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付録2 非対称場の相対論


固有の主題をもって開始するまえに、私は、最初に場の方程式の系一般の "強さ" についての議論に進む。この議論は、ここに提示する特定の 理論から全く離れ、本来的な興味をもつ。我々の問題のより深い理解のためには、しかしながら、それは、ほとんど不可欠である。

場の方程式の系の"連立性"と"強さ"について

ある場の変数とそれらの場の方程式の系が与えられたとき、後者は、一般に場を完全に決定はしないだろう。ある自由なデータが場の方程式の解 には残されている。場の方程式の系に整合する自由なデータの数が少なければ少ないほど、系は、より"強い"。それから方程式を選択する何か他 の視点がなければ、人は"強い"系を弱い系よりも好むことは明らかである。この方程式の系の強さに尺度を見出すことが我々の目的である。 そのような尺度を定義することができ、それが我々に場の変数の異なる系の強さを数と種類に関して互いに比較することを可能にさえすることが 判明するだろう。

我々は、複雑さを増す例のなかに含まれる概念と方法を提示する。我々自身を 4 次元場に制限しながら、これらの例の過程のなかで、我々は、 順次、関係する概念を導入するであろう。

最初の例: スカラー波の方程式 (*)、 \[ Φ_{,11} + Φ_{,22} + Φ_{,33} - Φ_{,44} = 0 \] ここで系は、"ひとつ" の場の変数のただ "ひとつ" の微分方程式で構成されている。我々は$Φ$が点 P の周囲のテーラー級数展開されると仮定する (それには$Φ$の解析的性質を前提にする)。そのとき、その係数全体でその関数が完全に記述される。$n$ 次の係数($Φ$の点 P での $n$ 階微分)の個数は、 ${4・5...(n+3) \over 1・2...n } $(略号 $ \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} $) に等しく、もし微分方程式がそれらの間に何かの関係を含まなければ、 これらの全係数は自由に選択できる。方程式が2階だから、これらの関係は、方程式の $(n-2)$ 階微分によって見出される。我々は、こうして $n$ 次係数に $ \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} $ の条件を得る。自由に残された $n$ 次係数の数は、そのため、

(*) 以下ではコンマは、つねに偏微分を表す;このように、例えば、$Φ_{,i}= {∂Φ\over ∂x^i}, Φ_{,11}= {∂^2Φ \over ∂x^1∂x^1}$ 等。


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\[ ζ= \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} %ζ= (4, n) - (4, n-2) \tag{1} \] この数は、どの $n$ でも正だから、もし $n$ より小さい次数の全自由係数を固定すると、$n$ 次係数の条件は、すでに選んだ係数を変更せずにつねに満 たすことができる。

同様な論理が数個の方程式のある系に適用できる。もし、自由な $n$ 次係数の個数が 0 より小さくならないなら、我々はその方程式系を 絶対的に連立 という。我々は自身をそのような方程式系に限定する。物理学で使われる全ての系は、この種類である。

いま、式(1)を書き直し、我々は、次をもつ。 \[ \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} { (n-1)n \over (n+2)(n+3) } = \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} (1 - {ζ_1 \over n} + {ζ_2 \over n^2} +...) %= (4,n) (1 - z_1/n + z_2/n^2 +...) %(4,n-2)= (4,n) (n-1)n/(n+2)(n+3)= (4,n) (1 - z_1/n + z_2/n^2 +...) \] ここで、ζ_1= +6 である。

もし我々が $n$ の大きな値に制限するなら、括弧内部の ${ζ_2 \over n^2}$ 等の項は無視できる。そして、我々は(1)に対して近似的に次を得る \[ ζ 〜\begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} {ζ_1 \over n} = \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} {6 \over n} \] 我々は、$ζ_1$ を"自由係数"と呼び、我々の場合、値 6 をもつ。この係数が大きくなればなるほど、相応する方程式系は弱くなる。


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第2の例: 空の空間のマックスウェル方程式、 \[ Φ^{is}_{,s}= 0; \hspace{10mm} Φ_{ik,l} + Φ_{kl,i} + Φ_{li,k} = 0 \] $Φ^{ik}$ は、次を助けにして、反対称テンソルΦ_ik の共変添字を上にあげた結果である。 \[ η^{ik}= \begin{pmatrix} -1& \\ &-1& \\ & &-1& \\ & & &+1 \end{pmatrix}. \] これらは、6つの場の変数のための 4 + 4 の場の方程式である。これら8つの方程式の間にはふたつの恒等式がある。場の方程式の左辺を それぞれ、$G^i, H_{ikl}$ と書けば、恒等式は次の形式をもつ。 \[ G^i_{,i}≡ 0;  H_{ikl,m} - H_{klm,i} + H_{lmi,k} - H_{mik,l} = 0 \] この場合、我々は、次を推論する。

6つの場の成分のテーラー展開は、次の個数の $n$ 次係数を与える。 \[ 6 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} %6(4, n) \]


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これら $n$ 次係数の満たすべき条件は、1次の 8 つの場の方程式の $(n-1)$ 階微分によって得られる。それゆえ、これらの条件の個数は次である。 \[ 8 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} %8(4, n-1) \] これらの条件は、しかしながら、互いに独立でなく、8 つの方程式の間には、ふたつの 2次の恒等式が含まれる。それらは、$(n-2)$ 階の微分、 \[ 2 \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} %2(4, n-2) \] 個の代数的恒等式を場の方程式から得られた条件の間にもたらす。n 次の自由係数の個数は、それゆえ、 \[ ζ= 6 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} -[8 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} -2 \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix}] %z= 6(4,n) - [8(4,n-1) - 2(4,n-2)] \] $ζ$ は全ての n に正である。方程式系は、こうして "絶対的に連立" である。もし、我々が右辺の要素 $\begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} $ を抽出し、上と同じく大きな $n$ に拡張し、我々は近似的に、次を得る。 \[ ζ= \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} [6 - {8n \over (n+3)} + {2(n-1)n \over (n+2)(n+3)}]\\     〜 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} [6 - 8(1-{3 \over n}) + 2(1 - {6 \over n}) ] \\     〜 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} [0 + {12 \over n}] \] ここでは、$ζ_1 = 12$ である。これは、この方程式系がスカラー波の方程式の場合($ζ_1= 6$)より、いくらか場を強く決定しないことを示す。 両方の場合で、括弧内の定数項が消滅する状況は、4変数のどの関数も自由に残さない事実を表現している。


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3番目の例:空の空間への重力方程式。 我々は、それらを次の形式で書く。 \[ R_{ik}= 0; \hspace{10mm} g_{ik,l} - g_{sk} Γ^s_{il} - g_{is} Γ^s_{lk} = 0 \] $R_{ik}$ は、$Γ$ だけを含み、それらに関して 1 次である。我々は、ここで $g$ と$Γ$ を独立な場の変数として扱う。2番目の方程式は、 $Γ$ を1次の微分として扱うことが便利であることを示す。そのことは、次のテーラー展開、 \[ Γ= Γ0 + Γ1_s x^s + Γ2_{st} x^s x^t + ... \] がΓ0が1次、Γ1が2次などと我々が考えることを意味する [訳注:文字下数字は併置にした]。 従って、$R_{ik}$ は、2次と考えなければならない。これらの方程式の間には4つのビアンキ(Bianchi)の恒等式があり、 そして伝統的に採用された結果としては、それらは3次であると考えられる。

