我々は、複雑さを増す例のなかに含まれる概念と方法を提示する。我々自身を 4 次元場に制限しながら、これらの例の過程のなかで、我々は、 順次、関係する概念を導入するであろう。
最初の例: スカラー波の方程式 (*)、 Φ,11+Φ,22+Φ,33−Φ,44=0 ここで系は、"ひとつ" の場の変数のただ "ひとつ" の微分方程式で構成されている。我々はΦが点 P の周囲のテーラー級数展開されると仮定する (それにはΦの解析的性質を前提にする)。そのとき、その係数全体でその関数が完全に記述される。n 次の係数(Φの点 P での n 階微分)の個数は、 4・5...(n+3)1・2...n(略号 (4n)) に等しく、もし微分方程式がそれらの間に何かの関係を含まなければ、 これらの全係数は自由に選択できる。方程式が2階だから、これらの関係は、方程式の (n−2) 階微分によって見出される。我々は、こうして n 次係数に (4n−2) の条件を得る。自由に残された n 次係数の数は、そのため、
同様な論理が数個の方程式のある系に適用できる。もし、自由な n 次係数の個数が 0 より小さくならないなら、我々はその方程式系を 絶対的に連立 という。我々は自身をそのような方程式系に限定する。物理学で使われる全ての系は、この種類である。
いま、式(1)を書き直し、我々は、次をもつ。 (4n−2)=(4n)(n−1)n(n+2)(n+3)=(4n)(1−ζ1n+ζ2n2+...) ここで、ζ_1= +6 である。
もし我々が n の大きな値に制限するなら、括弧内部の ζ2n2 等の項は無視できる。そして、我々は(1)に対して近似的に次を得る ζ~(4n)ζ1n=(4n)6n 我々は、ζ1 を"自由係数"と呼び、我々の場合、値 6 をもつ。この係数が大きくなればなるほど、相応する方程式系は弱くなる。
6つの場の成分のテーラー展開は、次の個数の n 次係数を与える。 6(4n)
一般共変性の方程式系には、自由係数の数えあげにおいて、本質的に新しい次の状況が現れる:単に座標変換によって次々現れる場は、 その同じ場の単なる異なる再現であるとみなすべきであるという。それに相応して、gik の n 次係数の 10(4n) の部分だけが本質的に異なる場を特徴付けるのを助ける。それゆえ、実際に場を決定する展開係数の個数は、我々がいま計算しなければ ならないある量だけ削減される。
次の gik のための変換法則において、 g∗ik=∂xa∂xi∗∂xb∂xk∗gab gab と g∗ik とは、事実同じ場を表す。もしこの方程式を x∗ に関して n 回微分すると、人は、4つの x の関数のx∗に関する全ての (n+1) 回微分が g∗展開の2次係数に参入することを知る;すなわち、4(4n+1) 個数は、 場を特徴付ける役割をもたないことが表れる。どの相対性の理論においても、人は、それゆえ、 n 次係数の総個数から、 4(4n+1) を、理論の一般共変性を計算にいれるために、差し引かなければならない。 n 次自由係数の数え上げは、こうして次の結果を導く。
場の方程式(10個は2次、40個は1次)は、それらに次の個数の条件を与える。 N=10(4n−2)+40(4n−1) 我々は、しかしながら、この数から N個の条件の間にある、次の恒等式の個数を差し引かなければならない。すなわち、(3次の) ビアンキの 恒等式からくる、 4(4n−3) このゆえに、我々はここに次を見出す。 [10(4n)+40(4n−1)−4(4n+1)]−[10(4n−2)+40(4n−1)]+4(4n−3) (4n) の要素を再び抽出して、大きな n においては近似的に、 ζ~(4n)[0+12n] Thus ζ1=12. ここにまた、ζ は、全ての n に正であり、上述の定義の意味で系が絶対的連立である。空の空間の重力の方程式がそれらの場を、 電磁場の場合のマックスウェル方程式と、ちょうど同じ強さで決定するということは、驚くべきことである。
