinger Nachrichten, 20 Nov., 1915; H. A. Lorentz in four papers in the Versl. K. Ak. van Wetensch., Amsterdam, 1915-16; A. Einstein, Berl. Ber., 1916, pp. 1111-6; F. Klein, Gött., Nachr., 25 Jan., 1918; H. Weyl, Ann. d. Physik, 54, 1917, pp. 121-5.


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自然の法則は、そのとき、次の式をとる。 \[ W^{μν} = 0, w^μ = 0 \tag{16} \] 前者は重力、後者は電磁場の法則と考えられる。W^μ_ν, w^μ は次によって定義される。 \[ W^μ_ν = \sqrt{g} W^μ_ν, w^μ= \sqrt{g}w^μ \] は、各、混合と反変の2階と1階のテンソルで重み-2である。不変量の特性に従い (16) の式系には、5 つの冗長がある。 これは、次の 5 つの不変恒等式で表され、それらの左辺側に残っている:ー \[ {∂w^μ \over ∂x_μ}≡ W^μ_μ \tag{17} \] \[ {∂W^μ_ν \over ∂x_μ} - Γ^α_{νβ} W^β_α≡ {1\over 2} F_{μν} w^μ \tag{18} \] 最初の式は、測定-不変からくる。なぜなら、もし、我々が (8)から(9)への変化に $log λ$ を位置$δρ$の無限小の関数とすれば、 我々は、次の変化を得る。 \[ δg_{μν}= g_{μν}δρ, δφ_μ= {∂(δρ)\over ∂x_μ}. \]

この変化について (15) が消滅しなければならない。次の段階として、もし、我々が、世界-連続体の無限小変形による座標変換 に関して作用量の不変性を使用するなら(*)、我々は次の恒等式を得る。 \[ {∂W^μ_ν \over ∂x_μ}- {1\over 2} {∂g_{αβ} \over ∂ x_ν} W^{αβ} + {1\over 2} ({∂w^μ \over ∂x_μ} φ_ν - Γ_{αν} w^α) ≡ 0 \] これは、(17) によって、${∂w^μ \over ∂x_μ}$ を $g_{αβ}W^{αβ}$ に置き換えると、(18) になる。

重力法則単独から、それゆえ、我々は、既に得た、 \[ {∂w^μ \over ∂x_μ}= 0 \tag{19} \]

(*) Weyl, Ann. d. Physik, 54, 1917, pp. 121-5; F. Klein, Gött. Nachr., 25 Jan., 1918.


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そして、電磁場単独の法則から、 \[ {∂ \over ∂x_μ} W^μ_ν - Γ^α_{νβ} W^β_α = 0 \tag{20} \] Maxwell の理論のなかでは $w^μ$ は、次の式をもち、 \[ w^μ ≡ {∂(√g F^μν) \over ∂x_ν} - s^μ, s^μ = √g s^μ \]

ここで、$s^μ$ は、4元電流を示す。この式の最初の部分は、(19)を満たすので、この式は、我々に電気の保存則を与える。 \[ {1\over √g} {∂(√g s^μ) \over ∂x_μ } = 0 \] 同様に、重力の Einstein の理論のなかで $W^μ_ν$ は、ふたつの項からなり、その最初の項は、式(20)を恒等的に満たし、 2番目の項は、エネルギー運動量のテンソルの $T^μ_ν$ に$√g$ を掛けた混合成分に等しい。こうして、(20)は、物質保存の 4つの法則を導く。もし、我々が作用量として式(14)を選ぶならば、我々の理論にも全く類似の状況が成立する。5つの保存原理 は、場の法則を "消去" する。すなわち、それらは、それらから 2 重の仕方で得られ、それらに5つの冗長があることを示す。

作用量に式 (14) をもって、Maxwell 方程式は、例えば:ー \[ {1\over √g} {∂(√g F^{μν})\over ∂x_ν} = s^μ \tag{21} \] そして電流は、 \[ s^μ= {1\over 4} (Rφ_μ + {∂R \over ∂x_μ}) \] ここで、R は、重み-1の不変量であり、$R^μ_{νρσ}$ を最初μ,ρに関して縮約し、つぎにν,σで縮約することから生起する。 もし、R* を$g_μν$ だけから得られる Riemann の曲率不変量とすると、計算は次を与える。