一般共変性の方程式系には、自由係数の数えあげにおいて、本質的に新しい次の状況が現れる:単に座標変換によって次々現れる場は、 その同じ場の単なる異なる再現であるとみなすべきであるという。それに相応して、$g_{ik}$ の $n$ 次係数の \[ 10 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} %10(4,n) \] の部分だけが本質的に異なる場を特徴付けるのを助ける。それゆえ、実際に場を決定する展開係数の個数は、我々がいま計算しなければ ならないある量だけ削減される。

次の $g_{ik}$ のための変換法則において、 \[ g^*_{ik}= {∂x^a \over ∂x^i*} {∂x^b \over ∂x^k*} g_{ab} \] $g_{ab}$ と $g*_{ik}$ とは、事実同じ場を表す。もしこの方程式を $x*$ に関して $n$ 回微分すると、人は、4つの $x$ の関数の$x*$に関する全ての $(n+1)$ 回微分が $g*$展開の2次係数に参入することを知る;すなわち、$4 \begin{pmatrix} 4 \\ n+1 \end{pmatrix} $ 個数は、 場を特徴付ける役割をもたないことが表れる。どの相対性の理論においても、人は、それゆえ、 $n$ 次係数の総個数から、 $4 \begin{pmatrix} 4 \\ n+1 \end{pmatrix} $ を、理論の一般共変性を計算にいれるために、差し引かなければならない。 $n$ 次自由係数の数え上げは、こうして次の結果を導く。


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10 個の $g_{ik}$ (0次微分量)と 40 個の$Γ^l_{ik}$ (1次微分量)は、いま導かれた修正の視点のなかで次の関係する $n$ 次の係数個数をもたらす。 \[ 10 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} +40 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} -4 \begin{pmatrix} 4 \\ n+1 \end{pmatrix} %10(4,n) + 40(4,n-1) - 4(4,n+1) \]

場の方程式(10個は2次、40個は1次)は、それらに次の個数の条件を与える。 \[ N= 10 \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} +40 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} %N= 10(4,n-2) + 40(4,n-1) \] 我々は、しかしながら、この数から N個の条件の間にある、次の恒等式の個数を差し引かなければならない。すなわち、(3次の) ビアンキの 恒等式からくる、 \[ 4 \begin{pmatrix} 4 \\ n-3 \end{pmatrix} %4(4,n-3) \] このゆえに、我々はここに次を見出す。 \[ [10 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} +40 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} -4 \begin{pmatrix} 4 \\ n+1 \end{pmatrix}] -[10 \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} +40 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix}] + 4 \begin{pmatrix} 4 \\ n-3 \end{pmatrix} %ζ= [10(4,n)+40(4,n-1)-4(4,n+1)] - [10(4,n-2)+40(4,n-1)] + 4(4,n-3) \] $ \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} $ の要素を再び抽出して、大きな $n$ においては近似的に、 \[ ζ〜 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} [0+{12\over n}] \ Thus \ ζ_1= 12. %z〜 (4,n) [0+12/n] こうして、z_1= 12. \] ここにまた、$ζ$ は、全ての $n$ に正であり、上述の定義の意味で系が絶対的連立である。空の空間の重力の方程式がそれらの場を、 電磁場の場合のマックスウェル方程式と、ちょうど同じ強さで決定するということは、驚くべきことである。


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相対性の場の理論

一般的注意

一般相対論の本質的な成果は、"慣性系" (又は複数の慣性系)の導入の必要から物理学を解放したことである。この概念は、次の理由で 不満足である:深い基礎づけなしに考え得る全てからある座標系を選び出すからである。そして、物理法則がそのような慣性系だけに 成立すると仮定する (例えば、慣性の法則とか、光速一定の法則)。そこから、物理の系のなかで、そのような空間に、物理的記述のな かの他の全ての要素から区別する、ある役割を割り当てられる。それは、それらから影響を受けるという逆の過程がないのに、全ての 過程のなかで決定的な役割を果たす。そのような理論が論理的に可能とはいえ、それは他方むしろ不満足である。ニュートンは、この 欠乏を知悉していたが、彼はまた、彼の時代の物理学にその他の道が開かれていないことも明瞭に理解していた。その後の物理学者の なかで、このことに注意を集中したのは、とりわけ、エルンスト・マッハ(Ernst Mach) であった。

ニュートン後の物理学の基礎の発展のなかで、どのような革新が慣性系の克服を可能にしたのであろうか? 全ての最初に、それは、 ファラデー(Faraday)とマックスウェル(Maxwell) による、場の概念の導入、そしてそれに続く彼らの電磁理論である。又はより正確に いえば、独立なそれ以上還元できない基本的概念としての場の導入である。現在判定できる限りにおいて、一般相対論は、場の理論 としてだけ理解できる。現実の世界が質点で構成されていて、それらの間に作用する力の影響のもとにそれらが運動するという見方に 人がとらわれていたとしたら、それは、開発できなかったであろう。ニュートンに等価原理から慣性質量と重力質量の等しいことを 説明しようと人が試みるなら、彼は必然的に次のような反論に答えなければならないであろう: 加速座標系に対して物体は、重力天体 に対してその表面に近くにいるのと同じ加速を経験するということは、確かに正しい。しかし、前者の場合、どこにその加速を作りだす 質量があるのだろうか? 相対性の理論が場の概念の独立性を前提にしていることは明らかである。


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一般相対論を確立することを可能にした数学的知識において我々は、ガウス(Gauss)とリーマン(Riemann)の幾何学的研究のおかげを被 っている。前者は、彼の表面理論のなかで3次元ユークリッド空間に埋め込まれた表面の計量の特性を研究し、そして、これらの特性が そのなかに表面が埋め込まれている空間とその関係を参照するのではなく、表面自身だけを参照する概念によって記述できることを示した。 一般に、表面には特別な座標系がないから、この研究は一般座標系に関係する量の表現へ向かって初めて導いた。リーマンは、この表面 の2次元の理論を任意の数の次元の空間に拡張した(リーマン計量をもつ空間、それは、2 階の対称テンソル場によって特徴付けられる)。 この称賛すべき研究のなかで彼は、高次元計量空間の曲率の一般的表現を見出した。

いま、概観した一般相対性の設立に不可欠な数学的理論の発展は、リーマン計量が一般相対論とこのような慣性の忌避が基礎とする基本 的概念とみなされるという結果をもった。のちに、しかしながら、レビ・チビタ(Levi-Cività) は、慣性系を避けることを可能にし た理論の要素が、無限小の移動場 Γ^l_ik であると正しく指摘した。それを定義する計量、又は対称テンソル場 g_ik は、移動場を決定 する限りの単に間接的に慣性系の忌避に関連する。以下の考察は、これを明確にするであろう。

ひとつの慣性系から他のものへの移動は、線形の変換によって決定される(特定の種類の)。もし、ふたつの任意の距離の点 $P_1$ と $P_2$ とに、それぞれ、ベクトル $A1^i$ と $A2^i$ があり、その対応する成分が互いに等しい($A1^i= A2^i$)、[訳注:文字下数字は併置にした] この関係は、許される変換のなかで保存される。もし、次の変換の式のなかで、 \[ A^i* = {∂x^i* \over ∂x^a} A^a \] 係数${∂x^i* \over ∂x^a}$ が $x^a$ から独立なら、ベクトルの成分の変換式は、場所に依らない。異なる場所 $P_1, P_2$ にあるベクトルの成分の 等しさは、慣性系に制限すれば、不変性の関係である。しかしながら、もし、慣性系の概念を捨て、任意の連続変換を許し、${∂x^i* \over ∂x^a}$ が $x^a$ に依存するようにすると、ふたつの異なる空間点に添付されるベクトルの成分の等しさはその不変性の意味を失い、異なる点の ベクトルは、このようにもはや直接に比較できない。この事実のため、一般相対論では、もはや単純な微分で与えるテンソルから新テンソル を作れず、そのような理論のなかでは全体として不変性の形成がずっと少ない。この不足は、無限小移動場の導入によって治療される。 それは、無限小近傍点でのベクトルの比較を可能にするから、慣性系を置き換える。この概念から開始し我々は、後続において注意深く 目的に要不要を調合して、相対性の場の理論を提示する。