ニュートン後の物理学の基礎の発展のなかで、どのような革新が慣性系の克服を可能にしたのであろうか? 全ての最初に、それは、 ファラデー(Faraday)とマックスウェル(Maxwell) による、場の概念の導入、そしてそれに続く彼らの電磁理論である。又はより正確に いえば、独立なそれ以上還元できない基本的概念としての場の導入である。現在判定できる限りにおいて、一般相対論は、場の理論 としてだけ理解できる。現実の世界が質点で構成されていて、それらの間に作用する力の影響のもとにそれらが運動するという見方に 人がとらわれていたとしたら、それは、開発できなかったであろう。ニュートンに等価原理から慣性質量と重力質量の等しいことを 説明しようと人が試みるなら、彼は必然的に次のような反論に答えなければならないであろう: 加速座標系に対して物体は、重力天体 に対してその表面に近くにいるのと同じ加速を経験するということは、確かに正しい。しかし、前者の場合、どこにその加速を作りだす 質量があるのだろうか? 相対性の理論が場の概念の独立性を前提にしていることは明らかである。
いま、概観した一般相対性の設立に不可欠な数学的理論の発展は、リーマン計量が一般相対論とこのような慣性の忌避が基礎とする基本 的概念とみなされるという結果をもった。のちに、しかしながら、レビ・チビタ(Levi-Cività) は、慣性系を避けることを可能にし た理論の要素が、無限小の移動場 Γ^l_ik であると正しく指摘した。それを定義する計量、又は対称テンソル場 g_ik は、移動場を決定 する限りの単に間接的に慣性系の忌避に関連する。以下の考察は、これを明確にするであろう。
ひとつの慣性系から他のものへの移動は、線形の変換によって決定される(特定の種類の)。もし、ふたつの任意の距離の点 P1 と P2 とに、それぞれ、ベクトル A1i と A2i があり、その対応する成分が互いに等しい(A1i=A2i)、[訳注:文字下数字は併置にした] この関係は、許される変換のなかで保存される。もし、次の変換の式のなかで、 Ai∗=∂xi∗∂xaAa 係数∂xi∗∂xa が xa から独立なら、ベクトルの成分の変換式は、場所に依らない。異なる場所 P1,P2 にあるベクトルの成分の 等しさは、慣性系に制限すれば、不変性の関係である。しかしながら、もし、慣性系の概念を捨て、任意の連続変換を許し、∂xi∗∂xa が xa に依存するようにすると、ふたつの異なる空間点に添付されるベクトルの成分の等しさはその不変性の意味を失い、異なる点の ベクトルは、このようにもはや直接に比較できない。この事実のため、一般相対論では、もはや単純な微分で与えるテンソルから新テンソル を作れず、そのような理論のなかでは全体として不変性の形成がずっと少ない。この不足は、無限小移動場の導入によって治療される。 それは、無限小近傍点でのベクトルの比較を可能にするから、慣性系を置き換える。この概念から開始し我々は、後続において注意深く 目的に要不要を調合して、相対性の場の理論を提示する。
δAi=−ΓistAsdxt
ここで、Γは、x の関数。他方、もし、A がベクトル場なら、(xt+dxt)での の (Ai) の成分は、Ai+dAi に等しく、そこでは(*)、 dAi=Ai,tdxt これらふたつのベクトルの隣接点 (xt+dxt)での違いは、そのとき、それ自身、次のベクトルであり、 (Ai,t+AsΓist)dxi≡Aitdxt
ふたつの無限小接近点のベクトル場の成分を結合する。それが以前、慣性系が与えたこの結合を結果するから、移動場は慣性系を置き換える。 括弧内の表式は、Ait は端的にいって、テンソルである。
Ait のテンソル特性は、 Γの変換法則を決定する。我々は、最初に次の式をもつ。 Aik∗=∂xi∗∂xi∂xk∂xk∗Aik
両方の座標系に同じ添字を使用するのは、それが対応する成分を参照することを意味しない。すなわち、x と x∗ における i は、 独立に 1 から 4 までを渡る。いくらかの実例の後に、この表記が方程式をかなりより透明にする。我々は、いま、次の置き換えをする。