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\[ R= R* - {3\over √g} {∂(√g φ^μ)\over ∂x_μ }+ {3\over 2} φ_μ φ^μ \] 静的な場合、電磁ポテンシャルの空間成分は消え、全ての量が x_0 から独立し、(21) によって、我々は次を持たねばならない。 \[ R= R* + {3\over 2} φ_0 φ^0 = const \] しかし、R≠0 の世界領域のなかでは、我々は、長さの単位を適切に決めることによって、どこでも R= const = ±1 としてよい。 我々が時間によって変わる条件のもとで、唯一期待すべきことは、表面の R= 0 であり、それは明らかに何か特異な役割を果たす だろう。R は、(Einstein の重力理論のなかで R* で表わす) 作用の密度として使うことはできない。なぜなら、それは重み-2を 持たないからである。結論は、我々の理論は、Naxwell の電磁方程式を導くが、Einstein の重力方程式を導かないことである。 それらの代わりに次数4の微分方程式が現れる。しかし、実に Einstein の重力方程式が厳密に正しいということは、非常にあり そうもないことである、なぜなら、上記全てに、それらのなかに起きる重力定数が全く自然の他の定数とともに絵に入っていない。 例えば、電子の電荷と質量の重力半径は、電子自身の半径から大きさのオーダーが全く異なる(10^20又は10^40倍も小さい)のである(*)。

ここで、私の意図は、この理論の一般的な原理を単に短く展開しようとした(+)。

(*) Cf. Weyl, Ann. d. Physik, 54, 1917, p. 133.
(+) [2階微分までの g_μν、1階微分までのφ_μ を含まなければならないという要求のもとに、作用量として許される全ての W の 不変量を定義する問題は、R. Weitzenbröck (Sitzungsber. d. Akad. d. Wissensch. in Wien, 129, 1920; 130, 1921) によって 解かれた。もし、我々が変分 δ∫W dw を恒等的に消滅する不変量 W を省略するなら、後の R. Bach (Math. Zeitschrift., 9, 1921, pp. 125, and 189) による計算に残され、唯 3 項となった。この推測は、より注意深く W. Pauli (Physik. Zeitschrift., 20, 1919, pp. 457-67) と私自身によってテストされた; とくに我々は、これを基礎にこれまで継続し、物質粒子の運動方程式を導くまで進んだ。 上で (14)に選択された不変量は、それは最初の段階で障害に会ったものだが、自然のなかで役割を果たさないことの正反対にみえる。 Cf. "Raum, Zeit, Materie," ed. 4, §§ 35, 36, or Weyl, Physik. Zeitschr., 22, 1921, pp. 473-80. ]


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問題は、自然に、それ自身で開示するものである。(14) に与えられた作用量への特別な形式を基礎としたその理論の物理的な帰結を 導くことを、そしてこれらを経験と比較することを、電子の存在と原子のなかのこれまで説明できなかった奇妙さとを理論から導く ことができるかどうか検証することを(*)。その仕事は、数学的観点からは、極端に複雑なものである。なぜなら、もし、我々が自身 、線形の項だけに制限すると近似する解を得ることが不可能だからである; なぜなら、電子の内部では高次の項を無視するのは、 確かに許されず、これらを無視して得られた線形の方程式は、一般に解 0 だけをもつ。私は、これら全ての物事の大量を別の場所に 戻すことを提案する。

(*)[その間、私は全くこれらの Mie の理論によって挙げられた希望を捨てた;私は物質の問題が場の理論だけによって解かれるもの とは信じない。参考:この主題への私の論説、"Feld und Materie." Ann. d. Physik, 65, 1921, pp. 541-63.]


訳注:ドイツ文字(亀甲文字)は、全角文字で表した。例えば、作用量を表すテンソルに W, w は W, w と区別して使用している。