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無限小移動場Γ
点 P (座標 $x^t$)の反変ベクトル $A^i$ に無限小近傍点 ($x^t+dx^t$) のベクトル $A^i+δA^i$ を次の双線形表式によって関係させる。

\[ δA^i= -Γ^i_{st} A^s dx^t \tag{2} \]

ここで、$Γ$は、$x$ の関数。他方、もし、$A$ がベクトル場なら、($x^t+dx^t$)での の ($A^i$) の成分は、$A^i+dA^i$ に等しく、そこでは(*)、 \[ dA^i= A^i_{,t} dx^t \] これらふたつのベクトルの隣接点 ($x^t+dx^t$)での違いは、そのとき、それ自身、次のベクトルであり、 \[ (A^i_{,t} + A^s Γ^i_{st})dx^i≡ A^i_t dx^t \]

ふたつの無限小接近点のベクトル場の成分を結合する。それが以前、慣性系が与えたこの結合を結果するから、移動場は慣性系を置き換える。 括弧内の表式は、$A^i_t$ は端的にいって、テンソルである。

$A^i_t$ のテンソル特性は、 Γの変換法則を決定する。我々は、最初に次の式をもつ。 \[ A^i_k*= {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^{k*}} A^i_k \]

両方の座標系に同じ添字を使用するのは、それが対応する成分を参照することを意味しない。すなわち、$x$ と $x*$ における i は、 独立に 1 から 4 までを渡る。いくらかの実例の後に、この表記が方程式をかなりより透明にする。我々は、いま、次の置き換えをする。


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$A^i_k*$を $A^{i*}_{,k*} + A^{s*} Γ^i_{sk}*$ によって、
$A^i_k $を $A^i_{,k} + A^s Γ^i_{sk}$ によって、
そして、再び、$A^{i*}$ を ${∂x^{i*} \over ∂x^i A^i}$、 ${∂ \over ∂x^{k*}}$ を ${∂x^k \over ∂x^{k*}}.{∂ \over ∂x^k}$ によって、置き換える。

これは、$Γ*$ から出発して、元の系 $x$ に関して、元の座標系の量とその微分だけを含む方程式を導く。この方程式を$Γ*$ について解き、 人は望みの変換式を得る。 \[ Γ^i_{kl}*= {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^{k*}} {∂x^l \over ∂x^{l*}} Γ^i_{kl} - {∂^2x^{i*} \over ∂x^s∂x^t} {∂x^s \over ∂x^{k*}} {∂x^t \over ∂x^{l*}} \tag{3} \] ここで、(右辺の)第2項は、いくらか単純化でき、 \[ {∂^2x^{i*} \over ∂x^s∂x^t} {∂x^s \over ∂x^{k*}} {∂x^t \over ∂x^{l*}}\\ = {∂ \over ∂x^{l*}} ({∂x^{i*} \over ∂x^s}) {∂x^s \over ∂x^{k*}} = -{∂ \over ∂x^{l*}} ({∂x^{i*} \over ∂x^{k*}})^.. + {∂x^{i*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{l*}}\\ = {∂x^{i*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{l*}} \tag{3a} \] 我々は、そのような量を擬テンソルという。線形変換のもとではテンソルのように変換されるが、一方、非線型変換では、 変換前の式に含まれず、変換係数にだけ依存する項が追加される。

(*)前と同じく、",t" は、普通の微分 ${∂ \over ∂x^t}$ を示す。


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移動場への注意

1. 下の添字を位置変えした量 $〜Γ^i_{kl} (≡Γ^i_{lk})$ も、(3)に従って変換するから移動場と同様である。

2. 下の添字 $k*, l*$ に関して式(3)の対称化と反対称化によって、次のふたつの式を得る。[訳注:下添字下線付を$Γ'$で下添字逆ハット付を$Γ"$で示す。] \[ \begin{align} Γ'^i_{kl}*&= ({1\over 2} (Γ^i_{kl}* + Γ^i_{lk}*)) = {∂x^i* \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^k*} {∂x^l \over ∂x^l*} Γ'^i_{kl} - {∂^2x^i* \over ∂x^s∂x^t} {∂x^s \over ∂x^k*} {∂x^t \over ∂x^l*} \\ Γ"^i_{kl}*&= ({1\over 2} (Γ^i_{kl}* - Γ^i_{lk}*)) = {∂x^i* \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^k*} {∂x^l \over ∂x^l*} Γ"^i_{kl} \end{align} \] このゆえに、ふたつの(対称と反対称性の) $Γ^i_{kl}$ の構成要素は、互いに独立に変換される。すなわち、混合なしに。このようにそれらは、 変換法則の視点からは独立な量として現れる。2 番目の式は、$Γ"^i_{kl}$ がテンソルとして変換されることを示す。変換群の視点から、これら ふたつの構成要素を単一の量に加算的に結合することは、最初、不自然にみえる。

3. 他方、Γの下の添字は、式(2)を定義するにおいては、下の添字に関して対称性の条件によってΓを制限することを強制する理由がないように、 全く違った役割を果たしている。それにも関わらず、もしそれがそうであれば、それは純粋な重力場の理論を導く。もし、しかしながら、 Γを対称性に制限する条件の下に置かなかなければ、重力の法則の一般化に到達し、それが私には自然なことに思える。


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曲率テンソル

$Γ$場自身はテンソルの性質をもたないにも関わらず、それは、あるテンソルの存在を意味する。後者は、(2)に従って、ベクトル $A^i$ を表示して、 そして、無限小の2次元表面要素の周囲に沿って、一巡のその変化を計算することによって、最も容易に得られる。この変化は、ベクトルの性質 をもつ。

$x0^t$ を固定点の座標とし、$x^t$ を周囲の他の点たちとする。そのとき、$ξ^t= x^t - x0^t$ は、全ての周囲の点において小さく、大きさのオーダー の定義の基礎に使うことができる。

積分 $\oint δA^i$ は、そのとき計算すべき、より明示的な記述では、 \[ - \oint \underline{Γ^i_{st}} \ \underline{A^s} dx^t または、 - \oint \underline{Γ^i_{st}} \ \underline{A^s} dξ^t \] 被積分のなかの下線を付けた量は、それらが円周の遂次点に (そして、初期点 $ξ^i=0$ ではなく) 取られるべきことを示す。