これは、Γ∗ から出発して、元の系 x に関して、元の座標系の量とその微分だけを含む方程式を導く。この方程式をΓ∗ について解き、 人は望みの変換式を得る。 Γikl∗=∂xi∗∂xi∂xk∂xk∗∂xl∂xl∗Γikl−∂2xi∗∂xs∂xt∂xs∂xk∗∂xt∂xl∗ ここで、(右辺の)第2項は、いくらか単純化でき、 ∂2xi∗∂xs∂xt∂xs∂xk∗∂xt∂xl∗=∂∂xl∗(∂xi∗∂xs)∂xs∂xk∗=−∂∂xl∗(∂xi∗∂xk∗)..+∂xi∗∂xs∂2xs∂xk∗∂xl∗=∂xi∗∂xs∂2xs∂xk∗∂xl∗ 我々は、そのような量を擬テンソルという。線形変換のもとではテンソルのように変換されるが、一方、非線型変換では、 変換前の式に含まれず、変換係数にだけ依存する項が追加される。
1. 下の添字を位置変えした量 ~Γikl(≡Γilk) も、(3)に従って変換するから移動場と同様である。
2. 下の添字 k∗,l∗ に関して式(3)の対称化と反対称化によって、次のふたつの式を得る。[訳注:下添字下線付をΓ′で下添字逆ハット付をΓ"で示す。] \begin{align} Γ'^i_{kl}*&= ({1\over 2} (Γ^i_{kl}* + Γ^i_{lk}*)) = {∂x^i* \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^k*} {∂x^l \over ∂x^l*} Γ'^i_{kl} - {∂^2x^i* \over ∂x^s∂x^t} {∂x^s \over ∂x^k*} {∂x^t \over ∂x^l*} \\ Γ"^i_{kl}*&= ({1\over 2} (Γ^i_{kl}* - Γ^i_{lk}*)) = {∂x^i* \over ∂x^i} {∂x^k \over ∂x^k*} {∂x^l \over ∂x^l*} Γ"^i_{kl} \end{align} このゆえに、ふたつの(対称と反対称性の) Γ^i_{kl} の構成要素は、互いに独立に変換される。すなわち、混合なしに。このようにそれらは、 変換法則の視点からは独立な量として現れる。2 番目の式は、Γ"^i_{kl} がテンソルとして変換されることを示す。変換群の視点から、これら ふたつの構成要素を単一の量に加算的に結合することは、最初、不自然にみえる。
3. 他方、Γの下の添字は、式(2)を定義するにおいては、下の添字に関して対称性の条件によってΓを制限することを強制する理由がないように、 全く違った役割を果たしている。それにも関わらず、もしそれがそうであれば、それは純粋な重力場の理論を導く。もし、しかしながら、 Γを対称性に制限する条件の下に置かなかなければ、重力の法則の一般化に到達し、それが私には自然なことに思える。
x0^t を固定点の座標とし、x^t を周囲の他の点たちとする。そのとき、ξ^t= x^t - x0^t は、全ての周囲の点において小さく、大きさのオーダー の定義の基礎に使うことができる。
積分 \oint δA^i は、そのとき計算すべき、より明示的な記述では、 - \oint \underline{Γ^i_{st}} \ \underline{A^s} dx^t または、 - \oint \underline{Γ^i_{st}} \ \underline{A^s} dξ^t 被積分のなかの下線を付けた量は、それらが円周の遂次点に (そして、初期点 ξ^i=0 ではなく) 取られるべきことを示す。
我々は、円周の任意点 ξ^t における \underline{A^i} の最低の近似によって最初に計算する。最低の近似は、積分のなかの、開区間に広げられた \underline{Γ^i_{st}}と\underline{A^s} を積分の初期点(ξ^t= 0)のΓ^i_{st}とA^sに置き換えることである。積分は、そのとき、次を与える。 \underline{A^i}= A^i - Γ^i_{st} A^s ∫dξ^t = A^i - Γ^i_{st} A^s ξ^t ここで無視されたものは、ξのなかの2次以上の項である。同じ近似ですぐさま、次が得られる。 \underline{Γ^i_{st}}= Γ^i_{st} + Γ^i_{st,r} ξ^r これらの表式を上述の積分にいれて、適切な総和の添字の選択をして、最初に次を得る。 - \oint (Γ^i_{st} + Γ^i_{st,q} ξ^q) (A^s - Γ^s_{pq} A^p ξ^q) dξ^t ここで、全ての量は、ξ を例外として除き、積分初期点のそれをとらねばならない。