我々は、円周の任意点 $ξ^t$ における $\underline{A^i}$ の最低の近似によって最初に計算する。最低の近似は、積分のなかの、開区間に広げられた $\underline{Γ^i_{st}}$と$\underline{A^s}$ を積分の初期点($ξ^t= 0$)の$Γ^i_{st}$と$A^s$に置き換えることである。積分は、そのとき、次を与える。 \[ \underline{A^i}= A^i - Γ^i_{st} A^s ∫dξ^t = A^i - Γ^i_{st} A^s ξ^t \] ここで無視されたものは、ξのなかの2次以上の項である。同じ近似ですぐさま、次が得られる。 \[ \underline{Γ^i_{st}}= Γ^i_{st} + Γ^i_{st,r} ξ^r \] これらの表式を上述の積分にいれて、適切な総和の添字の選択をして、最初に次を得る。 \[ - \oint (Γ^i_{st} + Γ^i_{st,q} ξ^q) (A^s - Γ^s_{pq} A^p ξ^q) dξ^t \] ここで、全ての量は、$ξ$ を例外として除き、積分初期点のそれをとらねばならない。我々はそのとき、次を見出す。 \[ -Γ^i_{st} A^s \oint dξ^t - Γ^i_{st},q A^s \oint ξ^q dξ^t + Γ^i_{st} Γ^s_{pq} A^p \oint ξ^q dξ^t \] ここで、積分は閉じた円周に渡るように拡張されている。(最初の項は、その積分の消滅により消滅する。) $(ξ)^2$ に比例する項は、高次であるから 省略される。他のふたつの項は、複合され、次になる。 \[ [-Γ^i_{pt,q} + Γ^i_{st} Γ^s_{pq}] A^p \oint ξ^q dξ^t \] これは、円周に沿う移動後のベクトル $A^i$ の変化 $ΔA^i$ である。我々は次をもつ。 \[ \oint ξ^q dξ^t = \oint d(ξ^q ξ^t) - \oint ξ^t dξ^q = - \oint ξ^t dξ^q \]


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この積分はこのように $t, q$ に反対称で、加えてテンソル性をもつ。それを $f"^{tq}$ と書く。もし、$f^{tg}$ が任意のテンソルなら、$ΔA^i$の ベクトル性は、最後の1つ前のブラケット表現 ($f"^{tq}$) のテンソル性を意味する。そのように、我々は $t$ と $q$ に反対称ならブラケット表現 のテンソル性だけを推量できる。これは、次の曲率テンソル、 \[ R^i_{klm} = Γ^i_{kl,m} - Γ^i_{km,l} - Γ^i_{sl} Γ^s_{km} + Γ^i_{sm} Γ^s_{kl} \tag{4} \] の全ての添字の位置は、これ以降、固定される。$i, m$ に関して縮約して、縮約曲率テンソルを得る。 \[ R_{ik} = Γ^s_{ik,s} - Γ^s_{is,k} - Γ^s_{it} Γ^t_{sk} + Γ^s_{ik} Γ^t_{st} \tag{4a} \]
λ-変換
曲率は、以降で重要な、ある特性をもつ。移動場 $Γ$ に新しい $Γ*$ を次の式に従って定義できる。 \[ Γ^l_{ik}*= Γ^l_{ik} + δ^l_i λ_{,k} \tag{5} \] ここで、$λ$は座標の任意の関数であり、$δ^l_i$ は、クロネッカー(Kronecker) テンソルである("$λ$-変換")。 もし、$Γ*$ を(5)の右辺に置き換えて $R^i_{klm} (Γ*)$ を形成するなら、$λ$は打ち消され次を得る。 \[ R^i_{klm}(Γ*)= R^i_{klm}(Γ) R_{ik}(Γ*)= R_{ik}(Γ) \tag{6} \] 曲率は、$λ$-変換のもとに不変である("$λ$-不変性")。 結果的に、曲率テンソルに $Γ$ だけを含む理論は、$Γ$場を完全には決定できず、$λ$の 関数までだけであり、それは任意に残される。そのような理論では、$Γ$ と $Γ*$ は、同じ場の再現とみなすべきで、まるで、$Γ*$ は、$Γ$ から 単に座標変換によって得られるかのように。

ここでいう価値のあることとして、座標変換と違って、$λ$-変換は、$i, k$ に対称な $Γ$ から非対称な $Γ*$ を作りだすことである。 $Γ$の対称性の条件は、そのような理論では、その客観的重要性を失う。

主要な$λ$-不変性の重要性は、場の方程式系の"強さ"に影響をもつことである。我々が後に見るように。


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"交換不変性"の要求
非対称場の導入は、次のような困難に出会う。もし、$Γ^l_{ik}$ が移動場なら$〜Γ^l_{ik}= (= Γ^i_{ki})$ もそうである。もし、$g_{ik}$ が テンソルなら、$〜g_{ik} (= g_{ki})$もそうである。これは、その間に相対性の原理だけでは選択できない、数多くの共変テンソル形成を導く。 我々は、ひとつの例をもってこの困難を表示し、それがどのように自然な仕方で克服できるかを示す。

対称場の理論では、次のテンソル、 \[ (W_{ikl}≡) g_{ik,l} - g_{sk} Γ^s_{il} - g_{is} Γ^s_{lk} \] が重要な役割を果たす。もし、それをゼロに等しくすると、$Γ$を $g$ によって表すことを許す式を得る。すなわち、$Γ$を消すためである。 まず、先に証明したように (1) $A^i_t≡ A^i_{,t} + A^sΓ^i_{st}$ がテンソルである事実から開始する。そして、(2)任意の反変テンソルが $Σ_t A^i_(t) B^k_(t)$ の形式で表すことができる。場 g と Γ がもはや対称でなくても上の表式がテンソル性をもつことは、困難なく証明できる。

しかし、後者の場合、もし、例えば最後の項の$Γ^s_{lk}$ が交換され、すなわち、$Γ^s_{kl}$に置き換っても、テンソル性は、失われない。 (これは、$g_{ik}(Γ^s_{kl} - Γ^s_{lk})$ がテンソルである事実からくる。) 他の形成法があり、全く単純とはいえないが、それはテンソル 性を保存し、上の表式の非対称の場合への拡張とみなされる。結果的に、もし $g$ と $Γ$ の関係の非対称場への拡張を望むなら、 任意選択を含むと思われる上の表式を 0 に等しく設定することで得られる。

しかし、上の形成は他の可能な形成から区別する特性をもつ。もし、同時に $g_{ik}$ を $〜g_{ik}$ に、$Γ^l_{ik}$ を$〜Γ^l_{ik}$ にそして、 添字 $i, k$ を交換すれば、それは、それ自身に変換される; それは、添字 $i, k$ に関しての "交換対称性" である。この表式を 0 と置く ことによって得られる式は、"交換不変" である。もし、$g$ と $Γ$ が対称なら、この条件は、もちろん、また満足される; それは、 場の量が対称であることの条件の一般化である。

我々は、非対称場の方程式に、それらが交換不変性であることを仮定する。私は、この仮定は、物理的にいって、正と負の電気性が 対称に物理法則に入ることの要請に対応する。

(4a) を眺めれば、$R_{ik}$ が完全には交換対称でないことを示す。交換による変換は、次になるから。 \[ R_{ik}*= Γ^s_{ik,s} - Γ^s_{sk,i} - Γ^s_{it} Γ^t_{sk} + Γ^s_{ik} Γ^t_{ts} \tag{4b} \] この状況が、交換不変の場の方程式を打ち立てようとする努力のなかで遭遇する困難の基礎をなしている。