我々はそのとき、次を見出す。 -Γ^i_{st} A^s \oint dξ^t - Γ^i_{st},q A^s \oint ξ^q dξ^t + Γ^i_{st} Γ^s_{pq} A^p \oint ξ^q dξ^t ここで、積分は閉じた円周に渡るように拡張されている。(最初の項は、その積分の消滅により消滅する。) (ξ)^2 に比例する項は、高次であるから 省略される。他のふたつの項は、複合され、次になる。 [-Γ^i_{pt,q} + Γ^i_{st} Γ^s_{pq}] A^p \oint ξ^q dξ^t これは、円周に沿う移動後のベクトル A^i の変化 ΔA^i である。我々は次をもつ。 \oint ξ^q dξ^t = \oint d(ξ^q ξ^t) - \oint ξ^t dξ^q = - \oint ξ^t dξ^q
ここでいう価値のあることとして、座標変換と違って、λ-変換は、i, k に対称な Γ から非対称な Γ* を作りだすことである。 Γの対称性の条件は、そのような理論では、その客観的重要性を失う。
主要なλ-不変性の重要性は、場の方程式系の"強さ"に影響をもつことである。我々が後に見るように。
対称場の理論では、次のテンソル、 (W_{ikl}≡) g_{ik,l} - g_{sk} Γ^s_{il} - g_{is} Γ^s_{lk} が重要な役割を果たす。もし、それをゼロに等しくすると、Γを g によって表すことを許す式を得る。すなわち、Γを消すためである。 まず、先に証明したように (1) A^i_t≡ A^i_{,t} + A^sΓ^i_{st} がテンソルである事実から開始する。そして、(2)任意の反変テンソルが Σ_t A^i_(t) B^k_(t) の形式で表すことができる。場 g と Γ がもはや対称でなくても上の表式がテンソル性をもつことは、困難なく証明できる。
しかし、後者の場合、もし、例えば最後の項のΓ^s_{lk} が交換され、すなわち、Γ^s_{kl}に置き換っても、テンソル性は、失われない。 (これは、g_{ik}(Γ^s_{kl} - Γ^s_{lk}) がテンソルである事実からくる。) 他の形成法があり、全く単純とはいえないが、それはテンソル 性を保存し、上の表式の非対称の場合への拡張とみなされる。結果的に、もし g と Γ の関係の非対称場への拡張を望むなら、 任意選択を含むと思われる上の表式を 0 に等しく設定することで得られる。
しかし、上の形成は他の可能な形成から区別する特性をもつ。もし、同時に g_{ik} を ~g_{ik} に、Γ^l_{ik} を~Γ^l_{ik} にそして、 添字 i, k を交換すれば、それは、それ自身に変換される; それは、添字 i, k に関しての "交換対称性" である。この表式を 0 と置く ことによって得られる式は、"交換不変" である。もし、g と Γ が対称なら、この条件は、もちろん、また満足される; それは、 場の量が対称であることの条件の一般化である。
我々は、非対称場の方程式に、それらが交換不変性であることを仮定する。私は、この仮定は、物理的にいって、正と負の電気性が 対称に物理法則に入ることの要請に対応する。
(4a) を眺めれば、R_{ik} が完全には交換対称でないことを示す。交換による変換は、次になるから。 R_{ik}*= Γ^s_{ik,s} - Γ^s_{sk,i} - Γ^s_{it} Γ^t_{sk} + Γ^s_{ik} Γ^t_{ts} \tag{4b} この状況が、交換不変の場の方程式を打ち立てようとする努力のなかで遭遇する困難の基礎をなしている。
U のλ-変換 もし、(5)で Γ を U に置き換えると、簡単な計算で次を得る。 U^l_{ik}*= U^l_{ik} + (δ^l_i λ_{,k} - δ^l_k λ_{,i}) \tag{9} この式が U のλ-変換を定義する。(8) は、この変換において、不変である (S_{ik}(U*)= S_{ik}(U))。
U の変換法則 もし、(3) と (3a) で Γ を U に置き換えると、(7) の助けによって我々は、次を得る。 U^l_{ik}*= {∂x^l* \over ∂x^l} {∂x^i \over ∂x^i*} {∂x^k \over ∂x^k*} U^l_{ik} + {∂x^l* \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^i*∂x^k*} - δ^l*_k*{∂x^t* \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^i*∂x^t*} \tag{10}
この関係を理由にして、(11)の左辺は、次のように書ける。 {1\over 2} {∂logD \over ∂({∂x^s \over ∂x^{t*}})} ({∂x^s \over ∂x^{t*}})_{,k*} = {1\over 2} {∂logD \over ∂x^{k*}} これは、(11)が確かに次の式によって満足されることを意味する。 λ={1\over 2} log D これは、変換 (10) が次の交換対称変換 U^l_{ik}*= {∂x^{l*} \over ∂x^l}{∂x^i \over ∂x^{i*}}{∂x^k \over ∂x^{k*}} U^l_{ik} + {∂x^{l*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{k*}} - {1 \over 2} [ δ^{l*}_{k*} {∂x^{t*} \over ∂x^s}{∂^2x^s \over ∂x^{i*}∂x^{t*}} + δ^{l*}_{i*} {∂x^{t*} \over ∂x^s} {∂^2x^s \over ∂x^{k*}∂x^{t*}} ] \tag{10b} とλ-変換の結合とみなせることを証明する。(10b) は、こうして U の変換式として (10)の代わりをする。 表現の形式を変化するだけのどのような U 場の変換も (10b) に従う座標変換とλ-変換との結合として表される。
変化を受ける積分は、被積分関数hスカラー密度を必要とする。我々は、そのような密度を R_{ik} 又は S_{ik} から構成する。最も単純な過程は、 Γ 又は U それぞれに加えて重み 1 の共変テンソル密度g^{ik}を導入することである。次を設定して、 h=g^{ik} R_{ik} (= g^{ik} S_{ik}) \tag{12} g^{ik} への変換法則は、次でなければならない。 g^{ik}*= {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k* \over ∂x^k} g^{ik} |{∂x^t \over ∂x^{t*}}| \tag{13} ここで、再び、異なる座標系を参照する添字は、たとえ同じ文字を使っても、互いに独立に扱われる。我々は、確かに次を得る。 ∫h* dτ*= \int {∂x^{i*} \over ∂x^i} {∂x^k* \over ∂x^k} g^{ik} |{∂x^t \over ∂x^{t*}}|・ {∂x^s \over ∂x^{i*}}{∂x^t \over ∂x^{k*}} S_{st} |{∂x^{r*} \over ∂x^r}|dτ \\ = \int hdτ すなわち、積分は、変換不変量である。さらには、積分は、λ-変換 (5) 又は (9) に関しても不変量である。なぜなら、R_{ik} は、Γ 又は U で表現されるから。そして、このゆえ、h もまた、λ-変換に関して不変量である。このことから、∫hdτの変分によって導かれる場の方程式 もまた、座標系とλ-変換に関して共変である。
しかし、我々はまた、場の方程式がふたつの場 g, Γ 又は g, U に関して交換不変であることを仮定する。これは、もし、h が交換不変 であるなら保証される。我々は、R_{ik} がもし、U で表されたとき交換対称であり、Γで表されたときそうでないことを見た。 このゆえ、h は、もし我々が場を g と U (Γでなく、) を場の変数として表すなら、そのときだけ交換不変である。 その場合、我々は、∫hdτから場の変数の変分によって導かれる場の方程式が交換不変であることが最初から保証されるのである。