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擬テンソル $U^l_{ik}$

交換対称テンソルは、R_ik から、Γ^l_ik の代わりに何か違った擬テンソル U^l_ik の導入によって、形成できることが明らかになる。 (4a) のふたつのΓに線形な項は、形式的に結合してひとつにできる。Γ^s_ik,s - Γ^s_is,k を (Γ^s_ik - Γ^t_it δ^s_k) によって 置き換え、新しい擬テンソル U^l_ik を次の式で定義して、 \[ U^l_{ik}≡ Γ^l_{ik} - Γ^t_{it} δ^l_k \tag{7} \] 一方、 \[ U^t_{it}= -3Γ^t_{it} \] (7) から $k, l$ に関する縮約によって、$U$ による $Γ$ についての次の表式を得る。 \[ Γ^l_{ik}= U^l_{ik} - {1 \over 3} U^t_{it} δ^l_k \tag{7a} \] これらを (4a) に代入して、 \[ S_{ik}≡ U^s_{ik,s} - U^s_{it} U^t_{sk} + {1\over 3} U^s_{is} U^t_{tk} \tag{8} \] が縮約した曲率テンソルの $U$ による表式であることを見出す。この式は、しかしながら、交換対称である。 擬テンソル $U$ が非対称場の理論において、非常に価値があるのは、この事実のためである。

$U$ の$λ$-変換 もし、(5)で $Γ$ を $U$ に置き換えると、簡単な計算で次を得る。 \[ U^l_{ik}*= U^l_{ik} + (δ^l_i λ_{,k} - δ^l_k λ_{,i}) \tag{9} \] この式が $U$ の$λ$-変換を定義する。(8) は、この変換において、不変である ($S_{ik}(U*)= S_{ik}(U)$)。

U の変換法則 もし、(3) と (3a) で $Γ$ を $U$ に置き換えると、(7) の助けによって我々は、次を得る。 \[ U^l_{ik}*= {∂x^l* \over ∂x^l} {∂x^i \over ∂x^i*} {∂x^k \over ∂x^k*} U^l_{ik} + {∂x^l* \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^i*∂x^k*} - δ^l*_k*{∂x^t* \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^i*∂x^t*} \tag{10} \]


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再び注意すれば、両方の系を参照する添字は、たとえ同じ文字が使用されても、1 から 4 まで全てを互いに独立にを仮定する。 この式に関していう価値のあることは、最後の項のおかげで、i,k に関して交換対称でないことである。 この奇妙な状況は、この変換が 交換対称座標変換と$λ$-変換の組合せであるとみなせることを示せば、明らかになる。これを見るために、我々は、最初に最後の項を次の式に書く。 \[ -{1\over 2}[δ^{l*}_{k*} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{t*}}+δ^{l*}_{i*}{∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{t*}}]\\ +{1\over 2}[δ^{l*}_{i*} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{t*}}-δ^{l*}_{k*}{∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{t*}}] \tag{10a} \] これらふたつの式の最初は、交換対称である。(10)の右辺の最初の2項を結合して K^l_ik* で表す。次のとき、どうなるかをいま考えよう。 もし、次の変換が、 \[ U^l_{ik}*= K^l_{ik}* \] 次の$λ$-変換に後続されていたら、 \[ U^l_{ik}**= U^l_{ik}* + (δ^{l*}_{i*} λ_{,k*} - δ^{l*}_{k*} λ_{,i*}) \] 結合は、次をもたらす。 \[ U^l_{ik}**= K^l_{ik}* + (δ^{l*}_{i*} λ_{,k*} - δ^{l*}_{k*} λ_{,i*}) \] これは、(10a)の第2項が $δ^{l*}_{i*} λ_{,k*} - δ^{l*}_{k*} λ_{,i*}$ の式に持ち込まれるなら、(10)が、そのような結合とみなすことができること を意味する。そのためには、$λ$ が次のように存在することを示せば十分である。 \[ {1 \over 2} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{t*}} = λ_{,k*} \\ (and \ {1 \over 2} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{t*}} = λ_{,i*} ) \tag{11} \]
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これまで仮説的な方程式の左辺を変換するために、我々は最初に、${∂x^{t*} \over ∂x^s}$ を逆変換の係数、${∂x^a \over ∂x^{b*}}$ によって表さなくてはならない。一方、 \[ {∂x^p \over ∂x^t*}{∂x^t* \over ∂x^s} = δ^p_s \tag{a} \] 他方、 \[ {∂x^p \over ∂x^{t*}} V^s_{t*}= {∂x^p \over ∂x^{t*}} {∂D \over ∂({∂x^s \over ∂x^t})}= Dδ^p_s \] ここで、$V^s_{t*}$ は、${∂x^s \over ∂x^{t*}}$ の共通因数を示し、 逆に、行列式 $D= |{∂x^a \over ∂x^{b*}}|$ の ${∂x^s \over ∂x^{t*}}$ にする微分として表される。 それゆえ、我々はまた、次をもつ。 \[ {∂x^p \over ∂x^{t*}} {∂logD \over ∂({∂x^s \over ∂x^{t*}})}= δ^p_s \tag{b} \] (a) と (b) から次が出る。 \[ {∂x^{t*} \over ∂x^s} = {∂logD \over ∂({∂x^s \over ∂x^{t*}})} \]

この関係を理由にして、(11)の左辺は、次のように書ける。 \[ {1\over 2} {∂logD \over ∂({∂x^s \over ∂x^{t*}})} ({∂x^s \over ∂x^{t*}})_{,k*} = {1\over 2} {∂logD \over ∂x^{k*}} \] これは、(11)が確かに次の式によって満足されることを意味する。 \[ λ={1\over 2} log D \] これは、変換 (10) が次の交換対称変換 \[ U^l_{ik}*= {∂x^{l*} \over ∂x^l}{∂x^i \over ∂x^{i*}}{∂x^k \over ∂x^{k*}} U^l_{ik} + {∂x^{l*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{k*}} - {1 \over 2} [ δ^{l*}_{k*} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{t*}} + δ^{l*}_{i*} {∂x^{t*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{t*}} ] \tag{10b} \] と$λ$-変換の結合とみなせることを証明する。(10b) は、こうして $U$ の変換式として (10)の代わりをする。 表現の形式を変化するだけのどのような $U$ 場の変換も (10b) に従う座標変換と$λ$-変換との結合として表される。


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変分原理と場の方程式
変分原理からの場の方程式の導出には結果の方程式系の連立性が保証されていることと、一般共変性に結合した恒等式、 "ビアンキの恒等式"が保存則だけでなく、系統的な仕方で結果するという利点がある。

変化を受ける積分は、被積分関数$h$スカラー密度を必要とする。我々は、そのような密度を $R_{ik}$ 又は $S_{ik}$ から構成する。最も単純な過程は、 $Γ$ 又は $U$ それぞれに加えて重み 1 の共変テンソル密度$g^{ik}$を導入することである。次を設定して、 \[ h=g^{ik} R_{ik} (= g^{ik} S_{ik}) \tag{12} \] $g^{ik}$ への変換法則は、次でなければならない。 \[ g^{ik}*= {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k* \over ∂x^k} g^{ik} |{∂x^t \over ∂x^{t*}}| \tag{13} \] ここで、再び、異なる座標系を参照する添字は、たとえ同じ文字を使っても、互いに独立に扱われる。我々は、確かに次を得る。 \[ ∫h* dτ*= \int {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k* \over ∂x^k} g^{ik} |{∂x^t \over ∂x^{t*}}|・ {∂x^s \over ∂x^{i*}}{∂x^t \over ∂x^{k*}} S_{st} |{∂x^{r*} \over ∂x^r}|dτ \\ = \int hdτ \] すなわち、積分は、変換不変量である。さらには、積分は、$λ$-変換 (5) 又は (9) に関しても不変量である。なぜなら、$R_{ik}$ は、$Γ$ 又は $U$ で表現されるから。そして、このゆえ、$h$ もまた、$λ$-変換に関して不変量である。このことから、$∫hdτ$の変分によって導かれる場の方程式 もまた、座標系と$λ$-変換に関して共変である。