h(式(12)と(8))の g と U に関する変分によって、我々は次を見出す、 δh= S_{ik} δg^{ik} - R^{ik}_l δU^l_{ik} + (g^{ik} δU^s_{ik})_{,s}\\ ここで、S_{ik}= U^s_{ik,s} - U^s_{it} U^t_{sk} + {1 \over 3} U^s_{is} U^t_{tk}, \\ R^{ik}_l= g^{ik}_{,l} + g^{sk} (U^i_{sl} - {1 \over 3} U^t_{st} δ^i_l) + g^{is} (U^k_{ls} - {1 \over 3} U^t_{ts} δ^k_l) \tag{14}
これらの恒等式は、∫hdτ が座標系とλ-変換とに関して不変である事実からよく知られた方法で得られる。
なぜなら、∫hdτ の不変性から、もしδh に、無限小の座標変換又は、無限小のλ-変換によって生起する δg と δU を挿入するなら、 その変分が恒等的に消滅するからである。
無限小座標変換は、次によって記述され、 x^{i*} - x^i + ξ^i \tag{17} ここで、ξ^i は、任意の無限小ベクトルである。我々はいま、δg^{ik} と δU^l_{ik} とを、ξ^i によって式(13)と(10b)によって 表さなければならない。(17)のために、次を置き換えなければばらない。 {∂x^{a*} \over ∂x^b} を δ^a_b + ξ^a_{,b} によって、\\ {∂x^a \over ∂x^{b*}} を δ^a_b - ξ^a_{,b} によって、 そして、ξの 1 次より高次の項を全て除外しなければならない。
こうして、次を得る。 δg^{ik} (= g^{ik}* - g^{ik}) = g^{sk} ξ^i_{,s} + g^{is} ξ^k_{,s} - g^{ik} ξ^s_{,s} + [- g^{ik}_{,s} ξ^s ] \tag{13a} δU^l_{ik}(= U^l_{ik}*- U^l_{ik})= U^s_{ik} ξ^l_{,s} - U^l_{sk} ξ^s_{,i} - U^l_{is} ξ^s_{,k} + ξ^l_{,ik} + [- U^l_{ik,s} ξ^s ] \tag{10c}
(14)にこれらの"変換変分" δg, δU を代入すれば、積分、∫hdτ の変分は、恒等的に消滅する。もしさらに、ξ^i を積分領域の境界で それらの1次微分とともに消滅するように選択すれば、(14)の最後の項は、貢献しなくなり、次の積分、 \int (S_{ik} δg^{ik} - R^{ik}_l δU^l_{ik}) dτ は、もし、δg^{ik} と δU^l_{ik} を (13a) と (10c) によって置き換えるなら、それゆえ、恒等的に消滅する。一方、この積分は線形に一様に ξ^i とその1次微分に依存するから、それは、次の形式に持ち込める。 ∫M_i ξ^i dτ 部分の積分を繰り返すことによって。ここで、M_i は、よく知られた表式(S_{ik} の1次のオーダーで、R^{ik}_lの2次)である。これから、次の 恒等式がくる。 M_i ≡0 \tag{18} 場の方程式の S_{ik} と R^{ik}_l の左辺には4つの恒等式があり、それらは、ビアンキの恒等式に対応している。以前に導入された用語に従って これらの恒等式は3次のオーダーである。
これは、欲した恒等式を得る。 R^{(is)}_{s,i}≡ 0 \tag{19} 我々の用語ではこれは2次のオーダーの恒等式である。R^{(is)}_s に関して我々は、(14) から真直な計算によって次を得る。 R^{(is)}_s≡ g^{(is)}_{,s} \tag{19a} もし、場の方程式 (16b) が満たされるならば、我々は次を得る。 g^{(is)}_{,s}= 0 \tag{16c}