しかし、我々はまた、場の方程式がふたつの場 $g, Γ $又は $g, U$ に関して交換不変であることを仮定する。これは、もし、$h$ が交換不変 であるなら保証される。我々は、$R_{ik}$ がもし、$U$ で表されたとき交換対称であり、Γで表されたときそうでないことを見た。 このゆえ、$h$ は、もし我々が場を $g$ と $U$ ($Γ$でなく、) を場の変数として表すなら、そのときだけ交換不変である。 その場合、我々は、$∫hdτ$から場の変数の変分によって導かれる場の方程式が交換不変であることが最初から保証されるのである。

$h$(式(12)と(8))の $g$ と $U$ に関する変分によって、我々は次を見出す、 \[ δh= S_{ik} δg^{ik} - R^{ik}_l δU^l_{ik} + (g^{ik} δU^s_{ik})_{,s}\\ ここで、S_{ik}= U^s_{ik,s} - U^s_{it} U^t_{sk} + {1 \over 3} U^s_{is} U^t_{tk}, \\ R^{ik}_l= g^{ik}_{,l} + g^{sk} (U^i_{sl} - {1 \over 3} U^t_{st} δ^i_l) + g^{is} (U^k_{ls} - {1 \over 3} U^t_{ts} δ^k_l) \tag{14} \]


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場の方程式

我々の変分原理は、 \[ δ(∫hdτ)= 0 \tag{15} \] g^ik と U^l_ik とは、独立に変化されるとし、それらの変数は、積分の領域の境界では消滅するとする。変分法は、最初に次を与える。 \[ ∫δhdτ= 0 \] もし、(14)に与えられた式がここに代入されるなら、$δh$の表式の最後の項は、$δU^l_{ik}$ が境界で消滅するから、何も貢献しない。 このゆえに、我々は、場の方程式を得る。 \[ S_{ik}= 0 \tag{16a} \] R^{ik}_l= 0 \tag{16b} \] それらは、ーすでに変分原理の選択から明らかであるようにー 座標系と$λ$-変換に不変である。そして交換不変である。


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恒等式

これら、場の方程式は、互いに独立ではない。それらの間には4+1の恒等式が存在する。すなわち、それらの4+1の方程式の左辺は、 $g-U$ 場が、場の方程式を満たすかどうかに関わらず成立する。

これらの恒等式は、$∫hdτ$ が座標系と$λ$-変換とに関して不変である事実からよく知られた方法で得られる。

なぜなら、$∫hdτ$ の不変性から、もし$δh$ に、無限小の座標変換又は、無限小の$λ$-変換によって生起する $δg$ と $δU$ を挿入するなら、 その変分が恒等的に消滅するからである。

無限小座標変換は、次によって記述され、 \[ x^{i*} - x^i + ξ^i \tag{17} \] ここで、$ξ^i$ は、任意の無限小ベクトルである。我々はいま、$δg^{ik}$ と $δU^l_{ik}$ とを、$ξ^i$ によって式(13)と(10b)によって 表さなければならない。(17)のために、次を置き換えなければばらない。 \[ {∂x^{a*} \over ∂x^b} を δ^a_b + ξ^a_{,b} によって、\\ {∂x^a \over ∂x^{b*}} を δ^a_b - ξ^a_{,b} によって、 \] そして、$ξ$の 1 次より高次の項を全て除外しなければならない。

こうして、次を得る。 \[ δg^{ik} (= g^{ik}* - g^{ik}) = g^{sk} ξ^i_{,s} + g^{is} ξ^k_{,s} - g^{ik} ξ^s_{,s} + [- g^{ik}_{,s} ξ^s ] \tag{13a} \] \[ δU^l_{ik}(= U^l_{ik}*- U^l_{ik})= U^s_{ik} ξ^l_{,s} - U^l_{sk} ξ^s_{,i} - U^l_{is} ξ^s_{,k} + ξ^l_{,ik} + [- U^l_{ik,s} ξ^s ] \tag{10c} \]


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ここで、次を注意する。変換の表式は、連続体の同じ場所の 新しい場の変数値を与える。上に示す計算は、最初に、括弧内の値なしで $δg^{ik}$ と $δU^l_{ik}$ との表式を示す。他方、変分計算における $δg^{ik}$ と$δU^l_{ik}$ の式は、座標値の固定値あたり の変分を示す。 これらの値を得るためには括弧のなかの項を加算しなければならない。

(14)にこれらの"変換変分" $δg, δU$ を代入すれば、積分、$∫hdτ$ の変分は、恒等的に消滅する。もしさらに、$ξ^i$ を積分領域の境界で それらの1次微分とともに消滅するように選択すれば、(14)の最後の項は、貢献しなくなり、次の積分、 \[ \int (S_{ik} δg^{ik} - R^{ik}_l δU^l_{ik}) dτ \] は、もし、$δg^{ik}$ と $δU^l_{ik}$ を (13a) と (10c) によって置き換えるなら、それゆえ、恒等的に消滅する。一方、この積分は線形に一様に $ξ^i$ とその1次微分に依存するから、それは、次の形式に持ち込める。 \[ ∫M_i ξ^i dτ \] 部分の積分を繰り返すことによって。ここで、$M_i$ は、よく知られた表式($S_{ik}$ の1次のオーダーで、$R^{ik}_l$の2次)である。これから、次の 恒等式がくる。 \[ M_i ≡0 \tag{18} \] 場の方程式の $S_{ik}$ と $R^{ik}_l$ の左辺には4つの恒等式があり、それらは、ビアンキの恒等式に対応している。以前に導入された用語に従って これらの恒等式は3次のオーダーである。


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5番目の恒等式は、無限小λ-変換に関する積分 ∫hdτ の不変性に対応する。ここで、我々は(14)に次を代入しなければならない。 \[ δg^{ik} = 0, \hspace{10mm} δU^l_{ik}= δ^l_i λ_{,k} - δ^l_k λ_{,i} \] ここで、$λ$は無限小で、積分領域の境界で消滅する。最初に次を得る。 \[ \int R^{ik}_l (δ^li λ_{,k} - δ^l_k λ_{,i} ) dτ= 0 \] または、積分後に部分的に、 \[ 2 \int R^{(is)}_{s,i} λ dτ= 0 \] (ここで、一般的に $R^{(ik)}_l = {1\over 2} (R^{ik}_l - R^{ki}_l)$。)

これは、欲した恒等式を得る。 \[ R^{(is)}_{s,i}≡ 0 \tag{19} \] 我々の用語ではこれは2次のオーダーの恒等式である。$R^{(is)}_s$ に関して我々は、(14) から真直な計算によって次を得る。 \[ R^{(is)}_s≡ g^{(is)}_{,s} \tag{19a} \] もし、場の方程式 (16b) が満たされるならば、我々は次を得る。 \[ g^{(is)}_{,s}= 0 \tag{16c} \]