この系は、同じ積分から変分によって導かれたから、新しい(16a), (16b) 系と全く同等である。それは、g_{ik} と Γ^l_{ik} に関して交換不変 である。しかしながら、差異は、次にある。変化させられる積分自身は、最初にその変分によって得られた方程式系と同じく、交換不変でない; しかし、それは、λ-変換 (5) に関して不変である。ここで、交換不変性を得るために、ある技巧を使用しなくてはならない。4つの場の変数 λ_i を形式的に導入する。それらは、変分の後に方程式 Γ"^s_{is}= 0 が満たされるように選択される(*)。こうして、Γに関する変分によっ て得られる方程式系は、交換不変形式を示すようになる。しかし、R_{ik} 方程式は、まだ、補助的な変数λ_i を含んでいる。しかしながら、 それらを除去することができ、それは、上に述べた仕方のこれら方程式の分解を導く。得られた方程式は、交換不変である(gとΓに関して)。
方程式 Γ"^s_{is}= 0 を仮定することは、Γ-場の正規化を含んでいる。それは、方程式系のλ-不変性を除去する。結果として、Γの全ての 等価な再現がこの系の解として現れるのではない。ここで実行されることは、純粋な重力の場の方程式に、任意の付加的方程式を組合わせて、 座標系の選択を制限させる過程に似たようなものである。我々の場合は、さらに、方程式系が不必要に複雑になる。これらの困難は、新しい 表現、全体を通してgと U を場の変数として使って、gと U に関する交換不変性をもつ変分原理から開始することによって、避けられる。
(*) Γ^l_{ik}*= Γ^l_{ik} + δ^l_i λ_k とすることによって。
場の方程式の以前の定式化が使われるなら、保存則の形成だけでなくその導出は、さらにより複雑になる。
より複雑な場の理論は、しばしば提案されてきた。それらは、次の特徴に従って分類できる。
(a) 連続体の次元数の増加。この場合、なぜ連続体が外見上4次元に制限されるかを説明しなければならない。
(b) 移動場とその関係するテンソル場 g_{ik} (又は g^{ik})に加えて、異なる種類の場 (例えば、ベクトル場) の導入。
(c) 高次のオーダーの(微分の)場の方程式の導入。
私の視点では、そのようなより複雑な系とそれらの組合せは、そうするための物理的-実証的な理由が存在するときに限られる。
B. 場の方程式は、場の方程式系によって、まだ、完全には決定されていない。人は特異性が現れることを許容すべきか?人は境界条件を仮定 すべきだろうか? 最初の質問について、私の意見は、特異性が排除されるべきであるというものである。私には、連続体理論のなかに、そこ に場の方程式の成立しない点 (又は線等) を導入するのは、合理的であるように思えない。さらに、特異点の導入は、特異点を閉じて取り囲む "表面"において、(それは、場の方程式の視点からは任意である) 境界条件を仮定するのと等価である。そのような仮定なしには、理論はずっと、 余りに愛昧になる。私の意見では2番目の質問に対する答えは、境界条件の仮定は不可欠であるということである。 私は、これを初等的例を使って示す。人は、Φ= Σ m/r の形式のポテンシャルの仮定を、質点の外側の(3次元的)方程式 ΔΦ= 0 が満たされる という言明に比較することができる。しかし、もし、人が境界条件を、無限遠でΦが消滅する(又は有限に残る)と、付加しないならば、そのとき、 全ての x の関数、(例えば、x_1^2 - 1/2 (x_2^2 + x_3^2)) が存在して、無限遠を無限にする。空間が "開いた" ものであるとき、 そのような場は、境界条件を仮定することによってだけ、排除することができる。
D. 連続的な場によって、なぜ現実が決して再現され得ないかに、人はよい理由を与えることができる。量子現象から確かさをもって現れるのは、 有限のエネルギーの有限の系は、有限の数のセット(量子数)によって完全記述できることである。これは、連続的な理論と調和するようには見え ず、現実を記述するのに純粋に代数的理論を見出す試みに導かざるを得ない。しかし、そのような理論の基礎をどうやって得るか、誰も知らない。
(1) ページ48、上10行、(48)式の最後のΦ_ναは、Φ_νβが正しい。
(2) ページ48、下1行、p_zx は、p_xz が正しい。