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物理的解釈への注意 電磁場のマックスウェル理論との比較は、(16c) が磁気流密度の消滅を表すという解釈を示唆する。もしこれが受容 されるなら、どの表式が電流密度を示すかが明らかになる。次の設定によって、テンソル $g^{ik}$ をテンソル密度$g^{ik}$ に割り当てることができ、 \[ g^{ik} = g^{ik} \sqrt{-|g^{st}|} \tag{20} \] ここで共変テンソル $g^{ik}$ は、次の式によって反変のそれと関係している。 \[ g^{is} g^{ks} = δ^k_i \tag{21} \] これらふたつの式から、我々は、次を得る。 \[ g^{ik}= g^{ik} (-|g^{st}|)^{-{1 \over 2}} \] そして、そのとき、g_ik を (21) 式から得る。我々は次を仮定してよい。 \[ (a_{ikl})= g_{(ik),l} + g_{(kl),i} + g_{(li),k} \tag{22} \] 又は、 \[ a^m = {1\over 6} η^{iklm} a_{ikl} \tag{22a} \] が電流密度を表すことを。ここで、$η^{iklm}$ は、全ての添字に反対称な (±1の成分をもつ) レビ・チビタ(Levi-Cività)のテンソル密度である。 この量の発散は、恒等的に消滅する。


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方程式系 (16a), (16b) の強さ ここで、前に記述した数え上げの方法を適用するとき、式 (9) に与えられた $U$ から$λ$-変換に よって得られた全ての $U*$ が実際に同じ $U$-場を再現しなければならないという事実を計算にいれなければならない。 これは、 $U^l_{ik}$ の展開の $n$ 次のオーダーの係数が、それらの選択が実際に異なる $U$-場 の区別の結果ではない、 $ \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} $ 個の$λ$の $n$ 次オーダー微分を取り込むという帰結をもつ。 このように、$U$-場の数え上げに関係する展開係数の数は、$ \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} $ だけ減少する。その数え上げ方法によって、我々は、次の自由 $n$ 次オーダー係数の個数を得る。 \[ ζ= [16 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} + 64 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix} - 4 \begin{pmatrix} 4 \\ n+1 \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} ] - [ 16 \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix} +64 \begin{pmatrix} 4 \\ n-1 \end{pmatrix}] + [ 4 \begin{pmatrix} 4 \\ n-3 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 4 \\ n-2 \end{pmatrix}] \tag{23} \] 最初の括弧は、$g$-場を特徴付ける n 次オーダー係数に関係する全体個数を表し、次のは、場の方程式の存在によってこの数を削減する個数、 3番目の括弧は、恒等式 (18), (19) のためのこの削減数の訂正である。大きな $n$ における近似値として我々は次を見出す。 \[ ζ〜 \begin{pmatrix} 4 \\ n \end{pmatrix} {ζ_1 \over n} \tag{23a} \] ここで、 \[ ζ_1= 42 \] 非対称場の場の方程式は、このように、純粋な重力場 ($ζ_1= 12$) のそれよりもかなり弱い。


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方程式系の強さへの$λ$-場の影響 次の交換不変性の表式から開始することによって、理論の交換不変性を持ち込む誘惑があり得る。 \[ h= {1\over 2} (g^{ik} R_{ik} + 〜g^{ik} 〜R_{ik}) \] ($U$ を場の変数として導入する代わりに)。もちろん、結果する理論は、上で述べたものと異なるものとなるであろう。この$h$には、$λ$-不変性が 存在しないことを示すことができる。ここに、また、我々は (16a), (16b) 型の場の方程式を得る。それらは、交換不変である($g$と$Γ$に関して)。 それらの間には、しかしながら、4つしか、"ビアンキの恒等式" がない。もし、この系に数え上げの方法を適用すると、そのとき、(23)に対応 する式のなかで、最初の括弧のなかの4番目の項と、3番目の括弧のなかの2番目の項とは消滅する。次を得る。 \[ ζ_1 = 48 \] 方程式系は、このように、我々が選んだものよりも弱くなり、そして、それゆえ、拒絶されるべきである。


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以前の場の方程式系との比較 これは、次によって与えられる。 \[ Γ"^s_{is}= 0, \hspace{40mm} R'_{ik}= 0\\ g_{ik,l} + g_{sk} Γ^s_{il} + g_{is} Γ^s_{lk}= 0 \hspace{10mm} R"_{ik,l} + R"_{kl,i} + R"_{li,k} = 0 \] ここで $R_{ik}$ は、$Γ$の関数として (4a) によって定義される。(そして、$R'_{ik}= {1\over 2}(R_{ik} + R_{ki}), R"_{ik}= {1 \over 2} (R_{ik} - R_{ki}))。

この系は、同じ積分から変分によって導かれたから、新しい(16a), (16b) 系と全く同等である。それは、$g_{ik}$ と $Γ^l_{ik}$ に関して交換不変 である。しかしながら、差異は、次にある。変化させられる積分自身は、最初にその変分によって得られた方程式系と同じく、交換不変でない; しかし、それは、$λ$-変換 (5) に関して不変である。ここで、交換不変性を得るために、ある技巧を使用しなくてはならない。4つの場の変数 $λ_i$ を形式的に導入する。それらは、変分の後に方程式 $Γ"^s_{is}= 0$ が満たされるように選択される(*)。こうして、$Γ$に関する変分によっ て得られる方程式系は、交換不変形式を示すようになる。しかし、$R_{ik}$ 方程式は、まだ、補助的な変数$λ_i$ を含んでいる。しかしながら、 それらを除去することができ、それは、上に述べた仕方のこれら方程式の分解を導く。得られた方程式は、交換不変である($g$と$Γ$に関して)。

方程式 $Γ"^s_{is}= 0$ を仮定することは、$Γ$-場の正規化を含んでいる。それは、方程式系の$λ-$不変性を除去する。結果として、$Γ$の全ての 等価な再現がこの系の解として現れるのではない。ここで実行されることは、純粋な重力の場の方程式に、任意の付加的方程式を組合わせて、 座標系の選択を制限させる過程に似たようなものである。我々の場合は、さらに、方程式系が不必要に複雑になる。これらの困難は、新しい 表現、全体を通して$g$と $U$ を場の変数として使って、$g$と $U$ に関する交換不変性をもつ変分原理から開始することによって、避けられる。

(*) $Γ^l_{ik}*= Γ^l_{ik} + δ^l_i λ_k$ とすることによって。


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運動量とエネルギーの保存法則と発散法則

もし、場の方程式が満足され、そしてもし、さらに、その変分が変換の変分であるならば、そのとき、(14) のなかに $S_{ik}$ と $R^{ik}_l$ と が消滅するだけでなく、$δh$ も、場の方程式が次の方程式を含むようになる。 \[ (g^{ik} δU^s_{ik})_{,s} = 0 \] ここで、$δU^s_{ik}$ は、(10c) で与えられたものである。この発散方程式は、ベクトル $ξ^i$ のどの選択にも成立する。最も単純な特別な選択 として、例えば、$ξ^i $が $x$ に独立は、次の4つの方程式を導く。 \[ J^s_{t,s} ≡ (g^{ik} U^s_{ik,t})_{,s} = 0 \] これらは、運動量とエネルギー保存の方程式であるとと解釈、適用できる。そのような保存の方程式が、場の方程式系から決して一意に決定 されるものではないことは、注意されるべきである。面白いことに、次の方程式に従って、 \[ J^s_t ≡ g^{ik} U^s_{ik,t} \] エネルギー密度 $J^4_4$ と同様に、エネルギーの流れ密度 ($J^1_4, J^2_4, J^3_4$) も $x_4$ に独立な場において消滅することである。 これから、結論できることは、この理論に従えば、特異性から解放された定常な場は、決して 0 と異なる質量を再現しないことである。

場の方程式の以前の定式化が使われるなら、保存則の形成だけでなくその導出は、さらにより複雑になる。


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一般的な注意

A. 私の意見では、ここで提示した理論は、ともかく可能な、論理的に最も単純な相対論的場の理論である。しかし、これは、自然がより複雑な 場の理論に服従しないだろうということを意味しない。

より複雑な場の理論は、しばしば提案されてきた。それらは、次の特徴に従って分類できる。

(a) 連続体の次元数の増加。この場合、なぜ連続体が外見上4次元に制限されるかを説明しなければならない。

(b) 移動場とその関係するテンソル場 $g_{ik}$ (又は $g^{ik}$)に加えて、異なる種類の場 (例えば、ベクトル場) の導入。

(c) 高次のオーダーの(微分の)場の方程式の導入。

私の視点では、そのようなより複雑な系とそれらの組合せは、そうするための物理的-実証的な理由が存在するときに限られる。

B. 場の方程式は、場の方程式系によって、まだ、完全には決定されていない。人は特異性が現れることを許容すべきか?人は境界条件を仮定 すべきだろうか? 最初の質問について、私の意見は、特異性が排除されるべきであるというものである。私には、連続体理論のなかに、そこ に場の方程式の成立しない点 (又は線等) を導入するのは、合理的であるように思えない。さらに、特異点の導入は、特異点を閉じて取り囲む "表面"において、(それは、場の方程式の視点からは任意である) 境界条件を仮定するのと等価である。そのような仮定なしには、理論はずっと、 余りに愛昧になる。私の意見では2番目の質問に対する答えは、境界条件の仮定は不可欠であるということである。 私は、これを初等的例を使って示す。人は、Φ= Σ m/r の形式のポテンシャルの仮定を、質点の外側の(3次元的)方程式 ΔΦ= 0 が満たされる という言明に比較することができる。しかし、もし、人が境界条件を、無限遠でΦが消滅する(又は有限に残る)と、付加しないならば、そのとき、 全ての x の関数、(例えば、x_1^2 - 1/2 (x_2^2 + x_3^2)) が存在して、無限遠を無限にする。空間が "開いた" ものであるとき、 そのような場は、境界条件を仮定することによってだけ、排除することができる。


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

C. 場の理論が現実の原子のそして量子構造の理解を人に許すことは考えられるだろうか? ほとんど誰もがこの問いに "否" と答えるであろう。 しかし、私が信ずるのは、現時点で誰もそれについて何も信頼できることを知らないことである。これは、だから、我々がどのような仕方で、 どの程度強力に、特異性の排除が解の多様性を削減できるかについて判定できない理由である。我々は、特異性から解放された解をシステマ ティックに導く、どのような方法も全く所有しない。近似的方法が使えないのは、特定の近似解に対して、"特異性から解放された" 厳密解が 存在するかどうかを、人が決して知り得ないからである。この理由によって、現在、我々は、非線型の場の理論の内容の経験による比較を することができない。数学的方法の重大な進歩だけがここで我々を助けることができる。現在、場の理論が最初に "量子化"によって、 多少でも確立された規則に従って、場の確率の満足な理論に変換されるべきであるという意見が明らかにされている。この方法に私が見るのは、 本質的には非線型な性質の関係を線形の方法によって記述しようとする試みである。

D. 連続的な場によって、なぜ現実が決して再現され得ないかに、人はよい理由を与えることができる。量子現象から確かさをもって現れるのは、 有限のエネルギーの有限の系は、有限の数のセット(量子数)によって完全記述できることである。これは、連続的な理論と調和するようには見え ず、現実を記述するのに純粋に代数的理論を見出す試みに導かざるを得ない。しかし、そのような理論の基礎をどうやって得るか、誰も知らない。


訳注:英文の誤植と解釈でき修正したものを次に示す。

(1) ページ48、上10行、(48)式の最後のΦ_ναは、Φ_νβが正しい。
(2) ページ48、下1行、p_zx は、p_xz が正しい。
(3) ページ51、下3行、σ_0 は、σ が正しい。
(4) ページ62、下10行、(54)の2つ前の式は、最初の + は = が正しい。
(5) ページ66、式(59)の前の1行、orthognal linear substitution は、(60) の前の1行の linear orthgonal transformation に合わせた。
(6) ページ69、下3行 (A_μ) は (A^μ) が正しい。
(7) ページ70、式(67)の前1行 A^ν は A^μ が正しい。
(8) ページ73、式(75)の右辺の A_α は、B_α が正しい。
(9) ページ80、式(91a)と(92)の間の式のδ_νμは、δ_μνが正しい。
(10) ページ81、下5行のΓ^μ_βαは、Γ^μ_αβが正しい。
(11) ページ88、式(103a)の√(-1 dl)は、√-1 dl が正しい。訳者の誤り。戻す。
(12) ページ97、式(114)の右辺第1項の∂Φ_μ/∂x_μは、∂Φ_μ/∂x_νが正しい。
(13) ページ101、下2行のΓ^αβ_μは、Γ^μ _αβが正しい。
(14) ページ115,117、式(2d),(2)の各次行 r= x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 は、 r^2= x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 が正しい。
(15) ページ116、上8行 x'_I = a_i は、 x'_i = a_i が正しい。
(16) ページ120、上13行 therefor は、 therefore が正しい。
(17) ページ120、式(6)の上2行 (5c) は、(5b) が正しい。
(18) ページ123、図(2)のなか G=0 は、ρ= 0が正しい。
(19) ページ126、式 (8)の最初の式の第3項 G^2 は、G'^2 が正しい。
(20) ページ151、式(10) 右辺第3項、δの上添字の活字の上半欠けしているが、l* が正しい。
(21) ページ152、上3,4 行の式に番号がないが、本文から、(10a) である必要がある。

"相対論の意味" には、矢野健太郎氏の名訳(岩波書店、1958年4月第1刷発行)があるが、手持ちの1967年第9刷発行のチェックでは、 次の誤りが見付かっている。
(1) 英文ページ60、岩波ページ63、 U/D≠π は、英文の U/D>π が正しい。

誤りではないが、矢野氏による式の(αβなどからikなどへの)改変が多いことに注意が必要である。
(1) 式、(2)〜(5)等、多くの式に 3次元のΣに範囲1〜3の指定を入れている。
(2) 英文ページ8、岩波ページ9、式、s_μν^2 = (x_1(μ) - x_1(ν))^2 + (x_2(μ) - x_2(ν))^2 + ... は、s_μν^2 = (x_1(μ) - x_1(ν))^2 + (x_2(μ) - x_2(ν))^2 + (x_3(μ) - x_3(ν))^2 になっているが、添字μとνが 3次元空間内部の n 点の指標であることを明確化するための改変と推察できる。

(3) 英文ページ 11の変換後の直線、x'_β - A'_β = λ B'_β を補足する式、 B'_β= Σ_ν b_βν B_ν ; A'_β= Σ_ν b_βν A_ν は、岩波ページ 12 では、 A'_β= α_β + Σ_ν b_βν A_ν、 B'_β= Σ_ν b_βν B_ν と改変されているが、 斉次であるべき変換がそうでなく、しかも点によって違う変換にする改変は、意味を成さない。

(4) αβγδμνで表される添字をi,j,k,l,... に変更することは誤く元のままにした。とくに式(61)の下の式は、αβμδστt の使用と読む。

(5) 英文の追補I, IIの文字の真下に数字を付ける記法(Page 114-115 (2a)-(2d), Page 137 の頁半ばの式、Page 146)は、 単なる併置(例:$Γ0, A1$)に変更した。

(6) 英文の追補IIの下添字に下線を付けた記法は、' を付けるだけに変更し、下添字に上下逆ハットを付けた記法は、" を 付けるだけに変更した(Page 145, 161-162)。