(3) ページ51、下3行、σ_0 は、σ が正しい。
(4) ページ62、下10行、(54)の2つ前の式は、最初の + は = が正しい。
(5) ページ66、式(59)の前の1行、orthognal linear substitution は、(60) の前の1行の linear orthgonal transformation に合わせた。
(6) ページ69、下3行 (A_μ) は (A^μ) が正しい。
(7) ページ70、式(67)の前1行 A^ν は A^μ が正しい。
(8) ページ73、式(75)の右辺の A_α は、B_α が正しい。
(9) ページ80、式(91a)と(92)の間の式のδ_νμは、δ_μνが正しい。
(10) ページ81、下5行のΓ^μ_βαは、Γ^μ_αβが正しい。
(11) ページ88、式(103a)の√(-1 dl)は、√-1 dl が正しい。訳者の誤り。戻す。
(12) ページ97、式(114)の右辺第1項の∂Φ_μ/∂x_μは、∂Φ_μ/∂x_νが正しい。
(13) ページ101、下2行のΓ^αβ_μは、Γ^μ _αβが正しい。
(14) ページ115,117、式(2d),(2)の各次行 r= x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 は、 r^2= x_1^2 + x_2^2 + x_3^2 が正しい。
(15) ページ116、上8行 x'_I = a_i は、 x'_i = a_i が正しい。
(16) ページ120、上13行 therefor は、 therefore が正しい。
(17) ページ120、式(6)の上2行 (5c) は、(5b) が正しい。
(18) ページ123、図(2)のなか G=0 は、ρ= 0が正しい。
(19) ページ126、式 (8)の最初の式の第3項 G^2 は、G'^2 が正しい。
(20) ページ151、式(10) 右辺第3項、δの上添字の活字の上半欠けしているが、l* が正しい。
(21) ページ152、上3,4 行の式に番号がないが、本文から、(10a) である必要がある。
"相対論の意味" には、矢野健太郎氏の名訳(岩波書店、1958年4月第1刷発行)があるが、手持ちの1967年第9刷発行のチェックでは、
次の誤りが見付かっている。
(1) 英文ページ60、岩波ページ63、 U/D≠π は、英文の U/D>π が正しい。
誤りではないが、矢野氏による式の(αβなどからikなどへの)改変が多いことに注意が必要である。
(1) 式、(2)~(5)等、多くの式に 3次元のΣに範囲1~3の指定を入れている。
(2) 英文ページ8、岩波ページ9、式、s_μν^2 = (x_1(μ) - x_1(ν))^2 + (x_2(μ) - x_2(ν))^2 + ...
は、s_μν^2 = (x_1(μ) - x_1(ν))^2 + (x_2(μ) - x_2(ν))^2 + (x_3(μ) - x_3(ν))^2
になっているが、添字μとνが 3次元空間内部の n 点の指標であることを明確化するための改変と推察できる。
(3) 英文ページ 11の変換後の直線、x'_β - A'_β = λ B'_β を補足する式、 B'_β= Σ_ν b_βν B_ν ; A'_β= Σ_ν b_βν A_ν は、岩波ページ 12 では、 A'_β= α_β + Σ_ν b_βν A_ν、 B'_β= Σ_ν b_βν B_ν と改変されているが、 斉次であるべき変換がそうでなく、しかも点によって違う変換にする改変は、意味を成さない。
(4) αβγδμνで表される添字をi,j,k,l,... に変更することは誤く元のままにした。とくに式(61)の下の式は、αβμδστt の使用と読む。
(5) 英文の追補I, IIの文字の真下に数字を付ける記法(Page 114-115 (2a)-(2d), Page 137 の頁半ばの式、Page 146)は、 単なる併置(例:Γ0, A1)に変更した。
(6) 英文の追補IIの下添字に下線を付けた記法は、' を付けるだけに変更し、下添字に上下逆ハットを付けた記法は、" を 付けるだけに変更した(Page 145, 161-162)。